線形代数学I

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講師須田 淳 教授
開講部局教養教育院 2020年度春学期(金曜2限)
対象者工学部1年生 (2単位週1回 全15回)

授業の目的およびねらい

「線形性」は近代科学における数量的取り扱いの最も基本的な概念であり、さまざまな分野で用いられます。その線形性を数学的に扱う手法を与えるのが線形代数学です。本科目は通年講義の前半として、行列の数学的取り扱いに習熟し、諸概念を理解することを目的とします。特に、座標幾何学(平面、空間)による幾何学的理解、連立一次方程式の解法への習熟、行列式の概念の理解を重視します。

授業の工夫

理工学の分野で線形代数は必須のツールです。なぜ線形代数を勉強するのか、どんなところが便利なのかの説明を丁寧にしてみました。授業の後半では一次独立ということがテーマになってきます。線形代数で使うのは連立方程式と図形の簡単な知識だけですが、そこに深い意味、驚くべき性質が隠されていることを見出してほしいと思います。

教科書

  • サイエンス社 数学基礎コース「基礎課程 線形代数」吉野雄二 著

授業内容

空間図形(空間内の平面と直線)

空間内の基本的な図形である直線,平面の方程式や方向ベクトル、法線ベクトルなどを通して、方程式に対する幾何的感覚を養います。
(キーワード)直線の方程式、平面の方程式、方向ベクトル、法線ベクトル、内積
(発展的内容)外積、空間ベクトルに対する線形結合、線形独立・従属、球面の方程式


行列

行列の基礎概念を理解し、その演算法則に習熟します。
(キーワード)行列の演算、単位行列、正則行列、逆行列、対角行列、転置行列
(発展的内容)三角行列、行列の分割、実対称行列、直交行列

行列の基本変形と連立一次方程式

行列の基本変形により階数の概念を理解し、連立一次方程式の掃き出し法による解法との関係を理解します。また、正則行列の判定と逆行列の計算法にも習熟します。
(キーワード)連立一次方程式、基本変形、拡大係数行列、行列の階数、解の自由度、逆行列の計算


行列式

行列式の基本性質、幾何的意味を理解し、行列式の計算に習熟します。また、行列の正則性と行列式の関係などについて学びます。
(キーワード)行列式の基本性質、行列式の展開、余因子
(発展的内容)置換、クラメールの公式、余因子行列と逆行列、平行6面体の体積 

講義ビデオ

・線形代数学I-前半

1. 線形代数Iを学ぶにあたって

2. 線形(性)とは?

3. 電気回路における線形性

4. ベクトル導入

5. ベクトルの一次独立

6. ベクトルの内積その1

7. ベクトルの内積その2

8. ベクトルの内積その3

9. ベクトルの外積

10. 行列 定義・定数倍・和・積

11. 行列 様々な行列

12. 逆行列の求め方

13. 線形写像の行列による表現

14. 単射全射全単射

15. 線形変換その1

16. 線形変換その2

17. 直交行列・逆行列

18. 直線・平面の方程式

19. 連立方程式の解と一次独立

20. 行列式の幾何学的意味

・線形代数学I-後半

1. 行列式の性質

2. 行列式計算テクニック

3. 行列式の余因子展開

4. 余因子行列

5. 拡大係数行列の掃き出しにより連立方程式や逆行列を求める

6. 行列の階数

レポート

レポート1-電気回路

レポート2-ベクトル内積外積

レポート3-行列計算練習

レポート4-線形写像と行列

レポート5-中間まとめ

レポート6-線形写像・直交行列他

レポート7-行列式

レポート8-行列式練習問題

レポート9-連立方程式

レポート10-基本変形行列階数

成績評価

演習(10%)、レポート(10%)、期末試験(80%)


投稿日

October 11, 2021