理学部 研究室公開
数ある研究室のほんの一部ですが、動画でご紹介します。
最先端の研究者や名大の先輩から、研究室の紹介に加え、高校生のみなさんへ向けたメッセージも寄せられています。
大学の研究室の様子をちょっとだけのぞいてみてください!
各研究室の特徴・分野は、キーワードを参照してください。
代数学系
キーワード:
純粋数学、三角形分割、個人が「研究室」
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代数学系 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
多角形を対角線を引くことによって三角形に分割する操作を三角形分割と言います.ある三角形分割に対して,1つの対角線の引きかたを変えることによって別の三角形分割に変える操作のことを「フリップ」といいます.一見素朴に見えるこの操作ですが,現代数学の様々なところにこの変換が現れることがわかっています.私は,このフリップの性質を解明し,他分野の数学に応用する研究をしています.
研究室の特徴・ご自慢のポイントなど教えてください。
研究室,僕の場合は院生室ですが,その特徴としては,机と椅子と本,PC以外になにもないということが挙げられます.純粋数学では,過去の文献と自分の頭脳だけが頼りです.それ以外のものはあまり必要としません.「実験」と呼ばれるものは,強いて挙げるとすれば具体例をPCや自分の手で計算して,そこに成り立つ法則性を予想することくらいでしょうか.また,純粋数学は基本的に単独で研究します.そのため,「研究室」という概念が存在しません.逆に,個人が「研究室」そのものであるという言い方もできるかと思います.
指導教員の先生には研究の進捗を連絡したり論文のアドバイスをもらったりしますが,基本的に先生が私の研究には介入するということはあまりありません.時間の使い方も完全に私自身に委ねられており,いつ休んでもいいし,いつ研究してもいいので非常に自由です.
高校生へのメッセージ
個人的な意見ですが,数学以外の「やってみたいな」ということが少しでもあるのであれば,個人的には高校生のうちは受験勉強以上に数学に力を入れるというようなことはしなくてもいいと思います.むしろ,数学以外の「やってみたいな」と思うことをできるだけ数多く経験することをお勧めします.そもそも,高校までの数学と大学からの数学は別物です.高校までの数学は答えがわかっている問題をいかにして早く解くかという世界ですが,大学の数学,特に研究の数学はまだ誰も知らないようなことを1年2年かけて発見することがメインであり,やることが全然違います.高校,大学の前半くらいまでで大学の数学を含めて「やりたいな」と思うものを全部やってみて,それで最後に「やっぱり大学の数学が一番だな」と思うのであれば,そのときから数学に力を入れればいいと思っています.後から人生を後悔しないためにも,高校のうちは他のやりたいことを思いっきりやることをお勧めします.
生体分子動態機能研究室(D研究室) 内橋研究室
キーワード:
生体分子(タンパク質)メカニズム、顕微鏡装置開発、原子間力顕微鏡
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生体分子動態機能研究室(D研究室) 内橋研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
私たちの研究室では、生物物理学を研究しています。タンパク質などの生体分子の働きを一つ一つ直接見るための顕微鏡を開発し、タンパク質が機能するメカニズムに関する研究を行なっています。
研究室の特徴・ご自慢のポイントなど教えてください。
研究室では、原子間力顕微鏡(AFM)を使って、タンパク質の観察を行っています。AFMは分解能が非常に高く、タンパク質1分子の構造を観察することができるのですが、通常のAFMでは1枚の画像を撮るのに数分かかってしまうため、静止画しかとれませんでした。そこで、私たちの研究室では、AFMの撮影速度を上げる装置開発を行い、1秒間に10枚から20枚の画像を撮影を可能にしました。それにより、タンパク質の構造とその時間変化を追うことが可能になりました。
どのような学生が研究室に所属し、どのような研究を行っていますか?
