授業一覧
今年も秋から冬にかけてほんとによい日和が続いた。今日も柔らかい冬の陽が斜めに射している。家から研究室まで5km の道を通った。牧野ヶ池を抜けて植田川を渡り東山公園のゆるやかな坂を登る。この峠は植田川と山崎川の分水嶺にあたる。西に鈴鹿や伊吹の山々、北に御岳や木曾の山並みがのぞめる。四谷側にやや下れば研究室につく。研究室から西の方には、工学部から名古屋市街、名駅ツインタワーがのぞめる ....
続きを読む →
思い返せば、スピン物理実験を志しまた坂田昌一先生にもあこがれて1968年に京大から本学の理学研究科へ入学して以来、大学院生あるいはスタッフとして41年間も研究に明け暮れる生活を送らせていただいた。最初はスピン偏極核子ターゲットの開発とハドロン実験、1980年代からはスピン偏極電子ビーム源の開発に取り組み今日に至った。このテーマは誰の指示でもなく唯々自分の意志で“種から芽を出す”仕事から始めた。 ....
続きを読む →
15年一睡の夢というのが正直な感慨です。1994年に岡崎の国立研究所から名古屋大学に移り、若い学生諸君の溢れる青春に触れ、教育と研究を楽しみました。教育とは教師にとっても学ぶことであり、自分が長年研究していたものが大きな学問の流れのなかのほんの一滴に過ぎないと知ったのも講義の準備の中です。学問は滔々した大河の流れであり、その流れは一つ一つの美しい滴からできています。その一滴の滴を知るのに、われ ....
続きを読む →
フィールドセミナーⅠは、講義で得た地球惑星科学に関する知識について、野外で実際に観察し、理解を深める実習です。授業では岩石はシンプルに数種類に分類されることを教わりますが、野外で実際に観察すると、同じ種類の岩石でも多様な特徴があり、自然界の多様性を認識します。 地球が数万年、数億年とかけて営んできた歴史は、これらの岩石や地層に様々な情報として刻まれています。その情報をできるだけ多く読み取ること ....
続きを読む →
理学部地球科学教室の助手として赴任したのが1979年4 月なので、ちょうど31年間名古屋大学でお世話になりました。 この間、2000年に新設の大学博物館に移ってからは、“博物館”という既成概念にとらわれず名古屋大学らしさをどうやって出すかを考えて、組織の立ち上げと整備に全力投球しました。その結果、ミューズセラピー(Musetherapy)というコンセプトに基づく博物 ....
続きを読む →
私は本学の理学研究科で学位を得た後に、プラズマ研究所、プラズマ科学センター、そして1995年からは理学部にお世話になりました。所属場所はキャンパス内の1 km弱の距離を行ったり来たりしていたことになります。ただし、プラズマ研究所時代に2年間の米国留学という大変貴重な経験をさせていただきました。非社交的な私ですが、何故か米国生活がとても楽しく、それだけに短い滞在期間にも関わらず、深甚な影響を受け ....
続きを読む →
大阪大学、基礎生物学研究所を経て、名古屋大学では理学部生物学科と遺伝子実験施設でそれぞれ助教授、教授として合わせて18年間お世話になりました。若き日に生物化学者にあこがれて大学の理学部に進み、大学院生として主に研究所で育ち、研究者として研究所で研究に専念し、名大にお世話になってからも4年間の学部教員の後に、遺伝子実験施設で博士研究員中心の研究室を持ち、研究専念の幸せな研究者人生を送ることができ ....
続きを読む →
理学部1年生の質点の力学の標準的講義です。 ....
続きを読む →
パーコレーション (浸透理論) の基本的概念から出発し、非浸透相から浸透相への相転移、無限クラスターの一意性について述べる。これらを通じ、測度論的確率論の手法、さらに (初歩的な) エルゴード理論が、物理的問題の中でどのように使われるかを概観する。 ....
続きを読む →
有理数を高校までとは全く違った視点から特に幾何学的に考察する方法を学ぶ。具体的には連分数、フォードの円、双曲幾何の順に解説する。連分数とは有理数を入れ子状の分数で表したものである。計算には向かないが面白 い性質を多く持っており、有理数や無理数に対する新たな見地が開けるだろう。次に各有理数に対応したフォードの円を学ぶ。このフォードの円を使うと、有理数同士の関係が幾何学的に理解できるようになる。またこの ....
続きを読む →
身近な題材(ここでは正多面体)を通じて、 数理学科以外に志望する学生にも数学 (トポロジー、離散数学、群論)の考え方 に触れる機会を作ることである。また、1つ のものを多角的に見る物の見方にも慣れて もらう。 ....
続きを読む →
この講義の目的は「数学の世界にはこの先どんなものがあり、どれだけの拡がりをもっているか」を体験することにある。もちろん、無限の可能性の中から限られた題材を選ぶことに なってしまうが、少しでも幅をもたせるため講義は3人の教員が行う。より具体的には、各教員が数回の講義を独立に行う形(オムニバス形式)となる。普段の講義はどちらかと言えば基礎力、論理的思考を身につけるための「足腰を鍛える」側面が強いが、この ....
