講師 | 溝口常俊 教授 |
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開講部局 | 教養教育院 2011年度 後期 |
対象者 | 文系学部 (2単位・週1回全15回) |
「インド・いちば・フィールドワーク」
定番の教科書を使い解説するといったスタイルはとらず、私が 1977 年以降4半世紀にわたって十数回訪問した際の記録、写真、ビデオなどを用い、とくに学生さんたちと同世代の若者がいかなる生活をしているのかという点に注目して、南アジア諸国カースト社会のウラ・オモテを臨場感あふれた形で伝えることに努力している。講師の一方的な講義ではなく、毎回質問するように問いかけ、かつ講義の期間中に2回、A4用紙1枚分程度で疑問点・質問を書いて貰い、翌週にその質問に答えるようにした。
新一年生用の地理学の講義では、いきなり南アジアに連れていくことにしている。 近くて遠いアジアの中でも、南アジア諸国(インド・バングラデシュ・ネパールなど)となると、気候、人種、言語、そして社会システムなど総てに於いて異質である。そんな国々から名古屋大学への留学生も増えつつあり、キャンパス内で彼らと接する機会も増えてきた。その一方、名古屋大学の学生は欧米、あるいはアジアのなかでも中国・韓国・東南アジア諸国へは留学、研修に数多くでかけるものの、南アジアへはほとんど足をむけない。こうした状況の中で、少しでも南アジアを知り親しんでもらうことを本講義の目的とする。
ヒンドゥー教徒とイスラム教徒が混住する南アジア社会で、かれらが、時には争ったりするであろうが、いかに仲良く暮らしているかを日常生活レベルで明らかにすること。
専門は日本近世・近代の地域史研究であるが、南アジアの現在をフィールドワークすることにより、時間と空間を超えた比較地域環境史研究の構築を目指している。
地理学および南アジア関係の講義一般
溝口常俊『インド・いちば・フィールドワーク』ナカニシヤ書店、2006.1
石原潤・溝口常俊『南アジアの定期市 − 伝統的流通システム』古今書院、2006.9
回 | 講義内容 |
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1 | ガイダンス |
2 | インドの気候 |
3 | カースト制度 |
4 | 食事 |
5 | 結婚 |
6 | 火葬 |
7 | さまざまなカーストの民 |
8 | ヒンドゥー教とイスラム教 |
9 | ヒンドゥー教の神々
中間テスト |
10 | 定期市 |
11 | アルミ食器の行商人 |
12 | バングラデシュの大洪水 |
13 | ネパール山岳地帯の通行人 |
14 | 開発と援助 |
15 | まとめ・定期試験 |
第 1 回
第 2 回
第 3 回
第 4 回
第 5 回
第 6 回
第 7 回
第 8 回
第 9 回
第 10 回
第 11 回
第 12 回
第 13 回
第 14 回
中間試験(30%)
定期試験(70%)
参考図書1:溝口常俊『インド・いちば・フィールドワーク』ナカニシヤ書店、2006.1
講義題目と同名の書物がナカニシヤ出版から 2006 年 1 月 1 日に発売され、2 月 22 日に全国図書館の選定図書に指定されました。内容は、北インド・サンディラ地区の全定期市(30 カ所)を訪問した際の日記です。1)サリーの国へ、2)ロダウラ村、3)大市、4)ラクダ記念日、5)火葬、6)王様の市と娼婦の村、7)別れ、8)再会、の8章からなり、解説編として 1)カースト制度、2)北インドの村落、3)定期市、4)ヒンドゥー教とイスラム教、5)ヒンドゥー教徒の結婚、6)インドの気候、7)カースト社会の食事、8)大道芸の裏舞台、を付けておきました。はじめての海外旅行がインドという学生さんの日記ものせてあります。
参考図書2:石原潤・溝口常俊『南アジアの定期市 − 伝統的流通システム』古今書院、2006.9
インドをはじめとする南アジアの国々では、現在も多数の人々が農村で暮らしている。そこでは今なお伝統的な定期市(periodic market)が、商品やサービスが交換される場として、重要な役割を果たしている。本書は、こうした定期市に集う人々に焦点をあててカースト社会の実像と変容を明らかにする。筆者らは 1984 年から 89 年までバングラデシュ、西ベンガル、北インド、南インドの4箇所でそれぞれ 30 前後の定期市を訪ね、市マップを作成し、売り手、買い手に聴き取りした。その調査報告書である。 4地域の調査方法をほぼ統一したので、インド・バングラの定期市を比較検討することができる。このうち、北インド調査時の裏話にあたるのが前掲の参考図書1である。
2006 年 8 月 3 日 あいち知と技の探検講座「環境学の冒険」 南アジアの環境とフィールドワーク
May 15, 2020