講師 | 足立守 教授 |
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開講部局 | 教育学部附属中・高等学校 2010年度 特別講義 |
対象者 | 附属高校1・2年生 |
地球には約 4800 種の鉱物があり、鉱物が集まって岩石(石ころ)になります。水の惑星地球では、水・鉱物・植物・動物が一体となって、一つの生態系を作っています。生物多様性を育む生態系は鉱物と深く関係しているので、鉱物ぬきで生物多様性を理解することはできません。中津川プロジェクトでは、鉱物(岩石)の多様性を学ぶとともに、五感のすべてを使って自然を観察します。自然をよくみて、自分の感性を磨き、あれこれ考えると、自然のことがだんだんと分かってきます。
高校生の取り組みの様子 (PDF 文書, 161KB)
(授業後の大谷尚附属学校校長による振り返りインタビューより)
ほとんど同じです。基本的な考えとして、高校生に自然(自然:動物・植物・鉱物+水)をよく見て何かを感じてもらいたいと考えました。一日の活動を通して、自然への興味を持つきっかけを持ってもらえればと思います。また、今日の午後にやりたかったのは、自然の中を歩きながら感じたことを俳句にする「俳キング」でしたが、雨でできなくて残念です。「分け入つても分け入つても青い山」という種田山頭火の俳句がありますが、文学でも自然科学でも、体験を発想に活かすこと で、これまで誰も出来なかったことが出来るようになる可能性が現れます。こうした自然の中での発想は、人間の思考過程で、重要な問いを形成する際に役に立つのではないでしょうか。
もっと質問があったらいいなと思いました。今の高校生・大学生は大勢の人の前で質問するのは苦手で、自分を目立たせるのを抑えていることが多いような気がします。皆の前で質問すると、他の人も同じ考えを持っていたのだと分かることもあるし、自分とは違う考え方があることにも気づくので、積極的に質問して欲しいです。特に、その時現場で「ここでしかできない質問」が出れば最高です。
特に地球環境についていえば、環境問題を考えるときに、今のペースで地球が温暖化していったら地球環境は激変してしまうというのが一般的な考え方。しかし、今のペースというのは、ここ数百年のこと。人類の歴史は高々 700 万年で、最初の哺乳類が登場したのは何億年も前に遡る。1 億年前の恐竜時代には、今よりもずっと地球が温暖化していたが、その原因は誰もわからない。時間は過去・現在・未来と続いているので、先を予測するには昔のことをよく知る必要がある。深く知れば知るほど将来の予測もきちんとできる。出来るだけロングスパンでものをみる必要があるのではないでしょうか。
そうですね。人間の発想というか考え方というのは多様ですが、無から有は生じない。ある発想が出るには、一見無関係にもみえる知識とか情報といったものがどこかに無いといけない。水晶の結晶ができる場合にも、結晶の核になるゴミみたいなものがあると出来やすいと言われています。人間の場合も同じで、偏差値で切った画一的な集団ではなく、いろんな考えの人が混じった集団だと、お互いに刺激しあって、それが広がっていくと思います。
また、名大博物館の使命として、今のようにバラバラに分かれてしまっている様々な専門分野を束ねて新しい知を作っていくこと、つまり創知と次世代教育が大事だと考えています。私が中津川プロジェクトに参加しているのは、こうした背景があるからです。
(5. 中津川の自然に触れるプログラムは雨天により中止)
鉱物をみて地球を考える (PDF 文書, 74KB)
May 16, 2020