失敗した事、やり残した事-−名古屋大学での19年

2009年度 退職記念講義

講師田中剛 教授
田中剛 教授
開講部局環境学研究科
日時2010/3/13 13:00-14:00
場所環境総合館レクチャーホール
田中剛 教授
講師田中剛 教授
開講部局環境学研究科
日時2010/3/13 13:00-14:00
場所環境総合館レクチャーホール

定年雑感

「無事定年を迎えられおめでとうございます」名古屋大学に移り来て19年、先輩の先生方がこの言葉で送られるのを見るたびに「何がおめでたいものか!あの先生はもっともっと研究したいはずなのに…かわいそうに」と思って来た。自分が定年を迎える今、この定式化された言葉にもううーんと納得させられる点が見えて来た。自分の能力(効率)を意欲の低下である。最先端(今流行でなく)にいるワクワク感が少なくなって来た。そうか、あの言葉はなぐさめの言葉だったのだ。

前任の国立研究所になかった事は、頑張る学生の存在である。セリウム同位体、岩石風化の構造規制、安定同位体分別、学生からのあおられとワクワク感の共有が研究を進める大きな原動力となった。外国から来てくれた多くの研究員や学生達も、生きた世界の文化を伝えてくれた。ああ、彼の地へ行ってみたい、そんな思いも度々であった。やはり大学は文化の坩堝なのだろうか。

心残りは、学生に「論文を書く」事を口酸っぱく教えたり実行しなかった事である。着任当初は「○○理学部長と松田聖子はどちらが偉いか」などという話しもよくさせてもらった。第2次安保時代に学生だった名残であろう?

で、私はこれから何をやるのか?まだまだ面白いバクチがある。もっとその先を見たい。あきらめの悪さが今日の本心である。

講師紹介

田中 剛(たなか・つよし)環境学研究科教授

学歴

  • 1969年 名古屋大学理学部地球科学 卒業

  • 1971年 名古屋大学理学研究科地球科学修士課程 修了

職歴

  • 1971/04-1990/12 工業技術院地質調査所研究員/同位体地学課長

  • 1990/12-2001/04 名古屋大学理学研究科助教授/教授、人間情報学研究科兼担当

  • 2001/04- 名古屋大学環境学研究科教授/理学部兼担

取得学位

  • 理学博士 (1975/11 名古屋大学)

専門分野

  • 地球環境化学

  • 同位体地球化学

  • 地球年代学/宇宙年代学

研究課題

  • 1980-2004 Rb-Sr, Sm-Nd, La-Ce, Re-Os同位体系による放射年代、地球惑星物質進化
  • キーワード: 同位体、放射年代
  • 1994- 地球化学図による地圏化学環境評価
  • キーワード: 環境評価、地圏環境、川床堆積物
  • 2006/04-2010/03 希土類元素の安定同位体分別度パターンの解析による地球化学・宇宙化学現象の解明
  • キーワード: 同位体分別、希土類元素、地球化学

所属学会・学会活動

  • 日本地質学会 編集委員 (1982)

  • 日本地球化学会 評議員/副会長/会長 (1982-, 2002-, 2004-)

  • 日本地球化学会 Geochemical Journal編集委員 (1988-1997)

  • 日本地球化学会 「地球化学」誌 編集長 (1991-1995)

  • 日本砂漠学会 評議員 (1990)

  • 日本岩石鉱物鉱床学会 評議員 (1991-1992)

  • 日本天文学会

  • 国際地球化学宇宙化学協会

  • 国際隕石学会

  • 地球化学会(米国)

受賞学術賞

  • 日本地球化学会 学会賞 (1993)

  • 地質年代学 宇宙年代学 同位体地学 国際会議 本田奨励賞 (1986)

  • 日本地質学会 研究奨励賞 (1972)

講義ビデオ

失敗した事、やり残した事 −名古屋大学での19年

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講義資料

最終講義 - 失敗した事、やり残した事 −名古屋大学での19年

後輩へのメッセージ


投稿日

May 07, 2020