加速器質量分析による放射性炭素年代測定と向き合った35年間

2015年度 退職記念講義

講師中村俊夫 教授
開講部局宇宙地球環境研究所
日時2016/3/19 15:30-16:30
場所環境総合館レクチャーホール
講師中村俊夫 教授
開講部局宇宙地球環境研究所
日時2016/3/19 15:30-16:30
場所環境総合館レクチャーホール

定年退職を迎えて

35 年間の在職期間を無事に終了して、この 3 月 31 日をもって退職します。この間、内外の多くの研究者に助けていただき職務を全うすることが出来ました。ご支援、有り難うございました。

名古屋大学に赴任してからは、加速器と質量分析装置を結合した「加速器質量分析装置」という当時の最先端技術を使った放射性炭素年代測定に従事してきました。当時は、この分野では放射能測定法が完成期を迎えておりましたが、そこに最新の方法でチャレンジしたわけです。放射性炭素の崩壊を待って崩壊数を計数する従来法ではなく、加速器質量分析では放射性炭素の個数を直接 1 個 1 個計数します。技術の進歩により、高精度、低バックグラウンドを達成して、今や放射性炭素年代測定の本流になっています。この年代測定の応用分野は理系・文系にまたがって広く、自身の専門分野を、加速器科学、地球環境化学、放射化学、文化財科学、考古学編年など、研究相手に応じて使い分けてきました。

さまざまな分野の研究者とお付き合いできて、35 年間を楽しく過ごさせていただきました。しかし一方では、多くの方に利用いただいたことで分析が忙しくなり、休祭日返上で仕事に没頭してきました。正月三が日も職場に出た年がほとんどでした。しかし、分析結果が貴重なデータとして論文発表されると、苦労が報われた達成感を得て、さらなる研究に向かう意欲が湧きました。私にとって、非常に充実した 35 年間でした。

講師紹介

中村 俊夫 (なかむら・としお) 宇宙地球環境研究所教授

学歴

  • 1972 年 広島大学 理学部 物性学科 卒業
  • 1980 年 広島大学大学院 理学研究科 物理学 博士課程 修了

所得学位

  • 1975 年 理学修士 広島大学
  • 1980 年 理学博士 広島大学

研究分野を表すキーワード

加速器質量分析、放射性炭素、放射性炭素年代測定、炭素サイクル、考古科学、文化財分析化学、文化財保存科学

専門分野

  • 地球宇宙科学
  • 文化財科学
  • 放射年代計測学

所属学会等

  • 日本質量分析学会
  • 日本第四紀学会 評議員
  • 日本文化財科学会 運営委員
  • 日本地球化学会
  • 日本地質学会
  • 日本植生史学会

講義資料

加速器質量分析による放射性炭素年代測定と向き合った 35 年間


投稿日

April 29, 2020