多分野融合実践演習・実習-2018

講師入江克雅 助教, 藤間達哉 助教, 安井猛 助教, 大塚北斗 助教, 島崎嵩史 助教, 森本菜央 助教, 辰川英樹 助教, 蟹江慧 助教, 澁谷正俊 講師, 阿部一啓 准教授, 兒玉哲也 准教授
開講部局創薬科学研究科 2018年度 集中講義
対象者基盤創薬学専攻(1年次通年集中博士課程前期課程) (必修・「演習」1単位「実習」2単位)

授業の内容

「他分野融合実践演習」と「他分野融合実践実習」は、互いに関連する講義である。

「実習」

分野横断的に実習(有機化学系・生命科学系・構造科学系)を実施し、各研究分野における先端的実験・研究の基礎を体得する。短期間で学際領域研究を体験し、見聞と知識の枠を大きく広げる研究指導を行う。

「演習」

多分野融合実践実習で得られた実験結果をもとに資料を作成し、発表・討論を行う。それらを通じて、各領域に特有な基礎的知識および薬学の基礎を習得する。本科目を通じて多分野融合研究のセンスを実行力が伴う形で身につける実践的教育を行う。

授業の工夫

創薬科学研究科では、全国的にもほとんど例がない大学院での実験実習を行っています。大学院での実習ということもあり、予めプロトコルが決まっていて結果の分かっている内容ではなく、学生自らが化合物を設計し、合成・生物活性評価を行います。自らが設計した化合物を作り、世界で初めて標的に対する活性評価を明らかにしますので、大きな達成感が味わえます。多分野融合実践演習では、班ごと、どのように考えて化合物を設計し、得られた結果についてどのように考察しているかをプレゼンテーションし、ディスカッションを行います。お互いに、どのように考えたのか、どのような結果が得られたのか、とても興味が湧きますので、ディスカッションは毎回盛り上がります。これまでに多分野融合実践実習での成果が研究科内共同研究へと発展した実績があり、2 報の論文を発表しています。

論文成果

  • The cryo-EM structure of gastric H+,K+-ATPase with bound BYK99, a high-affinity member of K+-competitive, imidazo[1,2-a]pyridine inhibitors. Abe, K., Shimokawa, J., Naito, M., Munson, K., Vagin, O., Sachs, G., Suzuki, H., Tani., K. & Fujiyoshi, Y. Sci. Rep., 7, 6632 (2017) https://www.nature.com/articles/s41598-017-06698-8
  • Tschimganine and its derivatives extend the chronological life span of yeast via activation of the Sty1 pathway Hibi, T., Ohtsuka, H., Shimasaki, T., Inui, S., Shibuya, M., Tatsukawa, H., Kanie, K., Yamamoto, Y., & Aiba, H. Genes to Cells, 23, 620 (2018) https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/gtc.12604

授業の目標

「演習」

多分野融合による創薬科学教育を遂行するため、有機化学系・生命科学系・構造科学系における基礎的知識および創薬科学の基礎を、演習を通して体得し、実行力が伴う融合学力基盤を育成する。

「実習」

有機化学系・生命科学系・構造科学系における先端的研究手法・機器利用技術の基礎を体得し、専門性を広げ融合的な研究発想力を習得する。創薬科学研究の基盤力としての基礎専門性を構築する。

授業計画

「演習」

  1. 有機化学の基本となる分子の立体・電子構造、官能基と反応性、反応機構について演習を実施する。
  2. 生命システム解明の基礎となる遺伝子、タンパク質、細胞を対象とした遺伝学、生化学、情報科学の基礎について演習を実施する。
  3. 創薬標的分子となるタンパク質の機能推定や分子相互作用を理解するための構造情報(NMR・X 線回折・分子構造)の基礎と利用法について演習を実施する。

「実習」

  1. 構造系実習 I:生物活性化合物とその標的たんぱく質との複合体構造をもとに、新しいアゴニスト/アンタゴニスト候補化合物をデザインする。
  2. 有機系実習:構造系実験でデザインした候補化合物を合成する。
  3. 生物系実習:合成した候補化合物の生物活性を評価する。
  4. 構造系実習 II:生物系実習での生物活性評価結果をもとに、候補化合物と標的たんぱく質との相互作用についてコンピューター解析を用いて考察する。

参考書等

「演習」

必要に応じて参考資料を配布する。

「実習」

実習テキストを配布する。

講義ノート

成績評価

平常点 40%、レポートあるいは討論 60%で評価し、合計 100 点満点で 60 点以上を合格とする。課題未実施者は欠席とする。


投稿日

June 15, 2020