心臓調律の成立と破綻

2009年度 退職記念講義

講師児玉逸雄 教授
児玉逸雄 教授
開講部局環境医学研究所
日時2010/03/12 15:00-16:00
場所野依記念学術交流館2階カンファレンスホール
児玉逸雄 教授
講師児玉逸雄 教授
開講部局環境医学研究所
日時2010/03/12 15:00-16:00
場所野依記念学術交流館2階カンファレンスホール

東山キャンパスの47年

私は、教育学部附属高等学校2年(1963年)から、東山キャンパスに通っていますから、約半世紀をここで過ごしたこと になります。医学部を卒業した後は、4年間静岡の病院に勤務しましたが、1975年からは環境医学研究所で心電図・不整脈の基礎研究を行うようになりました。当時は心臓の細胞電気生理学が脚光を浴びており、私も心筋活動電位の観察に明け暮れる毎日でした。研究所は東山キャンパスの最も奥まった位置にあり、自然の木立に囲まれたすばらしい環境です。梢の蕾と小鳥のさえずりに春の訪れを感じ、満開の桜に行く春を惜しむ。輝くような若葉に夏の訪れを、そして降りしきる落ち葉に冬の訪れを思うことができました。その後、助教授を経て教授に就任(1993)しましたが、四季の移ろいを味わうよりも、日々の業務に追われるようになりました。

大学は法人化(2004年)された頃から、競争原理が全てに優先し、 目に見える数値で常に成果を出すことを求められ続けています。その一方で、教員が瑞々しい感性で、研究・教育に携わることが難しくなってきています。未知の世界にチャレンジし、情熱が情熱を生み、感動が感動を呼び起こす大学本来の気風が、世代を超えて受け継がれてゆくことを祈念いたします。長い間、私を支えて下さった多くの先輩の方々、友人、後輩の皆様に、この場をお借りして深く感謝申し上げます。

講師紹介

児玉 逸雄(こだま・いつお)環境医学研究所教授

学歴

  • 1971年 名古屋大学医学部医学科 卒業

職歴

  • 1993年〜 名古屋大学環境医学研究所教授

取得学位

  • 医学博士 名古屋大学 (1980)

専門分野

  • 循環器内科学

研究課題

  • 心臓の歩調取り機構 (1980)
  • 不整脈の発生機序 (1980)
  • 心臓の細胞間結合: 病態に伴う変化 (1998)

研究経歴

  • 洞房結節ペースメーカ機構について研究 (1980-1985)
  • 薬物による心筋細胞イオンチャネルの制御、洞房結節細胞構築の形態学的、機能的多様性について研究 (1985-)
  • 高分解能心筋活動電位光学マッピングシステムの開発と、同システムを用いた心臓スパイラル興奮の解析 (1993-)
  • 病態に伴う心筋細胞リモデリングと不整脈発生の関連 (2000-)
  • 不整脈の遺伝子・細胞治療に関する基礎的研究 (2003-)

所属学会

  • 日本循環器学会 理事 (2002-2009)
  • 日本心電学会 理事 (1997-)
  • 国際心臓研究学会・日本部会 (2001-)
  • 日本生体医工学会 代議員 (2005-2007)
  • 日本内科学会 東海地方評議員 (1991-)
  • 日本生理学会 評議員 (1988-)
  • 日本薬理学会

受賞学術賞

  • 第7回日本心臓財団研究奨励 (1982)

講義映像

ビデオをみる。

ビデオ中で以下の文献から引用を行っています。

  1. Garfinkel A, Qu Z: Nonlinear dynamics of excitation and propagation in cardiac muscle. In Zipes DP, Jalife J (eds): Cardiac Electrophysiology: From Cell to Bedside, 3rd. ed. WB Sounders, pp. 315-320, 2000.

投稿日

May 16, 2020