原子核乾板と共に格闘して学んだこと

2009年度 退職記念講義

講師丹羽公雄 教授
丹羽公雄 教授
開講部局理学部/理学研究科
日時2010/3/2 13:30-14:30
場所理学部B5講義室(B館501号室)
丹羽公雄 教授
講師丹羽公雄 教授
開講部局理学部/理学研究科
日時2010/3/2 13:30-14:30
場所理学部B5講義室(B館501号室)

退職に際して

周知のように、名古屋大学は坂田昌一そして小林・益川を輩出しました。その物理学教室にあって、小林・益川論文のきっかけを与えた丹生 潔教授から写真乾板技術による素粒子研究の手ほどきを受けました。時は国の威信を競って、原子核・素粒子の更に下の階層のクォーク・レプトンによる素粒子の解明を目指し、ヨーロッパ、米国、ソ連で、巨費を投じて次々に巨大な加速器が造られた時期でした。写真乾板に次元的に記録された素粒子飛跡の自動読み取り装置を開発してチャームクォークの研究に参加し、後にはタウニュートリノを発見した研究で指揮をとれたのが大きな喜びでした。今、クォーク・レプトンの解明はめでたく終盤を迎えています。しかし宇宙のダークマターはまったく説明がつかなく、自然の仕組みの解明作業はつづきます。

クォーク・レプトンの更に下の階層に迫る研究に更なる巨大加速器が活躍できるか大いに疑問です。多面的な思考、別分野で獲得した知識が互いに入り混じる場こそが次の階層の解明の突破口を見出すに間違いありません。名古屋大学がそんな場であって欲しいと願っています。クォーク レプトンの研究の中で開発された実験技術が「癌治療の最新の放射線治療機器」を生み出しました。自分の開発した実験技術も「噴火の可能性が迫る火山の内部の透視装置」などに活躍の場を拡げているのはうれしい事です。

講師紹介

丹羽 公雄(にわ・きみお)理学研究科教授

学歴

  • 1976年 名古屋大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程 修了

職歴

  • 1978/04-1987/12 名古屋大学理学研究科助手
  • 1987/12-1994/10 名古屋大学理学研究科助教授
  • 1994/11-1996/03 名古屋大学理学研究科教授
  • 1996/04- 名古屋大学大学院理学研究科教授

取得学位

  • 理学博士 1976/03 名古屋大学

研究課題

  • 2000/01-2010/03 ニュートリノ振動

所属学会・学会活動

  • 日本物理学会

受賞学術賞

  • 仁科記念賞 2004/12

講義ビデオ

原子核乾板と共に格闘して学んだこと

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投稿日

February 15, 2017