講師 | 松田 直之 教授 |
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開講部局 | 医学部/医学系研究科 2024年度春学期 |
対象者 | 学部4年生 |
《大講堂講義の目的と概要》
救急・集中治療医学(Emergency & Critical Care Medicine)は、高度急性期医療における急性期病態の診断と治療の学術です。急性期病態の速やかな診断と治療に加えて、平時からの管理システムを構築するた めの学術領域です。救急医療のキーワードは、「緊急性」と「分散搬送」です。救急医療および集中治療の専門性は、医療における緊急性と重症性への対応にあります。
本講では、総論として「救急医学」を中心として、その学術背景を解説し、救急医療を考える基礎を形成することを目的とします。各講義は、独立した内容を扱うものの、一つの重要な視点から全体像を俯瞰し、救急医療の糸がつながるように、救急疾患の病態学、そして診断と治療の解説とします。
本講義は、講義数9コマを有効に活用し、救急医学の学習の基盤を形成するための系統講義とします。全身管理学をより深く学びたい場合は、当講座の特別講義を選択されて下さい。救急医学の根底や考え方を学術として理解することを目標とします。講義は学習のためのペースメーカーです。本講義への積極的な参加を期待します。
《臨床実習の概要》
臨床実習Ⅰでは、救急科専門医により、実践的テーマを設定した講義と演習、そして患者さんを受け持つことによる診療実習が行われます。この臨床実習は、医学部附属病院および関連連携病院での診療実習です。救急搬入の実際、急性期ベッドサイドでの診察などを通じて、急性期医療の診断と治療を学び、急性期管理医学の根底を整理して頂きます。講義においては、必要に応じてZOOMなどのWEBシステムを用いた遠隔授業や質疑応答なども有効に活用し、臨床実習としての工夫をします。実習の最終日には、担当症例の発表などを行い、急性期診断と急性期治療の理解を深めて頂きます。
臨床実習Ⅱでは、救急科専門医また集中治療科専門医などにより、救急医学と集中治療医学の診療、研究および心肺蘇生、外傷、気道確保、ABCDEアプローチ、重症感染症管理などのoff-the jobトレーニングを含む教育について理解を深めることを目標とし、連携病院での救急実習を含めて、深く救急医療と集中治療を学ぶ機会とします。将来、救急科専門医や集中治療科専門医などを希望する医学生に向けて、より充実した臨床実習とします。
授業では,1)知識がないことを前提とすること,2)考える基本を作ること,3)できるだけ記憶させないことを3つの目標として,講義を組み立てています。医療においては,テクニカルターム(専門用語)や略語などとして共通の言語体系ができることにより,共に仕事をしやすくなる側面があります。そのようなことをたくさん覚えることに専心するのではなく,むしろ各々の根底にある幹を押さえ,その用語がどうして必要なのか,なぜその用語が使われ続けているのかを理解していただくように授業を工夫させていただいています。
私が専門とする「救急医療」では,1)「緊急性」の読み取りと急速な治療,2)1ヶ所に緊急性の高い患者搬送を固めない「分散搬送」の仕組作りが重要です。また,救急医療に併設される「集中治療」は極めて充実してきている学術領域です。高度急性期医療,そして急性期医療として,救急医療と集中治療は重要な役割を担っています。救急医療においても,集中治療においても,個々の各論においてはたくさんのエッセンスがありますので,指導医を取得するには毎日診療していても10年以上を必要とします。このような状況において,授業では根底となる考え方や捉え方を幹として,わかりやすく説明することを目標としています。
講義では,1)スライド作成:文字をできるだけ少なくする,2)目標と達成事項を明確とする,3)授業のフィードバックとして「ミニッツレポート」を記載していただくなどの工夫をしています。その上で,講義コマ数が絶対的に少ないことが,私の悩みです。もっと多くの講義コマ数があれば,救急医学や集中治療医学の詳細を講義で共有することができる状況にあります。
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January 21, 2025