食品機能化学研究と共に

2009年度 退職記念講義

講師大澤俊彦 教授
大澤俊彦 教授
開講部局農学部/生命農学研究科
日時2010/2/12 14:45-15:30
場所生命農学研究科第12講義室
大澤俊彦 教授
講師大澤俊彦 教授
開講部局農学部/生命農学研究科
日時2010/2/12 14:45-15:30
場所生命農学研究科第12講義室

定年退職を迎えて

昭和53年3月に名古屋大学へ赴任して以来、私の人生の半分以上を名古屋で過ごしました。東大大学院ではキクの植物ホルモン、博士取得後は、オーストラリア国立大学理学部科学科でユーカリの植物ホルモンの生物有機化学的研究を行いました。名古屋では、並木満夫名誉教授、川岸舜朗名誉教授という、素晴らしい指導者に恵まれ、また、多くのスタッフ、共同研究者、職員の皆様、また、優秀な卒業生と共に、産学連携も活発に行うことができ、充実した研究生活でした。特に、印象深いのは、1984年に日本でスタートした「機能性食品」研究の流れが世界的な流れとなり、“科学的な根拠に基づいた” (Evidence-based)「機能性食品」の開発に大きな貢献ができたことです。

特に、酸化ストレス制御の基盤的な研究アプローチは、われわれの研究室の最重要のテーマであり、研究成果が世界的レベルで評価されたことでした。特に、最近では、一滴の血液や唾液、尿中に存在する 「酸化ストレスバイオマーカー」を利用した「抗体チップ」による未病診断、食品機能性評価の開発を進め、2009年には、大学発ベンチャー企業「 (株) ヘルスケアシステムズ」社をスタートさせることができました。今後も 、ヒト臨床分野での機能性食品研究に関与できればと願っておりますが、その展開には名古屋大学の果たす基礎研究の果たす役割は益々重要視されることと確信し、今後の益々のご発展を期待しています。

講師紹介

大澤 俊彦(おおさわ・としひこ)生命農学研究科教授

学歴

  • 1974年 東京大学農学系研究科農芸化学博士課程 修了
  • 1969年 東京大学農芸化学科 卒業

職歴

  • 1974/01-1977/12 オーストラリア国立大学理学部化学科 留学
  • 1977/01-1978/12 学術振興会 奨励研究員
  • 1978/01-1988/12 名古屋大学農学部 助手
  • 1988/01-1995/12 名古屋大学農学部 助教授
  • 1995/04- 名古屋大学農学部 教授
  • 1999/04- 名古屋大学大学院生命農学研究科 教授

取得学位

  • 農学博士(東京大学)
  • 農学修士(東京大学)

専門分野

  • 食品科学
  • 応用生物化学
  • 生物生産化学・生物有機化学

研究課題

  • 1978- 酸化ストレスによる生体傷害機構の解明
  • 1978- 機能性食品因子による疾病予防機能の解析
  • 1978- 酸化ストレスバイオマーカーと未病診断バイオマーカーを用いた評価系の開発

所属学会・学会活動

  • 1999 日本農芸化学会 理事
  • 2006 日本酸化ストレス学会 理事
  • 1995- 日本食品科学工学会 評議員
  • 1997 日本栄養・食糧学会 評議員
  • 1996 日本フードファクター学会 代表幹事
  • 1999 日本食品科学工学会 理事
  • 1997- 日本過酸化脂質・フリーラジカル学会 評議員
  • 1997- 岐阜県科学技術振興会 委員
  • 1997 日本がん予防研究会 世話人
  • 1996- 日本香辛料研究会 役員
  • 1996- 日本メイラード反応研究会 世話人
  • 1996- がん予防研究会 世話人
  • 1995- 日本油化学協会 幹事
  • 1995- 日本ゴマ科学会 幹事
  • Royal Australian Chemical Institute
  • 日本癌学会
  • 日本環境変異原学会

受賞学術賞

  • 2002 日本農芸化学会賞
  • 2003 飯島食品科学賞
  • 1986 日本農芸化学奨励賞

講義資料

最終講義スライド抜粋


投稿日

April 02, 2013