物理学科の学生が研究室に所属していますが、新しい装置開発に興味がある学生、タンパク質の機能メカニズムに興味がある学生が来ます。研究は学生それぞれの興味のあるタンパク質、対象に基づき、研究室で進めている装置開発やタンパク質の観察と解析を行なっています。
物性化学研究室 阿波賀研究室
キーワード:
機能性分子(電気を流す、磁石になる物質)、ものづくり、国際交流、女性研究者
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阿波賀研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
物性化学研究室では主に電気を流す・磁⽯になるといった機能を持った物質(機能性分⼦)の開拓とそれらのデバイスへの応⽤を⾏っています。
電気を流す分⼦の歴史は、有機物は絶縁体であるといった認識を⼤きく変えることになったペリレン臭素錯体から始まり、ノーベル賞を受賞された⽩川先⽣らによる導電性ポリマーや有機⾦属、超伝導体へと続きました。⼀⽅、磁⽯になる分⼦については、当研究室の阿波賀先⽣らによって発⾒された有機強磁性体が挙げられます。このように機能性分⼦は⽇本⼈によって数多く報告されている分野と⾔えます。
さらに近年は、このような基礎研究だけでなく有機エレクトロニクススピントロニクスと⾔った応⽤研究へと発展し、有機EL を利⽤した製品も市場に出回るようになりました。
このような背景のもと、当研究室では、物性が約束された構造体の作製と物性評価、そしてデバイスへの応⽤を⾏っています。機能性分⼦の物性は、分⼦固有の性質だけでなく、その並び⽅にも⼤きく影響を受けます。そこでこのような「強等⽅性構造」、これは数学の⽤語なのですが、グラフェンやダイヤモンド、K4 と呼ばれる構造を持つ物質は、このような変わったバンド構造を持つことが知られています。バンド構造は、電気を流すなどの物性発現の源である電⼦の⼊る⼊れ物のようなもので、どのような形の⼊れ物に、どこまで電⼦が⼊っているか、によって発現する物性が決まります。この炭素同素体を分⼦で作ることで、炭素同素体では実現できない機能が発現します。これを⼆次電池やキャパシタ、また光エネルギーを電気に変える光電変換セルへと応⽤しています。
研究室の特徴・ご自慢のポイントなど教えてください。
当研究室では、分⼦設計からものづくり、そしてその機能評価まで⼀連の流れを⾃⾝の研究室で⾏います。幅広い知識や技術を⾝につける必要がありますが、とてもやりがいのある研究であると思っています。
研究に必要な設備や測定機器は⼗分に揃っており、学内の複数箇所に設置されています。研究室のメンバーは活発な国際交流を反映して、張先⽣をはじめとして、海外からの博⼠研究員や留学⽣が常に数名在籍しています。また学⽣が海外の⼤学へ短期滞在や留学、国際会議での発表を⾏う機会が多数あります。また名古屋⼤学は⼥性研究者が多いことが知られていますが、当研究室は以前から⼥性研究者をサポートしてきました。例として、私ですが、私には皆さんと同じくらいの歳の息⼦がおります。育児のために研究をセーブすることもありましたが、またこのように研究する機会を与えてもらっております。またこれは最近の受賞歴ですが、中に⼥⼦学⽣も含まれております。
高校生へのメッセージ
これまで化学や物理、数学、⽣物などは別々の学問と思われているかもしれませんが、⼤学に⼊るとこれらの学問が互いに密接に関連していることに気がつくと思います。このように融合した分野から新しい現象や概念が⽣まれますので、視野を広く持って、いろんなことを学んで欲しいと思います。あなたの好奇⼼を⼤事に育ててください。これは今しかできないことです。あふれんばかりの好奇⼼を持って、ぜひ名古屋⼤学に来てください。
遺伝学グループ 大澤研究室
キーワード:
多細胞生物、細胞同士のコミュニケーションメカニズムの解析、ショウジョウバエ
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大澤研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
私たちは、多細胞生物の組織や器官が、どのようにして特定の形・大きさに作られるのか、その仕組みに興味を持って研究を進めています。多細胞生物の組織や器官は、受精卵が細胞分裂を繰り返すことで作られていきますが、その過程では興味深いことに、細胞同士がお互いに協調したり、ときには生存を競合していることが最近分かってきました。私たちはそのような細胞同士のコミュニケーションのメカニズムについて、ショウジョウバエをモデルとして解析することで、組織や器官の作り方を理解したいと考えています。
研究室の特徴・ご自慢のポイントなど教えてください。
研究室の特徴としては、たくさんのショウジョウバエ系統を飼育しています。ショウジョウバエは、受精卵から成虫になるまでが約10日間と生活環が短く、また飼育も簡単です。さらに重要なことに、ショウジョウバエは、遺伝学的な技術が発達しているため、分子メカニズムの解析を行うのにきわめて強力なモデル系でして、私たちはそのような利点を最大限に活かして研究を行っています。研究室に所属しているメンバーについては、皆さん共通して、組織が作られる仕組みに興味を持っていますが、バックグランドは様々でして、高校の頃から生物を勉強している人もいれば、大学に入ってから勉強を始めたという人もいます。
高校生へのメッセージ
