応用言語学特殊研究b-2014

講師奥田智樹 准教授
開講部局文学部/国際言語文化研究科 2014年度 後期
対象者大学院生 (2単位週1回全15回)

授業の内容

日本語の形式名詞や複合動詞の特質を観察することにより、日本語における語彙と文法の接点、さらには意味論と統語論の接点について、受講者の方たちと議論を深めたいと思います。

授業の工夫

この授業は、日本語学でしばしば話題になり、院生の方が研究対象に選ばれることの多いテーマを取り上げ、なるべく新しい生の論文を教材として一貫して演習形式で行っています。授業は、当該の論文の中で問題になりそうな部分についてこちらで設問を作成して、前の週に受講者の方たちにメールでお送りしておき、授業の前日までに全員にその解答をメールで提出していただいた上で、その解答を順次全員で検討していくという形で進めています。

このように受講者の方たちにあらかじめ設問に対する解答を準備しておいていただくことで、毎回全員の方に無理なく積極的に発言していただける教室環境を実現しています。また、事前にお一人お一人に考えをまとめておいていただくことで、難しい問題であっても直ちに内容を掘り下げた活発な議論を行うことが出来、限られた授業時間を最も効率よく使っていることを自負しています。

どれほど完成度が高いとされる論文でも、二度三度と精読していけばどこかに何らかの「弱点」が見えてくるものですが、それを正当に批評し、問題点を克服した上で自分なりのオリジナルな主張に結びつけていく作業には相当な苦労が必要です。論文を書く際に誰でも経験するこうした「生みの苦しみ」の過程を、この授業を通じて受講者の皆さんとご一緒に追体験できたらと考えています。

授業の目標

日本語の様々な複合動詞の特質を観察することにより、日本語における語彙と文法の接点、さらには意味論と統語論の接点について探る。

授業の内容

今期は語形成論との関連や他言語との対照研究にまで射程を広げる予定である。主なトピックは次の通りだが、細部において受講者の希望に沿った形での変更もあり得る。

  1. 複合動詞の結合条件と分類
  2. 複合動詞の自他
  3. 複合動詞と文法化
  4. 前項動詞/後項動詞と接頭辞/接尾辞・補助動詞との異同
  5. 後項動詞「〜合う」「〜直す」についての各論
  6. アスペクトの規定に関わる後項動詞
  7. 他言語との対照研究
  8. 複合動詞と複合名詞との対応

教科書

なし。授業ではハンドアウトおよび論文のコピーを配布する。

参考文献

授業中に指示する。

履修条件

特になし。応用言語学特殊研究 a(前期)と b(後期)は全く独立した内容ですので、どちらか一方のみの受講も歓迎します。

講義ノート

テキスト論文&設問リスト

成績評価

毎週の課題レポート(70%)、講読論文の口頭発表・レジュメ(20%)、発言を含めた授業への貢献度(10%)。学期末のレポートや試験は一切課さないが、その分毎週の授業における取り組みを重視する。


投稿日

December 22, 2015