総合診療と医学教育の道を歩んできて

2016年度 退職記念講義

講師伴信太郎 教授
開講部局医学部/医学系研究科
日時2017/3/9 16:00-17:30
場所基礎研究棟(講義棟) 第4講義室
講師伴信太郎 教授
開講部局医学部/医学系研究科
日時2017/3/9 16:00-17:30
場所基礎研究棟(講義棟) 第4講義室

総合大学としての名古屋大学の魅力

2017 年 3 月をもって名古屋大学を退任することとなりました。最初に、1998 年 10 月に着任以来お世話になった先輩の先生方、同僚の皆さん、後輩の皆さん、事務の方々に感謝の意を表しておきたいと思います。

総合診療科は「全ての健康問題の窓口」となる診療科で、名大では私が赴任してから本格的な部門創りが始まりました。まず外来診療を名大病院の一室で開始し、その後数年して入院診療も開始しました。当初複数の臨床科の混成部隊であった教室員は徐々に総合診療を実践又は希求していた人たちに入れ替わって行きました。名大のような歴史のある医学部に新しい診療部門を創設する苦労はそれなりにありましたが、新しいことを始める楽しみはそれを上回るものでした。

名大に赴任した後の数年間は共通教育のカリキュラム作成に多少携わりました。私は臨床医ですが、医学教育に興味がありましたので、総合大学でこそ可能な、学部横断的な交流は一つの楽しみでもありました。また、その後教育学部や法学部の先生方とは総合大学ならではの学際的な交流ができました。今、アカデミアの発展は学際的なイノベーションが一つの方向性だと思います。Double degree の取得を始めとした学際的交流がもっと活発になれば、名大の魅力はもっともっと増すものと思います。

私は、公立単科医科大学を卒業し、その大学病院で 1 年間、米国でレジデントとして 3 年間、帰国後は国立病院で 6 年間、私立単科医科大学で 9 年間を過ごしてきましたが、名大での 18 年余が最も長い経験となりました。このような様々な職場環境の経験から私が感じますのは、総合大学の魅力です。名大が総合大学ならではのアウトプットを創出して、多様性に富んだ大学として今後も発展を続けて、世界でのプレゼンスを高めてゆくことを祈念しております。

講師紹介

伴 信太郎 (ばん・のぶたろう) 大学院医学系研究科 総合医学専攻 教授

学歴

  • 1979 年 京都府立医科大学 医学部 医学科 卒業

職歴

  • 京都府立医科大学小児科研修医 , 1979 年 04 月 ~ 1980 年 06 月
  • 米国クレイトン大学家庭医科レジデント , 1980 年 07 月 ~ 1983 年 06 月
  • 国立長崎中央病院厚生技官(内科医師) , 1983 年 07 月 ~ 1989 年 03 月
  • 川崎医科大学総合臨床医学 講師 , 1989 年 04 月 ~ 1993 年 09 月
  • 川崎医科大学総合臨床医学 助教授 , 1993 年 10 月 ~ 1998 年 09 月
  • 名古屋大学医学部附属病院総合診療部 教授 , 1998 年 10 月 ~ 2009 年 09 月
  • 名古屋大学医学部附属病院総合診療科 教授 , 2009 年 10 月 ~ 2011 年 03 月
  • 名古屋大学大学院医学系研究科健康社会医学専攻総合診療医学 教授 , 2011 年 04 月 ~

取得学位

医学博士 , 川崎医科大学 , 論文

研究分野を表すキーワード

家庭医療学 , 医学教育 , プライマリ・ケア医学 , 日常病 , 疲労 , 全人医療 , 基本的臨床能力

所属学会等

  • 日本医学教育学会 会長 , 2009 年 04 月 ~
  • プライマリ・ケア連合学会 理事 , 2010 年 04 月 ~
  • World Organization of Family Doctors Council member , 2008 年 04 月 ~ , その他
  • 日本内科学会
  • 日本小児科学会

後輩へのメッセージ


投稿日

April 29, 2020