研究にしても、何をするにしても、愛着を持つことが非常に重要だと思います。皆さんはこれから、高校生活において様々な体験をされるでしょうし、卒業後も、楽しいことや面白いこと、また辛いことも、色んなことがあると思いますが、一つでも愛着が持てるものを作って、でもそれは待っていてもダメで、自ら求めていって、そして見つかった愛着の持てるものを大事にしながら前に進んでいっていただけたらと思います。そうすることでいろいろなことを乗り越えていけるのではないかと考えています。
地球惑星物理学講座 渡邊研究室
キーワード:
月惑星探査計画(はやぶさ2プロジェクト)、小惑星リュウグウの解明
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渡邊研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
我々の研究室では、地球と惑星に関する物理を、観測、実験、理論を組み合わせて研究しています。我々が月惑星探査の計画の中核に参加しているはやぶさ2プロジェクトについて紹介します。太陽系はガスと塵からできた円盤の中で惑星が成長することによって現在の姿になりました。小惑星はそのときの化石です。その小惑星から表面のサンプルを持ち帰る計画がこのはやぶさ2プロジェクトです。地球の海、生命の原材料物質の解明を目指しています。我々が小惑星に到達したとき驚いたのが、コマのような形をした天体です。このような天体は高速の回転によってできたのではないかと考えました。そこで、研究室での実験において、こういった形状がどうやってできるのかを調べています。
○ 小惑星リュウグウに関する実験について
小惑星リュウグウとは、直径900メートル、東京スカイツリーよりも大きい天体です。それを、この実験室では、10センチ程度にスケールダウンした実験を行っています。リュウグウはそろばんのコマのような形をした小惑星ですが、それは高速で回転した遠心力により形作られたと考えられており、遠心力と重力との関係がどのようにリュウグウの形成につながったのか解明しています。
高校生へのメッセージ
小惑星に関する実験はいかがでしたか?なかなか面白い実験で、このような実験により小惑星のことが分かるのは驚きだと思います。ぜひみなさんも我々と一緒に研究しませんか。みなさんが勉強を続けて、一緒に研究できることを楽しみに待っています。
ナノ磁性・スピン物性研究室(J研究室) 谷山研究室
キーワード:
小さな磁石(髪の毛の1000分の1程度)、スピントロニクス(電子機器への応用)、グローバル
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ナノ磁性・スピン物性研究室(J研究室) 谷山研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
大雑把にいうと磁石の研究をしています。磁石といってもよくある棒磁石などの大きな磁石ではなく、髪の毛の1000分の1程度の厚みを持つ小さな磁石をつかった研究です。小さな磁石を用いることで、これまで大きな物質ではできなかった方法を利用して、新しい磁気現象の物理的起源に迫ることができます。そしてこのようなナノスケールでの磁石の物理現象についての研究は、スピントロニクスと呼ばれる電子機器への応用にもつながることもあり、近年特に注目を集めています。
研究室の特徴・ご自慢のポイントなど教えてください。
私たちの研究室には小さな磁石を作製する装置が8台あり、そのうちの3台は分子線エピタキシー装置とよばれる10^-8Pa程度の超高真空で薄膜を作製する装置です。また、電子線リソグラフィー装置と呼ばれる微細加工装置などもあり、これらを存分に活用して高品質なナノスケール磁石を作製することができます。また、作製した試料の特性を評価する装置も6種類と、豊富な実験機材を使って研究を進めることができます。研究室には、中国、インドなどから研究者が滞在しているため、研究室内では常に英語が飛び交うような国際色豊かな研究室です。また定期的にある懇親会ではそれぞれの国の文化について話し合い、お互いの国の文化への理解を深めています。
高校生へのメッセージ
私たちの研究室は理学部に所属し、小さな磁石の物理についての研究をしていますが、スピントロニクス応用とも近い関係にあり、理学と工学の境界領域に位置しています。物理に興味のある学生はもちろんのこと、融合、境界領域に興味のある学生も楽しんで研究に取り組めると思います。また、研究には粘り強さが必要なこともあるので、クラブ活動や勉強、学校活動に一生懸命取り組む経験を通して、一つのことをやり通す力を身に着けて下さい。研究活動では、しばしば英語で議論や報告をすることがありますので、数学や物理の知識にプラスして、今のうちから外国人と英語で話すことを意識した語学の勉強にも力を入れると完璧です。
素粒子物性研究室(φ研究室) 清水研究室
キーワード:
宇宙、万物の共通法則、素粒子実験、巨大加速器施設
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素粒子物性研究室(φ研究室) 清水研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
素粒子物性研究室Φ研では,僕らがいるこの宇宙は一体どのようにしてできたのか,あるいは万物が従う共通の法則は一体どうなっているのか,といった謎に対して素粒子実験によって解明していようとしています.具体的には中性子の寿命を精密に測ることによって標準模型の検証であったり,宇宙における元素合成の謎について研究したり,中性子と原子の間に働く小さな力を精密に調べることによって時空間の謎に迫ろうとしています.
