講師 | 廣瀬幸雄 教授 |
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開講部局 | 文学部/文学研究科 2008年度 前期 |
対象者 | 文学部2年次生以上 (2単位・週1回全15回) |
廃棄物、水、交通、エネルギーなどに関する多様な環境問題についての消費者・住民の認知・態度・行動の特徴やその規定因との関連を、環境心理学の視点から解明する。あわせて、グローバルおよびローカルの環境問題の解決に対して心理学がどのような貢献をできるのかを、環境ボランティアや環境 NPO による様々な環境問題への取り組み事例などをもとに、アクションリサーチ、フィールド実験、擬似実験、社会調査、事例分析などの研究アプローチの意義とともに考察する。
環境問題は、人間が個人としてあるいは組織として行動した結果生じることがほとんどです。ですから、環境問題に対して人がどのように認識し、どのように行動するのかについての心理学的な理解が必要になります。授業の最初には、現実の環境問題を単純な事態で再現したゲームシミュレーション(産業廃棄物の不法投棄と管理の問題)を体験します。受講生が、その仮想体験にもとづいて、現実の問題を自分の問題として分析し、問題解決に何が必要かを考えるようにオリエンテーションを行っています。
環境にかんする心理学的研究は、人間と環境との相互依存のなかで生じるさまざまな環境問題を研究対象としていますが、全ての事例を詳しく紹介することはできないので、講義では、地域レベルの環境問題(ゴミ問題とリサイクル,渇水,生活排水汚染,省エネルギー,公共交通など)の事例を中心にとりあげて、それぞれについて心理学からどのように理解できるのか、またその解決に心理学がどのように貢献できるのかを紹介します。
ローカルからグローバルなレベルまでの環境問題についての認知・態度・行動の特徴を明らかにし、あわせて環境保全にたいして心理学はどのような貢献ができるのかを考える。
環境問題についてのさまざまな分野やアプローチについての概観的研究
環境問題についての態度・認知に関する研究
環境問題についての応用的・実践的な研究
環境問題のゲーミングなどの研究
環境計画への市民参加や合意形成の研究
回 | 講義内容 |
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1 | 環境問題のゲームシミュレーションを体験する |
2 | 環境をめぐる社会的ジレンマは解決できるのか(第2章) |
3 | 環境問題のリスクをひとはどう認識するのか (第1章) |
4 | 環境配慮行動は愛他行動として理解できるか (第3章) |
5 | 環境配慮の態度と行動の不一致はなぜおきるのか(第4章) |
回 | 講義内容 |
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6 | 認知変容の手法:情報提供により環境認知を高める(第5章) |
7 | 行動変容の手法(1):行動を促進阻害する要因をコントロールする(第6章) |
8 | 行動変容の手法(2):行動を促進阻害する要因をコントロールする(第6章) |
9 | 意図変容の手法:環境行動の動機や意図を強める(第7章) |
10 | アクションリサーチ:ボランティアによるリサイクルシステムの設立(第8章) |
回 | 講義内容 |
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11 | 社会調査:環境計画への市民参加とエンパワーメント(第9章) |
12 | 擬似実験:ごみ分別制度導入に対する社会的受容のプロセス |
13 | 事例分析:交通計画への市民参加と合意形成(第10章) |
14 | 社会実験:環境配慮行動を促す環境教育プログラムの評価(第11章) |
15 | まとめ・レポート試験 |
概要
第 1 回
第 2 回
第 3 回
第 4 回
第 5 回
第 6 回
第 7/8 回
第 9 回
第 10 回
第 11 回
第 12 回
第 13 回
第 14 回
講義への出席(20%)とレポート(80%)によって成績を評価する。
May 08, 2020