素粒子論と現代数学-2015

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講師浜中真志 講師
開講部局多元数理科学研究科 2015年度 公開講座
対象者高校生及び高校の教員、一般社会人

授業の工夫

物理学と数学は、20 世紀以前から、ニュートン力学と微積分、アインシュタインの一般相対論とリーマン幾何学、ゲージ理論とファイバー束といったように、互いに密接に刺激し合いながら相補的に発展してきた側面があります。この流れは 21 世紀になった現在も続いていますが、特に素粒子の超弦理論においてそれが顕著であり、ミラー対称性、超対称ゲージ理論、D ブレーンの研究を通じて、次々に新しい数学が生み出されています。

もともと物理学と数学は研究対象がまったく異なる学問であり、このように自然法則の背後に美しい数学が見え隠れするのは決して自明でなく驚くべきことです。この宇宙が良い数学を採用している証とも言えましょう。

この公開講座の授業では、この素晴らしい素粒子論と現代数学の関わりについて高校生に気分だけでも味わっていただこうと思い、時間をかけて意気込んで講演準備をしました。トポロジーの簡単な紹介からウィッテンのモース理論の話につなげるところが一番のオチだったのですが、参加者の半分が 1 年生でまだ微分も習っていないことが判明し(結局微分の定義から話しましたが)失敗に終わりました。。とは言え、参加者のみなさんは全日最後まで大変熱心に聴いてくださいました。この場をお借りして感謝申し上げます。

私の所属する多元数理科学研究科は、前身は数学教室ですが物理分野の教員が 15 ~ 20%ほど在籍していて、数学に近いところで物理学を研究をしている者にとって最高の環境です。数理物理学関連の授業も多く、私もこれまで解析力学、量子力学などを担当したことがあります。その際は、物理学と数学は本来別物で価値観や目標がまったく違うということを常に強調するようにしています。その上で、このような分野の勉強や研究を行うのは、この時代、実に楽しいことだと思います。

21 世紀はこれからもっともっと物理学と数学の交流が深まっていくものと確信しています。野望に満ちた若い人の参入をお待ちしております。

2015 年度名古屋大学数学公開講座

参加者募集案内

1 趣旨

数学とその応用に興味を持つ一般社会人, 高校生および高校教員を対象とした公開講座です. 講師を務めるのは名古屋大学大学院多元数理科学研究科に所属する教員達です. 多元数理科学研究科の教員はいずれも世界の第一線で活躍する研究者でもあります. その彼らが平明な言葉で数理科学について語ります. それを通じてひとりでも多くの方達に数理科学の有する魅力を理解していただけたらと願っています. 夏季集中講座と同じく愛知県教育委員会「知の探究講座」とタイアップして開催されます. 各講義は連続 3 回で行われます.

2 講演者/題目

A.「ユークリッドから現代数学への道」

大沢健夫 教授 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)

B.「計算と論理」 ジャック・ガリグ 准教授 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)

C.「素粒子と現代数学」 浜中真志 助教 (名古屋大学大学院多元数理科学研究科)

3 主催

名古屋大学大学院多元数理科学研究科

4 後援

愛知県教育委員会, 岐阜県教育委員会, 三重県教育委員会, 名古屋市教育委員会, 日本数学会中部支部

5 日時

10 月 10 日(土) 10 月 24 日(土) 10 月 31 日(土)
9:30 ~ 11:00 A. 大沢健夫 教授 B. J. ガリグ 准教授 C. 浜中真志 助教授
11:15 ~ 12:45 B. J. ガリグ 准教授 C. 浜中真志 助教授 A. 大沢健夫 教授
13:45 ~ 15:15 C. 浜中真志 助教授 A. 大沢健夫 教授 B. J. ガリグ 准教授
15:30 ~ 17:00 講師への質問時間 講師への質問時間 講師への質問時間

6 会場

名古屋市千種区不老町 名古屋大学大学院多元数理科学研究科 多元数理科学棟

7 対象者

高校生及び高校の教員, 一般社会人

8 参加料

無料

9 参加申込方法

参加希望の旨をハガキあるいは封書に氏名(フリガナ付き)・住所・連絡先電話番号・学生(学校名・学年), 教員, 社会人の別を明記して

〒 464-8602 名古屋市千種区不老町

名古屋大学大学院多元数理科学研究科 教育研究支援室 数学公開講座係

までお送りください.

10 連絡先

TEL: 052-789-5994 (直通)

FAX: 052-789-5397

E-mail: agora (at) math.nagoya-u.ac.jp

数学アゴラ

一括ファイル

素粒子論と現代数学

分割ファイル

1. イントロダクション(数学と物理学)

2. 20 世紀の物理学

2.1 相対性理論

2.2 量子力学

2.3 ブラックホール物理学

3. 素粒子論と現代数学

3.1 素粒子物理学(標準模型関連)

3.2 弦理論と現代数学

4. 参考文献・出典一覧

参考資料

参考資料

なお、上記PDFファイルは以下サポートページからもダウンロード可能です
サポートページには随時新しいリンクなども加えていくつもりです

サポートページ


投稿日

March 11, 2020