これらのテーマだけではなく他にも様々なテーマについて精密測定を通した実験的研究を行っています.これら全てに共通していることはどれも世界最先端の技術を結集させて初めて達成されるものです.ですから研究室に属しているメンバーは日夜世界の最前線で研究をしていることになります.また,よく言われることですが研究というものにはあらため決められた方法や,ましてや答えといったものは事前には用意されていません,したがって誰も答えを知らない問に対して自分が答えを与えることになります.こうして得られた結果や過程には,何物にも代えがたい達成感があるということが研究の醍醐味だと感じます.
研究室の特徴・ご自慢のポイントなど教えてください。
実験は主に茨城県東海村にあるJPARCとよばれる巨大加速器施設にておこなっています.そのほかにも国内の小型中性子源や海外の研究用原子炉など大小様々な施設で研究を行っています.研究室では主に測定したデータを解析してそれを元に物理を議論するといったことをしています.また学内には小型の加速器を所有していて小規模な実験であれば比較的容易に使用できるといった特色があります.研究室は教員学生あわせて20人ほどで,実験や出張などでめったに全員が顔をあわせる機会はないですが,国内外から研究者の方が議論におとずれたりと研究者間の交流が非常に盛んです.また大学の行事として高校生なども積極的に受け入れていて,関係者の年齢層も非常に幅広いです.
高校生へのメッセージ
まずは色々な知識を蓄えることが大事です.そしてその知識同士がどのようにつながっているのかを俯瞰してゆくことがいいと思います.また日常の些細な疑問を大切にして,その疑問に対して早急に答えを求めることなくゆっくりと熟成することが大事だと思います.
植物分子シグナル学グループ 多田研究室
キーワード:
植物の免疫系、生命現象のしくみ、遺伝子の機能解析
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多田研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
植物は、動物と同じように、病原体を感知し感染を防ぐ免疫系を持っています。また、植物は白血球のような特殊な免疫細胞を持たない代わりに、非常に効果的な独自の免疫系も獲得しています。私たちは、この植物免疫を活性化する仕組みの解明を目指し、研究しています。
どのような学生が研究室に所属し、どのような研究を行っていますか?
理学部生命理学科の学生が所属しており、みなさん生命現象の仕組みに興味があります。例えば、植物の一部が病原体に感染すると全身の抵抗力が上昇しますが、この現象に関与する遺伝子を見つけ、機能解析を行っています。また、水分は病原体の感染に必須の要素ですが、植物の葉面に存在する毛のような細胞(トライコーム)は、雨を感知すると免疫系を活性化し、感染に備えることを明らかにしました。
卒業生、修了生はどのような活躍をしていますか?
