数学展望-I-2015

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講師糸健太郎 准教授
開講部局理学部/理学研究科 2015年度 前期
対象者理学部1年生全学開放科目 (2単位週1回全15回)

授業の内容

有理数を高校までとは全く違った視点から特に幾何学的に考察する方法を学ぶ。具体的には連分数、フォードの円、双曲幾何の順に解説する。連分数とは有理数を入れ子状の分数で表したものである。計算には向かないが面白い性質を多く持っており、有理数や無理数に対する新たな見地が開けるだろう。次に各有理数に対応したフォードの円を学ぶ。このフォードの円を使うと、有理数同士の関係が幾何学的に理解できるようになる。またこのフォードの円は連分数と大変相性がよいのも特色である。以上の有理数とフォードの円の対応は、実は双曲幾何学を通してみると自然に理解できるものとなっている。講義の終盤ではこの双曲幾何の解説をする。双曲幾何とは通常のユークリッド幾何とは違い、「平行線の公理」を仮定しないで成り立つ幾何学である。この双曲幾何を円の反転を用いて初等的に説明する。

授業の工夫

予備知識を仮定せずに高校までの知識で楽しめる話題を選んだ。連分数やフォードの円は高校や大学の正規の課程では扱わないが、初等的に説明できることも多く現代数学にもつながるテーマでもあるので、このような講義にうってつけの話題であると考えた。フォードの円はそのなじみやすさにもかかわらず解説してある日本語の本が見当たらないので、この機会に紹介したいと考えた。授業では図を多用して議論を視覚的に理解できるように工夫した。またフォードの円が無理数に収束していく様子を示すコンピュータ動画を作成して学生に見せた。

講義の目的

高校や大学では通常習わないような数学の中で、 予備知識があまり必要でない話題を選んで講義する。 数理現象に対する好奇心を持ってもらうのが目的である。 具体的には連分数、フォードの円、双曲幾何に関わる話題を扱う。

キーワード

有理数、無理数、連分数、黄金比、フィボナッチ数列、フォードの円、双曲幾何、円の反転

履修に必要な知識

高校の理系数学の知識

他学科学生の聴講

全学開放科目であるので、興味のある全ての学生の受講を歓迎する。

スケジュール

内容
第Ⅰ部 連分数
1 連分数とは?
2 黄金比の連分数展開
3 無理数の連分数展開
4 収束分数列
5 2次の無理数
6 連分数のまとめ
第Ⅱ部 フォードの円
7 フォードの円
8 よい近似分数 (その1)
9 よい近似分数 (その2)
10 フルビッツの定理
11 フォードの円のまとめ
第Ⅲ部 双曲幾何
12 円の反転
13 双曲平面
14 双曲平面とフォードの円
15 双曲幾何のまとめ

講義ノート (一括ファイル)

数学展望 Ⅰ(一括ファイル, 67 ページ)

講義ノート (分割ファイル)

数学展望 Ⅰ(分割ファイル)

第 1 章 連分数

第 2 章 フォードの円

第 3 章 双曲幾何

成績評価方法

レポートにて評価する。レポート問題は全部で 30 題以上出すので、その中で解ける問題をレポートとして提出すること。 レポートの出来によって成績をつけ、10 題以上正解を合格の目安とする。


投稿日

May 10, 2020