電子顕微鏡による細胞内微細空間構造の解析:膜細胞骨格から核膜骨格へ

2012年度 退職記念講義

講師臼倉治郎 教授
臼倉治郎 教授
開講部局エコトピア科学研究所
日時2013/3/14 15:00-16:00
場所ES総合館ESホール
臼倉治郎 教授
講師臼倉治郎 教授
開講部局エコトピア科学研究所
日時2013/3/14 15:00-16:00
場所ES総合館ESホール

退任に際して

昭和 63 年 9 月に名古屋大学に着任してから 25 年が過ぎました。長いようで過ぎてみれば一刹那です。「歳月人を待たず」、「光陰矢のごとし」月並みではありますが、退任に際し実感する言葉です。

最初は医学部でお世話になり、先端技術共同研究センターを経てエコトピア科学研究所で定年を迎えました。私の専門は細胞生物学で、生命現象の「場」としてのアクチン細胞骨格の空間構造を電子顕微鏡により解析しております。エコトピア科学研究所では責任専攻が材料工学であることから、材料工学に即した生命科学を模索し、これまで未経験のナノ粒子の毒性評価の研究に挑戦し、さらに drug delivery の研究も開始いたしました。

これらの研究は私の本来の研究とは別に推進され、材料工学から配属されている大学院生の努力によるところが極めて大であります。7 年目にしてようやく、この方面で論文が出て、国際会議からも招待されるようになりました。また、退任直前になり、癌の中性子線治療に資する研究として、ボロン(10B)を効率的かつ選択的にがん細胞内に取り込ませる方法の研究が産総研との共同で始まりました。drug delivery は世界的には研究者の多い分野ですが、日本の寄与は小さく、今後の発展が望まれます。

退任後はこれまでの研究を纏めることと、生物電顕技術の普及に努めたいと考えております。退任に際し、皆様のご活躍をお祈りします。

講師紹介

臼倉治郎 (うすくら・じろう) エコトピア科学研究所教授

学歴

  • 1972 年 横浜市立大学文理学部(理学系)生物学科 卒業
  • 1981 年 東京大学大学院 医学研究科 解剖学 博士課程 修了

取得学位

  • 理学修士 東京教育大学 課程 , 1975 年 03 月
  • 医学博士 東京大学 課程 , 1981 年 03 月

専門分野

  • 生物物理学
  • 細胞生物学

受賞学術賞

  • 日本電子顕微鏡学会瀬藤賞, 1994 年
  • 日本電子顕微鏡学会論文賞, 1983 年

所属学会

  • 日本顕微鏡学会 編集委員 , 2009 年 04 月〜
  • 日本細胞生物学会 評議員 編集委員 , 2010 年 04 月〜
  • 日本生物物理学会 編集委員 , 1992 年 04 月〜1993 年 03 月
  • 日本解剖学会
  • 日本神経科学会 専門委員 , 1992 年 04 月〜1993 年 02 月

講義資料

電子顕微鏡による細胞内微細空間構造の解析:膜細胞骨格から核膜骨格へ


投稿日

May 12, 2020