量子力学I-2017

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講師棚橋誠治 教授
開講部局理学部/理学研究科 2017年度 後期
対象者理学部物理学科

授業の内容

  1. はじめに
  2. 波動関数とシュレディンガー方程式
  3. 時間に依存しないシュレディンガー方程式
  4. 1次元量子力学
  5. ヒルベルト空間とエルミート演算子
  6. 演算子法
  7. 角運動量の量子化: 球面調和関数
  8. 角運動量の量子化: 3次元回転群の表現
  9. 3次元量子力学の中心力問題

授業の工夫

量子力学を活用できるようになるためには、ふたつの「壁」を乗り越えねばなりません。ひとつは「新奇な概念」の壁です。量子力学の基礎には、日常生活ではなかなか体験することのない「状態の重ね合わせ」「演算子としての物理量」などの概念があらわれます。もうひとつは「技法(数学)」の壁です。量子力学では、新奇な概念から出発するだけでなく、習ったばかりの技法を駆使することによって、ようやくはじめて実験結果との整合性が納得できるようになるのです。

この講義では、なるべく多くの学生にこれらのふたつの壁を乗り越えてもらえるよう、事前に学生に講義ノートを配布するようにしています。また、演習の授業と密接に連携することによって、講義の進捗状況に応じた演習問題を出題しています。講義ノートの配布によって、講義時間中の学生は詳細なノートをとる必要から解放され、「新奇な概念」の習得に注力することができるようになります。また、配布した講義ノートを使った予習・復習が可能ですから、連携した演習の授業で具体的に演習問題を解くことと組み合わせ、新しく習う「技法(数学)」を活用する応用力も身につけられるのではないかと期待しています。

本講義の目的とねらい

現代物理学の広い分野にわたって必要とされる量子力学の基礎知識を充実させることを目的とする。 これまでに親しんだ古典力学とは大きく異なる量子力学の枠組みを理解することで深い思考力を育む。 具体的には、まず1次元量子力学の問題を通して、量子力学における「状態」とは何か、「状態」に作用する「演算子」とは何か、それらの物理量との関係を学ぶ。次に、3次元の中心力問題をとりあげ、水素原子の量子力学を理解する。

到達目標

基本的なシュレーディンガー方程式の解法、波動関数の確率解釈、演算子の性質を理解すること。

教科書

指定しない

参考書

  • 猪木慶治・川合光「量子力学 I, II」講談社サイエンティフィック
  • S. Gasiorowicz, “Quantum Physics”, 3rd edition, John Wiley & Sons Pub.
  • J.J. Sakurai, "Modern Quantum Mechanics", Addison-Wesley Pub.
  • R. Shankar, "Principles of Quantum Machanics", Springer
  • D.J. Griffiths, "Introduction to Quantum Mechanics", Cambridge University Press

履修要件

特になし

関連する科目

物理学演習 II-1、量子力学 II

他学科学生の聴講について

講義資料(一括ファイル)

成績評価の方法

主に定期試験の成績により評価する。

履修取り下げ制度および不合格(F)と欠席の基準

履修取り下げ制度は用いない。事前に申し出ることなく定期試験を欠席した学生はこの講義全体に欠席したとみなす。定期試験と再試験の双方で合格点に達しなかった学生は不合格となる。


投稿日

March 17, 2020