教育学部/教育発達科学研究科

教育学部・教育発達科学研究科の教育

教育学部の教育目標は、「教育発達科学の基礎力」、「基礎的応用力」、「知力と熱意」を養成することです。

現代ほど、人間の発達・成長をめぐって、困難な問題が出現した時代はありません。本学部は人間の発達・学習・社会化など「人間形成」に関わるさまざまな問題を、いろいろな観点から、理論的・実践的に学ぶことを目的とする学部です。

本学部における研究領域は、小学校から大学にいたる教育の諸問題をはじめ、家庭における子どもの養育・しつけの問題から青少年のカウンセリング、職場における人間関係、国際化と教育・文化の諸問題、生涯にわたる人間形成の問題など、人間社会の全般にわたっています。こうした広範な課題を、個人的視野から国際的視野までいろいろな角度から取り組み、それらの研究成果を総合しながら人間形成に役立てようとする実践研究が行われています。

  • 人間形成の科学を
  • 多彩なコースとカリキュラムで
  • 少人数教育
  • 熱意溢れる学生を歓迎する

教育学部は、入学定員 65 名の比較的小規模な学部です。この学生数に対して、専任の教員は 40 名を擁し、更に外部からの兼任教員も加わって、5 つのコースを準備し、斬新なカリキュラムを実施しています。

ますます国際化し、情報化する現代社会において、創造性を生かし、積極的に取り組み、社会をリードできる人材を養成するために、少人数によるフェイス・トゥ・フェイス教育がそれぞれのコースにおいて行われています。教員と学生のコミュニケーションがうまくいっているのも本学部の特徴です。

部局長インタビュー

教育学部・教育発達科学研究科長 高井次郎 教授

教育学部・教育発達科学研究科長の高井次郎教授に 5 つの質問に答えて頂きました。

  1. 教育学部・教育発達科学研究科の強み(醍醐味)を教えてください。

    名古屋大学の教育学部、ほかの教育学部と違って、教員養成を主目的としておりません。もちろん、学生は中学・高校の教員免許をとれますが、ここに入学する学生は学問として教育学を学び、心理学やその他人間発達・形成にかかわる関連学問についても学びます。学部・大学院の構成は、教育学専攻と心理学専攻からなりますが、いずれの学問についてもほぼすべての領域をカバーしており、あらゆる研究テーマや関心に対応できます。しかも、学生定員に対する教員数が多いため、少人数による質の高い授業を展開し、個別のニーズに対応する丁寧な研究指導を行っています。そのため、教育学部および教育発達科学研究科の学生満足度は常にトップレベルにあります。

  2. 教育学部・教育発達科学研究科の学生に大学生活を通じてどんな風に育って欲しいですか。

    高校と違って、大学では先生の言うことを丸覚えするのではなく、さまざまな問題について自分で考えて、自分自ら学習することが期待されます。名古屋大学の人材育成の目標は「勇気ある知識人」です。ほかの誰も考えない、自分オリジナルなアイデアを大切に持ち、その妥当性と正当性を裏付けるため根拠となるデータや資料を集め、教員や他の学生に自分の考えを効果的にプレゼンテーションして、説得することが勇気ある知識人に求められます。教育学部では、教育や人間発達に関わる問題について、皆様独自の観点から追究していただきます。入学される皆様には、社会に出ても習慣や通念にこだわることなく、むしろそれを疑い、自分独自の考えをもてるような社会人になっていただきたいと思います。

  3. 教育学部・教育発達科学研究科のビジョンを教えてください。

    わが教育学部・教育発達科学研究科は、十分に国際的な水準の学部・大学院であります。留学生の比率も多く、教員や院生も海外で活躍しており、国際学会で発表したり、海外の研究雑誌に論文も多数掲載しております。その一方で、授業のほとんどは日本語で行われており、学生も海外留学をすることに他の学部と比較すると消極的です。将来のビジョンとして、国際性に対してよりアグレッシブな学部・研究科になっていただきたいと思います。それを実現するためには、教員と学生の海外大学との国際交流を一層推進し、英語で活躍することに対する自信を身に着けていただければと思います。

  4. 高井先生ご自身が学生だった時、印象的な授業はありましたか。

    私は海外で育ち、学部はカナダの大学の理学部で地質学を学んでいました。ところが、その当時、北米では日本たたきが起こっており、デトロイトでは中国系アメリカ人が日本人と間違えられ、殺害される事件が起きました。そのショックから、私は帰国し、東京の国際基督教大学に編入学しました。残念ながら、ICU は教養学部しかなく、地質学を続けることができませんでした。それである授業を履修しました。「異文化コミュニケーション」のセミナーでしたが、最初の授業で、先生は学生全員に紙コップを配り、ペットボトルの水を回しました。飲む前に、先生は水の中に唾を吐いて、それを飲むことができる者はいるかと尋ねましたが、手を挙げたのは私だけでした。なぜ他の人ができないことを、あなたはできるのだ、と聞かれたら、「唾は喉の中に常にあり、水を飲むとき胃に流される。それが喉の中にあろうか、コップの水に浮いているであろうか、関係なくいずれは胃袋に到達するのだ」と答えたら、「あなたは大学教員になって異文化コミュニケーションを教えなさい」と褒められました。それで今私は….当時はいかにも ICU らしい授業でしたが、このような授業は Active Learning と言われ、最近注目されており、もちろんわが学部・研究科では積極的にこうした授業に取り組んでいます。学生が主体的になり、学生自身の考えについて議論しあって、お互いから学ぶという方式の授業です。

  5. 教育学部・教育発達科学研究科への入学希望者に向けてメッセージをお願いします。

    高校生の皆様は、小学校、中学校、高校において学んでこられました。各学校での授業の在り方、先生の教え方、部活動などについて、振り返ながら、もし自分が別の国で、別の教育システムの中で育っていたら、今の自分はどうなっていたのでしょうか?このようなことについて、われわれと一緒に考えてみませんか?名古屋大学教育学部に皆さんを大歓迎いたします。

(令和 5 年 4 月 25 日)

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