卒業生・修了生の中には、ロレアルーユネスコ女性化学賞、国際新人賞を獲得し、名古屋大学で助教として研究を進めている野元美佳さんや、トヨタ中研などの企業で研究を行っている方、また、花王、サントリー、トヨタ、日経新聞など、科学研究で培った能力を活かして多様な企業や公務員として活躍しています。
地震火山研究センター(地球環境科学)
キーワード:
地震、火山噴火、地殻変動測定、地震計、留学生、グローバル
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地震火山研究センター(地球環境科学) インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
私たちの研究室では、地震や火山噴火のしくみの研究を行っています。地震計あるいは地殻変動の観測装置を使って地面の動きを測って、それをもとに地震のしくみを研究しています。地震計で捉えた地面の震動や、GPS受信機などを用いた地面の動きのデータを用いて、地震や火山に関する研究を行っています。研究室にある持ち運びのできる地震計以外にも、地震観測点に地震計を設置し、大学に観測データを送っています。さらに海底に地殻変動の装置を設置し、直接測定するなど世界でも数少ないユニークな研究を行っています。また、地下構造はどんどん時間変化をすることが分かっていますので、装置を設置し、地下構造の時間変化を調べる研究も行っています。このような様々な研究により、地震のしくみ、火山噴火のしくみ、さらにそれらが今後どのように推移するかという予測研究も行っています。
研究室の特徴・ご自慢のポイントなど教えてください。
私たちの研究室には、世界中から学生が集まっています。地震や火山の現象は日本だけでなくアジア地域、中南米など世界中で起こっています。インドネシアやコロンビア出身の留学生と一緒に国際色豊かな研究を行っています。
高校生へのメッセージ
研究を進めるためには、基礎体力と粘り強さが必要です。基礎体力とは、数学・物理学・化学などの基礎的な学力です。それに加え野山や実験室などで粘り強く実験をすすめる力が必要です。さらには、いろいろな現象を見て疑問に思う、一体なぜだろうと思う洞察力が非常に大事です。高校では、授業を受けて勉強するだけではなく、様々な身の回りの現象に注意を向けていただき、ぜひ大学に進学してください。私たちの研究室では地震や火山を研究していますので、皆さんの参加をお待ちしています。
高エネルギー天文学グループ(Uxg研) 宇宙物理学研究室 川村研究室
キーワード:
人工衛星を用いた宇宙観測、太陽系銀河団、ものづくり、観測装置の開発
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川村研究室 インタビュー項目
この研究室ではどんな研究を行っていますか?
私たちが研究しているのは、未知の現象が沢山隠されている、大宇宙です。宇宙物理学研究室では、赤外線やX線、さらには重力波を用いて宇宙を観測し、未知の天体現象を発見し、物理の言葉で理解する研究を進めています。特に、人工衛星を用いた宇宙観測を重視しています。私は、熱くて激しい現象に興味があるので、こうした現象からよく出てくるX線観測を専門にしています。今取り組んでいるのは、日本主導で開発している、次世代X線衛星XRISMや、さらにその先を狙った将来衛星FORCEの開発です。太陽系は銀河系の中にあり、銀河系は数千の銀河の大集団、銀河団に所属しています。銀河団は巨大なダークマターのかたまりで、非常に高温のガスに満たされており、一億度に達するそのガスから強いX線を放射しています。実は銀河団は、宇宙大規模構造が成長する要素を観測するのに非常によいターゲットです。銀河団同士が衝突・合体する過程でそのようにエネルギーが放出されるのか、どのようにX線ガスがつくられていくのかを研究しています。要は、今ある宇宙はどのように今この姿になったのかを研究しているということです。
どのような学生が研究室に所属し、どのような研究を行っていますか?
研究室には、宇宙が好きで、かつモノ作りが好きな学生さんが所属しています。今ある天文衛星で撮ったデータを解析・探求するだけでなく、将来の人工衛星のための新しい観測装置の開発をしています。私たちの研究室の特徴は、今ある装置では物足りないため、よりよい、新しい観測装置を自分たちの手でつくるところにあります。
高校生へのメッセージ
自然科学は、身の回りのものに、あれはなんだろう、なぜこうなるんだろう、という興味を持つことから始まります。なぜ空は青いのだろう、なぜ水は青いのだろう。実は二つは理由が違うのですが、こうした興味の先に、銀河団はどう成長するのだろう、あるいはブラックホールはどのように生まれ、成長するのだろう、という謎もあるのです。大学受験で理系の学生が勉強していることは、こうした謎を研究するために必要な基礎知識ですから、安心して勉強をしてください。なにか面白いもの、おかしいものに気がつく、興味を持つ心を持っていいれば、それはもう自然科学研究者の入り口に立っているようなものです。ぜひ、一緒に学び、研究しましょう。