講師 | 小松尚 准教授 |
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開講部局 | 教育学部附属中・高等学校 2010年度 特別講義 |
対象者 | 附属高校1・2年生 |
目を閉じて、あなたがこれまで過ごしてきた家の事を思い出してください。だれもが、楽しい出来事や思い出に残るひとときを一つや二つ、思い起こすのではないでしょうか。
その一方で、あなたが住む家と他の人の家は同じなのか、違うのかと、考えたことはありませんか? さらに、住宅を設計する建築家は、何を考えて設計しているのでしょうか?
夏の日のひととき、あなたが日々過ごす「住まい」を、違った目線で見てみませんか。
高校生の取り組みの様子 (PDF 文書, 154KB)
(授業後の大谷尚附属学校校長による振り返りインタビューより)
当初の予想を上回るくらい一生懸命に課題に取り組んでいて良かった。この授業のねらいは、様々な理屈でできている『住宅』を通して自らの体験を一般化し、それぞれについて再考してみることにあり、そのフィードバックこそが大切である。今回の講義は、自らの生活の一部として存在している『住宅』について改めて考え、それが自分の生活観及び人生観を規定しているということに気付く機会をもってもらうことを目的とした。名古屋大学の基礎セミナーではほぼ同じ内容で講義展開を行っている。講義の反省点としては、時間配分のミスがあった。当初予定していた時間を過ぎてしまうことがあり、また、グループワークの時間がオーバーしてしまった。
住宅の変化は生活の変化と捉えることができる。例えば、集合住宅の高層化や過度にプライバシーの確保を重視した住宅は、住民同士のディスコミュニケーションという問題の要因にもなっている。孤独死や無縁社会の問題は、現在の建築のあり方と無縁ではないのである。20 世紀の建築は、新しいものの構築に焦点が当てられて発展してきた。しかし、広く現在の建築は、一般の人々にとっての “使いやすさ”や“使いこなし”に焦点が当てられている。建築を細分化した捉え方ではなく、社会の中の建築という位置付けへの転換が、今必要となることである。建築の三大要素として『用・強・美』が挙げられるが、実はこれは生活者がみな持ち合わせている観点である。専門家と生活者の乖離を埋めることが、今後の建築の在り方を考える上で重要な課題になると考えている。
附属学校は一般高校と異なり、人的リソース(例えば大学の先生の講演など)が豊富である。役に立つという尺度では必ずしも測りえない貴重な経験を、学校生活を通じて得る事ができる。それこそが学校本来の役割であり、附属学校が担い得る使命でもあると思う。
住まいの見方 (PDF 文書, 72KB)
May 16, 2020