講師 | 石黒澄衞 准教授 |
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開講部局 | 教養教育院 2011年度 前期 |
対象者 | 文系学部、情報文化学部(自然)、理学部、農学部、工学部(I、III、IV、V系)1年生 (2単位・週1回全15回) |
いまどき「遺伝子」という言葉を知らない人はいないでしょう。遺伝子組換え、遺伝子診断、DNA 鑑定など、遺伝子を扱う技術はずいぶん身近なものになってきました。でも、遺伝子と DNA の関係は? と聞かれたり、赤花遺伝子と白花遺伝子は何が違うの? と聞かれたりしたとき、正確に答えられる人は多くないかもしれません。この基礎セミナーでは、大腸菌に新しい遺伝子を導入する「遺伝子組換え実験」や、遺伝子を検出する方法である「PCR 実験」を実際に行いながら、遺伝子とは何か、遺伝子を使うとどんなことができるのかについて理解を深めます。
「自分の手で理解しよう」、「自分の目で理解しよう」がコンセプトです。理科離れが言われて久しい昨今ですが、実験や観察のない学校の理科が敬遠される一方で、映像を駆使した科学クイズや科学手品のテレビ番組は人気です。「へぇーー」という感動が大切なのだと思います。…ならば自分でやってみましょう。本の中の学問も面白いけれど、百聞は一見にしかず、実験をしながら理解するのがサイエンスの基本だと考えています。
でも、「へぇーー」と言っているだけではその本質まで理解したことにはなりません。実験を理解するためにはある程度の基礎知識も必要です。この基礎セミナーでは「基礎知識をつけるための勉強会とその発表会」、「実験」、「実験結果についての討論会」というサイクルを繰り返しながら、遺伝子についての理解を深めていこうと思います。
また、この基礎セミナー全体も二部構成になっていて、前半の第一部では基本的な実験を、後半の第二部では「課題研究」と称して遺伝子鑑定などの応用実験を行う予定です。
「遺伝子って興味あるけど難しそう」と思っているあなた、「遺伝子のことは本で勉強したから結構知ってるつもり…だけど見たことはない」というあなた、遺伝子の世界をのぞいてみませんか?
遺伝子を使った実験を行いながら、遺伝子のことを深く理解するのが目的です。遺伝子のことを研究するのは分子生物学という学問ですが、遺伝子を小説に例えるなら、分子生物学の教科書は文法の教科書のようなもの。文法を知らずに小説は読めませんが、文法だけ勉強しても小説の面白さはわからないでしょう。この基礎セミナーでは、分子生物学の知識は最小限にして、遺伝子のナマの世界を見てみようと思います。
遺伝子や DNA のことをよく理解するために、DNA を使った基本的な実験をいくつかやってみます。「大腸菌を遺伝子組換えする実験」、「ブロッコリーから DNA を取り出す実験」、「PCR 法で特定の遺伝子を検出する実験」を予定しています。
各実験の前には、どのような目的でどのような操作を行うのかを事前学習し、発表します。実験を行ったあとは、結果と考察をレポートにまとめるとともに、パワーポイントを用いて発表会(討論会)を行って、実験で何がわかったか、また、それをほかの人に理解してもらうためにはどのように工夫して説明したらよいか、を考えてみます。
課題は、前半で学習した「PCR 法」を使って解決できるものを選ぶ予定です。教員や TA のアドバイスを受けながら実験を組み立て、実施します。発表会では、実験の内容やその結果をわかりやすく説明するにはどうしたらよいかを考え、工夫してみます。そして実験で明らかにしたことが産業や医療の現場ではどのように活用されているか、将来どのような応用が期待されているかを考えてみます。
遺伝子に興味がある人で、実験が好きな人なら文系理系は関係ありません。中学・高校の 理科(生物)で「メンデルの法則」を習ったことがあれば予備知識としては十分です。
使用しない。
ブルーバックス DVD & 図解「見てわかる DNA のしくみ」JT 生命誌研究館 工藤光子、中村桂子著 講談社 (2007)
回 | 講義内容 |
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1 | イントロダクション・図書館ガイダンス |
2 | 自己紹介・講義「遺伝子とDNAの基礎知識」 |
3 | 実験1の事前学習(発表会) |
4 | 実験1・懇親会 |
5 | 実験1のまとめ・講義「DNAの構造とDNAの複製」 |
6 | 実験2の事前学習(発表会) |
7 | 実験2 |
8 | 実験2・まとめ |
9 | 課題研究(計画・実験・データ整理・発表準備)(1) |
10 | 課題研究(計画・実験・データ整理・発表準備)(2) |
11 | 課題研究(計画・実験・データ整理・発表準備)(3) |
12 | 課題研究(計画・実験・データ整理・発表準備)(4) |
13 | 課題研究(計画・実験・データ整理・発表準備)(5) |
14 | 課題研究の発表会 |
15 | まとめ |
第 1 回
第 2 回
第 5 回
実験 (1)
実験 (2)
テーマ (1)
テーマ (2)
テーマ (3)
実験や討論への参加 (40%)、発表 (30%)、レポート (30%)
May 10, 2020