森の生きものとともに

2008年度 退職記念講義

講師柴田叡弌 教授
柴田叡弌 教授
開講部局農学部/生命農学研究科
日時2009/2/9 15:35-16:20
場所農学部第12講義室
柴田叡弌 教授
講師柴田叡弌 教授
開講部局農学部/生命農学研究科
日時2009/2/9 15:35-16:20
場所農学部第12講義室

森の生きものとともに

私は1992年に農学部附属演習林教授として公立研究機関の研究員から農学部に赴任しました。私にとってはじめての大学勤務でしたので大学での生活はすべてが新鮮でした。それから16年 6 ヶ月が経ち定年退職を迎えることができました。 ここまで仕事が遂行できたのは研究室と演習林のスタッフ、 また院生や学生の皆様のおかげだと感謝しています。

大学では優秀な学生や院生たちと仕事をすることができました。今までも森林に生息している昆虫や動物を対象に研究をすすめてきたのですが、これまでにできなかったことが彼らの新しい発想で解決することができたのは新しい喜びでした。紀伊半島に位置する大台ヶ原をフィールドに野外研究をすすめてきました。野外調査は労力がかかり成果もあがりにくいものですが、森林での生物間相互作用に関して新しい知見も得ることができました。当たり前のことかも知れませんが、森林で生活している植物や動物はお互いに関係し、影響しながら生きているということを実証することができまし た。希少価値の種を保存することも大事ですが、こうした生物間相互関係は生物多様性を守るうえで重要なものであると 認識するようになりました。里山問題も話題になりますが、 人間も含めたそうした関係の認識が解決に役立つものと思います。こうした意味で2010年に名古屋で開催される第10回生物多様性条約締約国会議の行方に大変興味をもっています。

国立大学が独立法人になったので演習林も民有林となりました。民有林化とともに演習林の管理方法もこれからは変わっていくことが予想され、今後の課題となるでしょう。最後に名古屋大学のますますのご発展を祈っています。

講師紹介

柴田 叡弌(しばた・えいいち)生命農学研究科教授

学歴

  • 1969年 京都府立大学農学部農学科卒業
  • 1971年 三重大学農学研究科修士課程修了

職歴

  • 1973/01-1974/12 奈良県 技術吏員
  • 1974/01-1992/12 奈良県林業試験場 研究員
  • 1992/01- 名古屋大学農学部 教授
  • 2000/04- 名古屋大学大学院 教授

取得学位

  • 農学修士 (三重大学)
  • 農学博士 (京都大学)

専門分野

  • 森林昆虫学, 野生鳥獣保護管理

研究課題

  • 穿孔性害虫に関する研究

    • キーワード:穿孔性害虫、林業
  • 野生鳥獣の保護と管理

    • キーワード:野生鳥獣、林業

所属学会

  • 日本哺乳類学会
  • 個体群生態学会
  • 日本生態学会
  • 日本応用動物昆虫学会
  • 樹木医学会
  • 日本林学会

受賞学術賞

  • 林業技術賞 (1986)

投稿日

March 26, 2022