続きを読む →
ラクラジアンやハミルトニアンを用いた理論形式は,質点や剛体などの力学系の運動を調べるために非常に有効である。また、2年後期に学ぶ量子力学Iを理解する上でも、解析力学は必要不可欠である。本講義では,その基本原理を理解すると共に,簡単な応用を通じて手法を取得する。 ....
続きを読む →
益川さんの推薦で尾張の地名古屋大学に職を得たのは1980 年のことだった。時あたかも、ク ォークの存在が確立し小林・ 益川理論を含む素粒子の標準模型が定着していった1970年代が終りを告げ、素粒子論の流れが標準模型を超える“より基本的な”理論の模索に向かっている転換期であった。 歴史は繰り返すというが、名大着任後の私は、1955年に始まる坂田の複合模型がクォーク模型に発展し標準模型へと結実し ....
続きを読む →
....
続きを読む →
名古屋大学では11年間お世話になりました。ここまで一言でいえば「脳のはたらき」を調べてきた40年間でした。それぞれの局面では不安もありましたが、振り返って みると時代の流れと偶然がちょうど良いように働いて、興味深い研究と教育の機会を与えられたと思います。大学院生の1970年代後半は細胞内記録による神経回路の解析が一段落し、新しい研究方針が活発に議論されているなかで、私はネコの歩行標本で小脳の制御 ....
続きを読む →
1973年の修士課程入学から職を求めて海外へさまよい出るまでの 7 年半、米国、フランス、仙台を巡った後1992年に教員として戻ってから24年、通算31年半を名古屋大学にお世話になりました。まことに感謝の一語に尽きます。 入学当時、若い大学の持つ「自由闊達で清新な学風」は、その後の研究の基本姿勢を作ってくれました。外国に渡ってから、結晶成長理論という物理学の中では少々変わった分野に足を踏み ....
続きを読む →
1994年に理化学研究所から理学研究科に異動してきました。学部と大学院での勉学・研究生活も含めれば、名古屋大学には32年の長きに亘りお世話になりました。自由な雰囲気の下で研究を続けさせていただき、心から感謝しています 振り返ってみますと、新しい場所に移るたびに研究テーマを大きく変えてきました。名古屋大学に赴任した時に掲げた研究テーマは膜タンパク質の反応状態の構造解析でした。当時の私にとって ....
続きを読む →
私が今年名古屋大学を無事退職することができるのは5人の師匠のお陰だと心から感謝しています。学生運動が盛んな昭和44年に入学し、有り余る時間に陸上部長で指導教官だった三浦望慶先生の体育の実験を手伝いました。これが自然を科学する喜びを教えてくれた最初だと思います。 次は早川幸男先生、田中靖郎先生、山下広順先生です。学生の私は早川教授室へ行くのに決心が必要でしたし、ピリピリした緊張感の中でご指導を受 ....
続きを読む →
【The Plan of the Course】Part 1 is scheduled to be 4/14, 4/21, 4/28, 5/12. 1. Review on affine spaces. 2. Touch of projective spaces. 3. The fundamental theorem of projective geometry. 4. Wigner’s theore ....
続きを読む →
2001年4月に理学研究科・物質理学専攻(化学系)に分子科学研究所との併任で赴任して早いもので18年になります。その間、野依先生をはじめとする6名の方々がノーベル賞を受賞し、授賞式に出席出来たことなど、望外の思い出です。名大赴任に際し想像できなかった出来事は、濵口先生が総長に就任する際、研究と国際担当の副総長に指名されたことです。名大在職8年目で、評議員や研究科長の経験もない人間を抜擢する ....
続きを読む →
環境問題については多くの学生諸君が興味関心を持っているものの、マスメディアからの情報だけでは正確な理解を得られないことが多い。環境問題の「常識」をひとつひとつ検討しながら、いろんな側面から一つの問題を考えること、一つの問題は他の問題と関連しあっているものととらえること、環境問題とは地球と社会にまたがる一つのシステムの問題であるという見方ができること、を目標とする。 ....
続きを読む →
植物を中心に生殖、遺伝、発生の分子機構について講義を行う。特に細胞間のコミュニケーションを担うシグナリング分子に着目することで、幅広く生物界を俯瞰する。バクテリアから高等動植物に至るまで、個々の細胞は、他の細胞とコミュニケーションをとることで、生命の営みを維持している。それは細胞の増殖の協調や、細胞の出会い、位置情報や生理情報の交換といった、様々な局面で見られる。本講義では、特に細胞間シグナリ ....
続きを読む →
1980年 4 月に、後に学長にもなられた早川幸男先生率いる宇宙物理研究室(U研)に赴任してまいりました。以来37年間名古屋大学で研究・教育をさせていただきました。お世話になった諸先輩・同僚の方々、また技術職員・事務職員の皆様に深く感謝いたします。私の専門は宇宙物理学・X線光学で、特に人工衛星を用いたX線天文学の研究を中心に行ってまいりました。最初の仕事は、当時学内にあったプラズマ研究所 ....
