2009年度 退職記念講義
講師 | 松本伊瑳子 教授 | ![]() |
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開講部局 | 文学部/国際言語文化研究科 | |
日時 | 2010/2/9 16:00-17:30 | |
場所 | 文系総合館カンファレンスホール |
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講師 | 松本伊瑳子 教授 |
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開講部局 | 文学部/国際言語文化研究科 |
日時 | 2010/2/9 16:00-17:30 |
場所 | 文系総合館カンファレンスホール |
フランス留学中に語学センターへの就職が決まり、それから 35 年間、研究者としてフェミニズムやジェンダーの研究に、教育者として主にフランス語教育に携わってきた。時間の配分が自分のペースで行えたので、子供ができた時、保育園探しに苦労したとはいえ、研究と子育てが同時にでき、全く素晴らしい職場であったと感謝している。 語学センターは、総合言語センター、言語文化部、国際言語文化研究科へと変化してきた。大学院発足から数年後には研究科長がジェンダー論講座開設に向けて尽力くださり、開設が決定された時、東京へ出張していた私の携帯にその喜びの連絡を下さったことを、今でもよく覚えている。2001 年には名大で男女共同参画推進のためのワーキンググループができ、その一員となり、他研究科の優秀な女性教員の方々と知り合い一緒に仕事ができたのも、大変嬉しいことだった。そして男女共同参画推進の政策を推し進める中で、それまでは“権力”を批判する立場から物事を考えていた私が、いわば“権力側”に移行したために、政治とは、政策の推進とは、このように成されるのだという貴重な体験をすることができた。そして“権力”も時には必要であることを実感した。 就職した頃、女性教員はほとんどいなかった。今では国際言語文化研究科の 3 割近くが女性教員である。名大に新たな保育園もできた。35 年。隔世の感を禁じ得ない。後輩女性たちの活躍を願わずにはいられない。
松本 伊瑳子(まつもと・いさこ)国際言語文化研究科教授
May 12, 2020