精神疾患の克服を目指した臨床・教育・研究
私が本学医学部に進学した動機は、高校時代に抱いた「人の心の有り様」への関心から精神科医を目指したことによりますが、学生時代は精神科臨床の現実には無知でした。卒後、実臨床において精神疾患患者の生活や人生に様々な障壁があることを実感し、課題克服に向けた臨床と研究を進めること、そのための colleague が不可欠と思うに至りました。臨床・研究での多方面での連携を踏まえた教育、特に卒前教育での力点を列記しますと以下のとおりです。
- 精神疾患に関する誤解や偏見が過去も現在においてもあり、その解消が必要であること。
- 身体疾患は精神疾患を合併する頻度が高く、精神医学的介入が身体疾患患者の QOL 向上のみならず、その疾患自体の生命予後のために有用であること。
- 精神疾患は身体疾患の合併率が高く、平均余命が低く、身体面への配慮が不可欠であること。
以上を伝えて、精神疾患克服の重要性を認識していただき、分子生物学、社会医学といった多領域の方々との共同研究による疾患克服に繫がればと考えて参りました。2022 年度から、本学医学系研究科精神疾患病態解明学に所属して、立場は変わりますが、研究だけではなく、診療・教育にも関わります。今後とも連携のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
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講師紹介
尾崎紀夫 (おざき・のりお) 教授 医学系研究科教授
学歴
- 1982 年 03 月 名古屋大学 医学部 医学科 卒業
職歴
- 中京病院研修医, 1982 年 5 月 - 1984 年 3 月
- 名古屋大学精神科医員, 1984 年 4 月 - 1987 年 6 月
- 中部労災病院精神科医師, 1987 年 7 月 - 1990 年 6 月
- 米国 National Institute of Mental Health, Visiting Fellow, 1990 年 7 月 - 1995 年 8 月
- 藤田保健衛生大学医学部精神医学教室講師, 1995 年 9 月 - 1998 年 4 月
- 藤田保健衛生大学医学部精神医学教室教授, 1998 年 5 月 - 2003 年 9 月
- 現職, 2003 年 10 月
取得学位
研究分野
神経医学, 時間生物学, 疫学, ゲノム医学, 精神医学
所属学会
- World Federation of Biological Psychiatry Executive Member
- Pacific Rim Association for Clinical Pharmacogenetics Executive Board Member
- 日本精神神経学会 理事
- 日本生物学的精神医学会 理事
- 日本精神・行動遺伝医学会 理事
- 日本臨床精神神経薬理学会 理事
- 日本産業精神保健学会 理事
- 日本神経精神薬理学会 理事
- 日本統合失調症学会 理事
- 日本うつ病学会 理事
- 日本人類遺伝学会 評議員
- 日本認知療法学会 評議員
- 日本睡眠学会 評議員
- 日本総合病院精神医学会 評議員
- 日本精神科診断学会 評議員
- 日本女性心身医学会 評議員
講義資料
講義スライド