講師 | 氏家達夫 教授 |
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開講部局 | 教育学部/教育発達科学研究科 2011年度 前期 |
対象者 | 教育学部2年 (2単位・週1回全15回) |
この授業は、胎児期から成人・老年期にいたる人間の社会的・情動的発達の入門コースである。様々な古典的研究や最近の研究を紹介するとともに、広角的に発達を捉える基本的枠組み・視点を提供する。
この授業では、受講者が対人関係や情動の生涯発達の概要を理解することと発達の基本的原理を理解するようになることを目標としている。
教科書は使用しない。詳しい資料を授業のときに配布する。
氏家達夫・陳省仁(編著)「基礎 発達心理学」(2006)放送大学教育振興会
その他、必要に応じて、授業のときに周知する。
特になし
毎回宿題を課すので、授業以外での予習と復習が不可欠である。
回 | 次回の宿題 |
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1 | 心の動きに対する遺伝子の役割について調べて、次回提出すること。レポートは、出典を明記すること。 |
2 | 新生児の行動レパートリーの一部は、発達とともに消失していくことが知られている。その消失の仕組みについて調べて、次回提出すること。 |
3 | アタッチメントの個人差を測定する方法として、見知らぬ場面法がある。見知らぬ場面法とはどのようなものか調べて、次回提出すること。 |
4 | 加齢にともなう認知機能の変化について調べて、次回提出すること。 |
5 | 基本情動とは何か調べて、次回提出すること。 |
6 | 誤信念課題とは何か調べて、次回提出すること。 |
7 | 反抗期の発達的意味について調べ、次回報告すること。 |
8 | ビッグ・ファイブとは何か調べ、次回報告すること。 |
9 | ホフマンが提唱する共感性の発達について調べ、次回報告すること。 |
10 | 問題行動は、内化した問題行動(Internalizing)と外化した問題行動(Externalizing)で捉えることが多い。それぞれについて調べ、次回提出すること。 |
11 | レジリアンスとは何か調べ、次回提出すること。 |
12 | 成人期の発達課題について調べ、次回提出すること。 |
回 | テーマ | 講義内容 |
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1 | オリエンテーション | −講義の進め方、評価の仕方などについて解説する。 −授業の中で取り上げるいくつかのトピックスについてプレビューする。 |
2 | 人生のはじまり1:胎児期 | −遺伝子と発生の仕組み −感覚機能の発達 −学習と記憶の発達 −ありえる障害について
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3 | 人生のはじまり2:誕生と新生児期 | −誕生・出産の仕組み −新生児の対人能力 −新生児の知覚世界 −新生児の認知能力 −デフォルトか経験か
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4 | アタッチメント | −アタッチメントとは何か −アタッチメントの働き −アタッチメントの個人差 −アタッチメントとその後の発達
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5 | 認知発達 | −乳児期の認知機能 −幼児期の認知機能 −学童期の認知機能
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6 | 情動発達 | −情動の機能主義的理解 −情動とコミュニケーション −情動制御
−情動発達と文化
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7 | 心の理論 | −自分の心と他者の心の理解 −心の理論の獲得をどのように知るか −チンパンジーと人の比較心理学
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8 | 自律性の発達 | −自律性と子どもの個性 −自律性と親子関係 −思春期・青年期の自律性
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9 | パーソナリティ |
−パーソナリティの捉え方
−パーソナリティと遺伝
−パーソナリティの生涯発達
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10 | 対人関係 |
−社会的認知
−心の理論と共感性
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11 | 問題行動 |
−問題行動の縦断研究
−問題行動と親子関係
−問題行動と仲間関係
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12 | 強さと回復力 | −カウアイ研究
−プロテクト要因
−レジリアンス
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13 | 成人期の発達 |
−アイデンティティ
−成人期の発達課題
−年をとるということ
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14 | 発達の理論 |
今まで取り上げてきたさまざまな心の働きの発達を統合的に理解するための理論枠組みを提出する。
−段階説
−遺伝と環境
−発達の創発性
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15 | まとめ・最終試験 | 講義のまとめ及び最終試験を行う |
評価は、平常点(毎回宿題を課す)と最終試験の合計点が 80 点以上で優、70〜79 点で良、60〜69 点で可、60 点未満で不可とする。平常点の得点配分は 40 点、最終試験が 60 点である。
March 10, 2020