研究・実践・コミュニケーション-建築計画研究のジレンマと醍醐味

2016年度 退職記念講義

講師清水裕之 教授
開講部局環境学研究科
日時2017/3/3 15:00-16:30
場所ES総合館ホール
講師清水裕之 教授
開講部局環境学研究科
日時2017/3/3 15:00-16:30
場所ES総合館ホール

名古屋の文化と研究環境

1989 年 9 月に千葉工業大学から名古屋大学に移ってきました。名古屋は生まれ故郷でしたが、建築計画学、特に劇場建築の研究を当時行っており、演劇や音楽の優れた公演が少ないと思われたこと、お付き合いをしていた演出家や舞台技術者などがほぼ関東圏に集中していたことなどで、名古屋に行くことに実は葛藤がありました。しかし、後を押したのは、わたしも関わった愛知芸術文化センターへの期待です。新国立劇場の計画を先取りして我が国の最先端の劇場を創るという愛知県の意欲と、行われる演目への期待は、私の意識を大きく変えてくれました。92 年に芸文センターができ、ドイツ公演に先駆けて行われたバイエルン歌劇場の新演出「影のない女」の初演に立ち会えた時には、震えが止まりませんでした。芸文センターは、期待通り、その後のこの地域の舞台芸術の水準を大きく高めてくれ、建築計画者としても冥利につきます。

一寸脱線しましたが、こちらに来てみて、名古屋は、研究として地の利があることを実感しました。東京と大阪に挟まれて適度に質の高い情報が入り、それでいて、雑用に忙殺されることも少なく、自分の思う研究をじっくりと醸造させる時間がある場所です。名古屋大学のオープンな気質も素晴らしいと思います。こうした環境に支えられて研究・教育や社会活動に多くの成果を残すことができました。ここに改めて感謝を申し上げたいと思います。長い間ありがとうございました。

講師紹介

清水 裕之 (しみず・ひろゆき) 大学院環境学研究科 都市環境学専攻 教授

学歴

  • 1974 年 03 月 東京大学 工学部 建築学科 卒業
  • 1983 年 03 月 東京大学大学院 工学系研究科 建築学 博士課程 修了
  • 1976 年 03 月 東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 修士課程 修了

職歴

  • 東京大学生産技術研究所研究生 , 1983 年 04 月 ~ 1984 年 09 月
  • 日本学術振興会奨励研究員 , 1984 年 10 月 ~ 1985 年 03 月
  • 東京大学工学部研究生 , 1985 年 04 月 ~ 1985 年 12 月
  • 千葉工業大学講師 , 1986 年 01 月 ~ 1988 年 03 月
  • 千葉工業大学助教授 , 1988 年 04 月 ~ 1989 年 08 月

取得学位

  • 工学修士 , 東京大学 , 課程 , 1976 年 03 月
  • 工学博士 , 東京大学 , 課程 , 1983 年 03 月

研究分野を表すキーワード

建築計画、都市計画、地域計画、劇場、ホール、水、環境学、アーツマネジメント、グリーンインフラストラクチャー、ランドスケープデザイン

所属学会等

  • 日本建築学会 JABEE建築分野審査委員会委員長 2006,2008
  • 文化経済学会<日本> 会長 , 2012 年 09 月 ~ 2014 年 07 月
  • 文化経済学会<日本> 副会長 , 2010 年 04 月 ~ 2012 年 09 月
  • 文化経済学会<日本> 理事長 , 2008 年 04 月 ~ 2010 年 03 月
  • 文化経済学会<日本> 理事 , 1992 年 04 月 ~ 2008 年 03 月

投稿日

April 29, 2020