続きを読む →
歴史をひもといてみますと、数学と物理は互いに大きく影響をおよぼし合 いながら発展してきたことが分かります。19 世紀以前ですと、ニュートン力学と微分積 分や位相幾何学、電磁気学とベクトル解析などが代表的なものです。20 世紀そして今世 紀になると、その関係は更に深くなって きています。ですから、数学をより良く理解する ためには、物理を全く無視する訳にはいきません。 本講義では、数学と物理の関わりにつ ....
続きを読む →
アミン、エステル、芳香族化合物、ヘテロ環、糖、アミノ酸などを具体的な題材として取り上げ、有機化合物の構造と反応性を学ぶ。知識の習得に加えて、論理的に有機化学の現象を捉えるエッセンスの習得と適用に重点を置く。 ....
続きを読む →
....
続きを読む →
「光がどのように物質と相互作用するか」を明らかにすることは科学における中心テーマの一つであり,その探求によって量子力学をはじめとする現代科学の礎が築かれてきた。中でも分光学の発展は,波長などの光パラメータの変化に対する応答からその物質の状態を捉える手段を与え,物質科学の発展に大きな役割を果たしている。ここでは,光と分子の相互作用および核運動の量子力学について学び,分子スペクトルからどのような情報が ....
続きを読む →
解析力学 I で習得したラグランジアンやハミルトニアンによる手法を用いて、物理学において基本的な力学系の運動を学ぶ。また、後半では、特殊相対性理論に基づく運動について学ぶ。 ....
続きを読む →
宇宙論は、この宇宙全体がどのようにはじまり、どのように進化するのか、そもそも宇宙とはなにものなのかを明らかにしようとする研究分野である。最近のめざましい観測の進展を背景として、宇宙論の研究は大きく発展している。本講義では宇宙論の最近のトピックのいくつかに焦点を当てて紹介する。 ....
続きを読む →
....
続きを読む →
黒板に書かれた二つの「結び目」の図。片方はほどけて一本の紐に戻る“蝶結び”で、もう片方は結び目ができる“かた結び”です。 紐を使わずにこの二つを区別するにはどうしたらよいでしょうか? 数学では、例えば次の定理を使ってこの二つを区別します。定理:「次の色分けのルールに従って色を塗り分けた時、ほどける結び目の図は1色しか使えない」 色分けのルール:使う色は三色。「結び目」図で線が ....
続きを読む →
情報科学・計算機と数学との関連を(1年間で)概観する。特に、「アルゴリズム」とは何かを、数学の視点から実例を通して解説する。そのアルゴリズムの実現のためのプログラム言語としてC言語の習得を目指す。 ....
続きを読む →
統計物理学I, II(「名大の授業」には入っていません)に続いて、量子多粒子系の統計力学の基礎と、相互作用のある系や相転移の問題への統計力学の応用について解説します。この科目は選択科目ですが、大学院進学希望者には必須の内容です。 ....
続きを読む →
この講義は, 多元数理科学研究科が大学院生および学部生に対して開講する英語講義の1つであり, 外国人学生だけでなく, 留学や英語による外国人科学者とのコミュニケーションに関心をもつ日本人学生も対象としている. 講義, 宿題, 質疑応答などすべての行為が英語で行われる. この講義の目的は, 数理科学におけるさまざまな方法を解説することである. 今年度のこの講義は3人の教員が担当する. それぞれの教員 ....
続きを読む →
生物の生命活動の基本単位である細胞について学ぶ。細胞という空間の中で、遺伝学及び生化学で学ぶ種々の生命分子が、どのようにして細胞固有の活動 (物質の取り込み、エネ ルギー産生、細胞運動と輸送、接着、成長・分裂、刺激応答等) を営んでいくのかといった基礎概念を、主に真核生物の知見を通して理解することがねらいである。これらの内容は基礎細胞学Ⅰ、Ⅱを通して学ぶものであるので、学生諸君は全てを履修すること。 ....
続きを読む →
名大物理教室の懐の深さによって大学院入試で辛うじてすくい取られ、自由闊達な雰囲気のもとで鍛えられ育まれた。博士取得後の海外での武者修行ののち、東大原子核研究所、高エネルギー研究所での研究三昧の15年間を過ごし、そして15年前に古巣の物理教室に回遊した。素粒子物理にロマンを求め、力いっぱい好き勝手な作品をいろいろと制作した。ニュートリノ質量測定からタウ・レプトンによる新素粒子世界の探索などと、そ ....
続きを読む →
これまでの研究を振り返ると、阪大の大学院で始めた実験がその後の研究の方向を決めたことに感慨を覚える。研究室に初めてラマン散乱用の大型分光器が入り、実験を始めた頃は安定したレーザーも無く、検出器もアナログで感度が悪く、不透明な物質ではほとんどデータがとれなかった。その頃一般に出回り始めたデジタル IC で回路を作り、 8 ビットの CPU を CP/M で動かしてデータがとれたときは感激した。こ ....
続きを読む →