色素異常症の基礎と悪性黒色腫の臨床

2009年度 退職記念講義

講師富田靖 教授
富田靖 教授
開講部局医学部/医学系研究科
日時 2010/03/04 15:00-17:00
場所基礎医学研究棟4階第4講義室
富田靖 教授
講師富田靖 教授
開講部局医学部/医学系研究科
日時 2010/03/04 15:00-17:00
場所基礎医学研究棟4階第4講義室

退職にあたり

大学人の使命は言うまでもなく研究・教育ですが、これらに医学部の臨床教室ではさらに臨床(昨今では“収益を上げる臨床”)が加わります。名大で12年6カ月、その前の秋田大学で4年、その前の東北大学にて16年半、合計33年の大学勤務もこの3月で終わります。上を見ればきりがないのですが、大学人としては合格点に十分達したと自分では思っています。

私は30数年メラニンを生成する色素細胞(melanocyte)、 そしてその癌化した悪性黒色腫(malignant melanoma) について研究を行ってきました。私自身が誇れる教科書的な研究成果は3つあります。色素細胞や黒色腫細胞のマーカーとして現在利用されているチロジナーゼ関連蛋白 1 (TRP- 1、DHICA oxidase)は私が作成した単クロン性抗体により発見されたこと。1989年にチロジナーゼ遺伝子変異によって眼皮膚白皮症が発症することを世界に先駆けて明らかにしたこと。そして名古屋大学において、2003年に遺伝性対側性色素異常症の病因遺伝子が RNA 編集酵素の一つである adenosine deaminase acting on RNA 1(ADAR1)遺伝子であることを明らかにしたことです。そしてこれらの成果を軸にして研究を広げてきました。もちろんこれらの仕事は私が一人で行ったわけではなく、すばらしい共同研究者や優秀な大学院生に恵まれた結果であり、これらの方々には感謝しています。

最後になりましたが、名古屋大学の益々の発展を祈念しています。

講師紹介

富田 靖(とみた・やすし)医学系研究科教授

学歴

  • 1971年 東北大学医学部医学科 卒業
  • 1975年 東北大学医学研究科生理学(生化学)博士課程 修了

取得学位

  • 医学博士(東北大学)

専門分野

  • 皮膚科学

研究課題

  • 色素異常症に関する分子的および臨床的研究 (キーワード: 遺伝性皮膚疾患)
  • 皮膚癌に関する臨床研究 (キーワード: 皮膚腫瘍)
  • 色素細胞の生物学 (キーワード: 色素細胞、チロジナーゼ、メラニン)

所属学会・学会活動

  • 日本色素細胞学会 理事長 (2006-2009)
  • 日本研究皮膚科学会 理事 (1996-2001)
  • 日本皮膚科学会 評議員 (1994-)
  • 皮膚悪性腫瘍学会 理事 (2003-2020)
  • Society of Investigative Dermatology
  • 日本乾癬学会 評議員 (1994-)
  • 日本皮膚アレルギー学会 評議員 (2007-2011)
  • 日本癌学会

受賞学術賞

  • 財団法人 リディアオリリー協会 清寺記念賞 (1992)
  • 日本皮膚科学会 皆見賞 (1990)
  • 東北大学医学部奨学賞 金賞 (1989)

講義ビデオ

色素異常症の基礎と悪性黒色腫の臨床

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※講義動画の一部に実際の手術画像が含まれます


投稿日

February 15, 2017