言語文化学方法論a:表象の領域—普遍的イメージの成立を巡って-2009

default_image
講師福田眞人 教授
開講部局文学部/国際言語文化研究科 2009年度 後期
対象者国際言語文化研究科 日本言語文化専攻 (2単位週1回全15回)

講義目的

われわれの身近にある事象を詳細に検討してみると、いったいどのような理由でわれわれに重要な意味を持つようになったのか不明な場合がある。 理由も分からず、愛でていたり、尊重していたりすることがある。そうした事象のひとつひとつの成り立ち、また意識に上る条件を、考察・検討してみる。そして、その表象を、自らまとめて互いにプレゼンテーションすることで、表象の確認作業をする。それは、PPT(PowerPoint)や Keynote(Macintosh)というソフトウェアを使った発表を促し、いわば表象のルーツ探しの方法を探りかつそれを表象するセミナーである。参加型授業である。

授業の工夫

この授業では人が対象(cf.富士山、モナリザなど)を描く時にイメージと実際の乖離があることに着目し、私たちが普段当然と思っているイメージを画像でもう一度追求し直すことを試みる。これまでは資料を丹念に緻密に読むことが中心だったが、文字を見るということに対してもイメージを膨らませるということを試みている。特に授業ではマッキントッシュソフト・keynote を用い、文字そのものにイメージを与えるという工夫を凝らしている。

教科書・参考書

全体では特にない。しかし、「病気」に関しては以下の図書が参考になる。

  • シゲリスト『文明と病気』(岩波書店、岩波新書)
  • 立川昭二『病気の社会史』(NHK出版)
  • 福田眞人『結核の文化史:近代日本の病のイメージ』(名古屋大学出版会)
  • 福田眞人『結核という文化:病の比較文化史』(中央公論新社)
  • 福田眞人『北里柴三郎:熱と誠があれば』(ミネルヴァ書房)

授業の内容

  1. イントロダクション。表象の具体的提示。ディスカッション。
  2. 分析と考察の方法論。ディスカッション。
  3. 典型的な日本文化を表象するものの例示。
  4. 「富士山」の表象するもの、表象されるもの。
  5. 「美人」という表象。
  6. 病気がもたらす美人像の変化。佳人薄命。現実と空想の狭間で。
  7. 「自然」の呪縛とそこからの解放。
  8. 「不気味なもの」の意味について。
  9. 「病気」とは何かの表象について。
  10. まとめ。

講義資料

成績評価

授業参加が重要。発表と、報告書が双方同じ程度に評価の対象となる。つまり発表(50%)、レポート(50%)


投稿日

May 09, 2017