西洋政治史

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講師近藤 康史 教授
開講部局法学部/法学研究科 2022年度秋学期
対象者法学部3・4年生

授業の目的

ヨーロッパの国々の間で、政治体制や政治制度、政策の共通性や差異はどのようにして生まれたのだろうか。また現代のヨーロッパ政治は流動期にあるが、その源流はどこにあるのだろうか。本講義では、①民主主義制度、②政党と政党システム、③福祉国家を中心として20世紀以降のヨーロッパ政治を検討し、これらの問題について考えることを目的とする。また時々、ヨーロッパ政治に関わる映画なども取り上げ、多面的な形で理解を深める。

到達目標

上記の①②③を中心に、現在のヨーロッパ政治の確立や安定化の歴史、またその展開や制度に関し、ヨーロッパ諸国間でどのような共通性や違いがあったのかなどについて理解する。また単に政治史の知識を獲得するだけでなく、歴史・比較の理論や概念についても理解を深め、それらを用いて自ら関心を持つ西洋政治史上の事象を分析する能力を身につけることも目標とする。

授業の工夫

ヨーロッパの国々の間で、政治体制や政治制度、政策の共通性や差異はどのようにして生まれたのでしょうか。また現代のヨーロッパ政治は流動期にありますが、その源流はどこにあるのでしょうか。本講義では、単にヨーロッパ政治の歴史を振り返って知識を得るだけでなく、これらの「問い」を常に意識し、そこに至る文脈や伏線を解き明かしていくことに重点を置いています。 そのため本講義は、それらの問いを解明する道具となる歴史・比較の理論や概念についても理解を深められるよう、工夫しています。そのことで、西洋政治史に限らず、それらを用いて自ら関心を持つ事象を分析する力を養いたいと考えています。

授業の内容や構成

(1)イントロダクション:本講義の内容や進め方などについて
(2)現代ヨーロッパの状況①:イギリスのEU離脱と議会政治の機能不全
(3)現代ヨーロッパの状況②:ポピュリスト政党の台頭と政治の流動化
(4)歴史・政治・比較①:歴史的制度論と経路依存性
(5)歴史・政治・比較②:政治の「凍結」と制度化
(6)議会政治の成立と発展
(7)政党の形成と発展
(8)労働運動と社会民主主義政党
(9)福祉国家の起源と分岐
(10)革命と民主化
(11)ファシズムと戦時体制
(12)戦後体制と民主政治①:イギリスと西ドイツ
(13)戦後体制と民主政治②:フランス・イタリア・スペイン
(14)戦後和解と福祉国家の発展
(15)福祉国家の類型
(16)ECの形成
(17)ECの発展
(18)福祉国家の停滞
(19)新自由主義①:イギリス・サッチャー政権を中心に
(20)新自由主義②:西ドイツ、フランス、スウェーデン
(21)新しい社会運動と脱物質主義
(22)社会民主主義政党の変化
(23)社会民主主義政党の諸政策
(24)EUのさらなる発展
(25)政治化するEU
(26)ポピュリズム政党の台頭
(27)政党システムの変容と分解
(28)コロナ危機とヨーロッパ
(29)ヨーロッパはどこに向かうか
(30)まとめと質疑応答

評価方法と基準

毎回のレスポンスペーパー(計40点)+期末レポート(60点)
合計で60点以上を合格要件とする。

教科書・テキスト

特に定めない。
毎回の講義でレジュメを配布する。

参考書

松尾秀哉・近藤康史・近藤正基・溝口修平編『教養としてのヨーロッパ政治』(ミネルヴァ書房、2019年)
網谷龍介・伊藤武・成廣孝編『ヨーロッパのデモクラシー(改訂第2版)』(ナカニシヤ出版、2014年)
伊藤武・網谷龍介編著『ヨーロッパ・デモクラシーの論点』(ナカニシヤ出版、2021年)
その他、講義中に提示する。

課外学習等

配布したレジュメを復習すること。
関心と必要に応じて、講義中に示された参考文献を読むこと。

講義資料

第14回


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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投稿日

July 13, 2023