複文の通言語研究と日本語研究の接点に棲むー研究と教育を振り返りつつー

2022年度退職記念講義

講師堀江薫 教授
堀江薫 教授
開講部局文学部/人文学研究科
日時2023/2/13 13:00-14:30
場所文学部棟127教室(ハイブリッド)
堀江薫 教授
講師堀江薫 教授
開講部局文学部/人文学研究科
日時2023/2/13 13:00-14:30
場所文学部棟127教室(ハイブリッド)

リセットできるのはいいことだ

大学院人文学研究科、文学部の言語学分野・専門の堀江薫です。私は「言語類型論」という分野を専門とし、世界の言語の「複文」という文法現象を研究テーマとしています。国文法の用語でいえば「連体修飾節」「連用修飾節」、英文法の用語でいえば、「名詞節」「形容詞節」「副詞節」といった構文が、世界の様々な言語でどのようなかたちで現れ、その現れ方にはどのような言語間の違いがあるかを研究してきました。

私は30年以上にわたって大学で教えたり、学んだりしてきました。その中で、人間は自分の環境をいつでも「リセットできる」ことを学びました。大学を卒業し、大学院の修士課程を終えてから、すぐに博士課程に進むことなく、短期大学で英語を教える仕事につきました。その後、やはりもう一度アメリカの大学院で本格的に言語学を学びたいと思い、短大を辞めて留学しました。将来への不安はありましたが、環境を変えることで自分の夢の実現に近づきたいという気持ちが勝っていました。

アメリカでの5年間の大学院生活は山あり谷ありでしたが、念願の博士号を取り、アメリカの大学で1年弱教えたのち、仙台の国立大学の助教授として帰国しました。その後、言語学と、留学生への日本語を教えつつ充実した16年間を過ごさせてもらいましたが、50歳を迎える前後に、もう一度教育研究環境をリセットしてよりよいものにしたいと思い、名古屋大学に移りました。そして、この13年間はこれまでの中で最も充実した時間でした。

私は、人生の節目において、自分の置かれた環境をリセットすることによって、自分の中に、新たに前に進んでいく力が湧いてくることを何度も経験してきました。そして、いま定年を数年後にひかえ、新たな教育研究環境に身を投じようとしています。正直不安もあります。しかし、これまでと同様、今回も新たに前進する力が自分の中に生じることを信じています。

みなさんも、人生で様々な壁を経験することがあると思います。その際に、ぜひ人生は何度もリセットできるということを思い出してもらえればと思います。

メッセージビデオ

講師紹介

堀江 薫(ほりえ・かおる) 人文学研究科教授

学歴

  • 南カリフォルニア大学大学院人文科学研究科 人文科学研究科 言語学科 1990年8月 - 1993年12月
  • 南カリフォルニア大学大学院人文科学研究科 人文科学研究科 言語学科 1988年8月 - 1990年5月
  • 上智大学 外国語学研究科 言語学専攻 1982年4月 - 1984年3月
  • 上智大学 外国語学部 英語学科 1978年4月 - 1982年3月

職歴

  • 名古屋大学 大学院人文学研究科 人文学専攻 文芸言語学 コース長 2017年4月 - 現在
  • 名古屋大学 大学院国際言語文化研究科 日本言語文化専攻 応用言語学 専攻長 2015年3月 - 現在
  • 国立国語研究所 言語対照系 客員教授 2014年4月 - 現在
  • 日本学術振興会 学術システム研究センター 人文学専門研究員 2014年4月 - 2017年3月
  • 東北大学国際高等研究教育院・国際高等融合領域研究所兼務教員 2007年4月 - 2010年3月
  • 東北大学大学院国際文化研究科付属言語脳認知総合科学研究センター研究員 2007年4月
  • 東北大学21世紀COEプログラム(人文科学)拠点リーダー 2002年8月 - 2007年3月
  • 東北大学大学院教授 2002年4月 - 2010年3月
  • 東北大学大学院助教授 1994年4月 - 2002年3月
  • オハイオ州立大学客員講師 1993年8月 - 1994年3月

取得学位

  • 博士(言語学) ( 1993年12月 南カリフォルニア大学 )
  • 文学修士 ( 1990年5月 南カリフォルニア大学 )
  • 文学修士 ( 1984年3月 上智大学 )
  • 文学士 ( 1982年3月 上智大学 )

研究キーワード

言語類型論,言語接触研究,文法化研究,対照言語学,認知言語学

所属学協会

  • 日本言語科学会 副会長、編集委員長, 主幹編者, 編者 2008-, 2010-
  • 日本認知言語学会 副会長、理事、編集委員会委員長(ジャーナルEditor) 1996-2003, 2004-, 1997-, 1997-
  • 日本語用論学会 副会長、運営委員、企画副委員長 2013年9月 - 現在
  • 日本言語学会 評議員 1997年4月 - 現在
  • 日本文法学会 学会誌委員 2010年4月 - 2015年3月
  • 国際韓国語学会 アジア・太平洋地域渉外委員 1998年4月 - 現在
  • 日本英語学会 編集委員、評議員 2001-2005, 2005-
  • 日本文法学会 2010年4月 - 2015年3月
  • 日本言語科学会

講義資料


クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。


投稿日

March 13, 2023