合金設計−過去・現在・未来−

2009年度 退職記念講義

講師森永正彦 教授
森永正彦 教授
開講部局工学部/工学研究科
日時2010/03/05 15:00-
場所工学部2号館南館4階241
森永正彦 教授
講師森永正彦 教授
開講部局工学部/工学研究科
日時2010/03/05 15:00-
場所工学部2号館南館4階241

講義ビデオ

メッセージビデオ

若手研究者、頑張れ!

陽のあたる教育・研究の道を歩み続け、健康で定年を迎えることを喜んでいます。若い頃、「坂の上の雲」に描かれているような青雲の志をもち、シカゴ近郊のノースウエスタン大学に留学しました。この大学は材料分野では、全米で1、2位を争う有名大学です。恩師の J. B. Cohen 先生から第一に学んだことは、プロフェッショナルな研究の仕方です。それは、その時にできることは徹底的に研究し尽くし、他の研究者の介入、批判を許さないという厳しい姿勢です。

私の経験から、大学の先生は学生の「学問の世界の道標」として重要な役割を担っていると思います。先生の社会的な学問的評価と、その先生に対する学生自身の直接評価から、学生は自分が学問の世界でどの程度の位置にいるのかを知ります。自分の位置が高ければ、自信に繋がります。

高等研究院の教員として研究に没頭しましたが、今の私にとり一番の誇りは、研究室から優秀な研究者が育っていることです。難しい時代ですので、若い人達は研究に悩むかもしれませんが、それに打ち勝って下さい。ノーベル賞クラスの研究テーマが、石ころのようにあちこちに転がっているような気もします。それを拾うため、たとえ不案内な研究領域でも足を踏み入れて下さい。新しい研究を行う上で、国内外の人的ネットワークも大切です。独自の哲学を持ち、個性豊かな研究に挑戦して下さい。若手研究者、頑張れ!

講師紹介

森永 正彦(もりなが・まさひこ)工学研究科教授

学歴

  • 1969 年 京都大学工学部冶金学科 卒業
  • 1978 年 ノースウエスタン大学工学研究科材料科学 博士課程

職歴

  • 1978/06-1979/03 米国ノースウエスタン大学 ポスドク
  • 1979/04-1983/03 豊橋技術科学大学工学部 講師
  • 1983/04-1991/08 豊橋技術科学大学工学部 助教授
  • 1991/09-1994/09 豊橋技術科学大学工学部 教授
  • 1994/10-1997/03 名古屋大学工学部 教授
  • 1997/04- 名古屋大学工学研究科 教授
  • 2003/02-2007/03 名古屋大学高等研究院教員を兼務

取得学位

  • Ph. D. (1978/06 ノースウエスターン大学)
  • 工学修士 (1971/03 京都大学)

専門分野

  • 金属物性
  • 構造・機能材料
  • 計算材料科学

研究課題

  • 1983/04- 分子軌道理論に基づく合金設計 (キーワード: 合金設計、分子軌道法、構造材料)
  • 1983/04-2010/03 エネルギープラント用耐熱構造材料の開発 (キーワード: 耐熱材料、原子力発電、火力発電)
  • 2005/04-2010/03 化学結合のエネルギー表現に基づく水素貯蔵材料の設計と開発 (キーワード: 水素貯蔵材料、原子化エネルギー)
  • 2008/04-2010/03 原子化エネルギーに基づく水素貯蔵材料の脱水素化触媒の定量評価 (キーワード: 原子化エネルギー、水素貯蔵材料、金属酸化物触媒、金属塩化物触媒)
  • 2003-2007 複合機能材料プロセッシングの創成 (キーワード: 複合機能材料、プロセッシング)
  • 2003/04- 水素透過膜合金の設計と開発 (キーワード: 水素透過能、耐水素脆性)
  • 合金およびセラミックスの結晶構造と電子構造 (キーワード: 結晶構造、電子構造、合金)

所属学会・学会活動

  • 日本金属学会 会長 (2008-2009)
  • 日本金属学会 日本鉄鋼協会東海支部 東海支部長 (2007-2008)
  • 日本金属学会 副会長 (2005-2006)
  • DV-Xα 研究協会 会長 (2004-2010)
  • 軽金属学会 評議員 (1999-2001)
  • The Minerals Metals & Materials Society
  • 日本セラミックス協会
  • 日本材料学会
  • 日本結晶学会
  • 日本物理学会
  • 日本金属学会 理事 (2003-2005)
  • 日本鉄鋼協会 評議員 (2000-2002)
  • DV-Xα 研究協会 運営委員 (1995-)
  • 日本金属学会 評議員 (1994-1996)

受賞学術賞

  • 功積賞(日本金属学会) (1989)
  • 学術賞(永井科学技術財団) (1991)
  • 学術賞(DV-Xα 研究協会) (2001)
  • 谷川・ハリス賞(日本金属学会) (2008/03)
  • Lee Hsun Lecture Award(中国科学院、金属研究所) (2009/05)
  • 増本量賞(日本金属学会) (2010/03)

講義ビデオ

合金設計 − 過去・現在・未来 −

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ビデオ中で以下の文献から引用を行っています。

  1. M.Hayakawa, M.Morinaga and J.B.Cohen, The Defect Structure of Transition Metal Monoxides, Battelle Conf. on Defects and Transport in Oxides, 1974, Plenum Press, pp.177-199.

  2. M.Morinaga, N.Yukawa and H.Adachi, Alloying Effect on the Electronic Structure of Ni3Al (γ'), J.Phys.Soc.Japan, 53 (1984), 653-663.

  3. M.Morinaga, N.Yukawa, H.Ezaki and H.Adachi, New Phacomp and Its Applications to Alloy Design, Superalloys 1984, (eds. M. Gell et al.), The Metallurgical Society of AIME, pp. 523-532 (1984).

  4. R.Hashizume, A.Yoshinari, T.Kiyono, Y.Murata and M.Morinaga, Development of Ni-based Single Crystal Superalloys for Power-Generation Gas Turbines, Superalloys 2004, The TMS, (2004), pp.53-62.

  5. M.Morinaga, Y.Murata and H.Yukawa, Applied Computational Materials Modeling-Theory, Simulation and Experiment-, Eds. Bozzolo Guillermo et al., Chapter 8: Molecular Orbital Approach to Alloy Design, Springer (2007), pp. 255-306.

  6. Y. Shinzato, H. Yukawa, M. Morinaga, T. Baba and H. Nakai, A Unified Approach to the Analysis of the Chemical Bond in in Hydrides and Hydrocarbons, Acta Materialia, 55 (2007), 6673-6680.

  7. H.Hirate, Y.Saito, I.Nakaya, H.Sawai, Y.Shinzato, H.Yukawa, M.Morinaga, T.Baba and H.Nakai, Quantitative Approach to the Understanding of Catalytic Effect of Metal Oxides on the Desorption Reaction of MgH2,International Journal of Quantum Chemistry, 109 (2009), 2793-2800.

  8. M.Morinaga, Y.Murata, R.Hashizume and Y.Sawaragi, Remarkable Improvement in Steam Oxidation Resistance due to the Presence of Sulfur in High Cr Ferritic Steels, ISIJ International, 41(2001), 314-316.

  9. M.Yoshino, Y.Shinzato, M.Morinaga, Energetics of Native Defects in Al2O3 and SiO2, Materials Science Forum (Proceedings of the 3rd International Symposium on Designing, Processing and Properties of Advanced Engineering Materials (ISAEM-2003)) (Korea, November 2003) , 449-452 (2004), pp.713-716.


投稿日

February 15, 2017