日中比較文化論ab—古代日本と外来文化-2012

講師胡潔 教授
開講部局文学部/国際言語文化研究科 2012年度 通年
対象者国際言語文化研究科および文学研究科の大学院生 (a,bそれぞれ2単位週1回 全15回)

授業の内容

古代日本と外来文化の関係を探求する。主に古代日本と古代中国の文化的交渉の諸問題を取り扱っているが、単に両国の文化の相違点を洗い出すのみならず、文化要素の流動、衝突、融合の過程を観察する方法を学ぶ。毎年トピックを変える。今年度(24年度)は前期、後期を通じて、恋歌(和歌)と閨怨詩(漢詩)の交渉について考える。参加者は、各トピックに関する原典と研究文献を事前に読み、その方法や発想を学びながら、作品の分析を行う。先行研究と原典を読むことによって、読解力、問題点を発見する能力、論理的に考える能力を身につけることがこの授業の目的である。

授業の工夫

  • 受講者の大半が留学生で、しかも専門外の学生が半分を占めることもあって、分かりやすく、かつ議論に入りやすい雰囲気作りに工夫している。各トピックに入る前に、簡単な説明を行い、問題を考えるための問題提起を用意した。
  • 原典やそれに関係する研究文献は一週間前に電子メールの形で全員に送り、予習の便宜を図る。受講者には各自予習し、内容を理解し、研究文献の要点を纏めておくことを求めている。
  • 文献を読むことが中心であったが、映像や図式などを用いて、受講生に視覚的にイメージを与えることを心がけた。中国南部の少数民族の歌垣の映像を使い、受講者に肌で歌垣を感じてもらうように工夫している。
  • 問題提起を踏まえた議論が展開できるように、質問形式で議論を行い、授業の最後に全体的に纏めるようにしている。学期末のレポートは授業の中で議論し、発見したテーマを取り扱う受講生が多い。

授業の目標

古代日本の文字表記、政治制度、文芸表象などの諸事象から、古代日本と外来文化の関係を探求する。主に古代日本と古代中国の文化的交渉の諸問題を取り扱っているが、単に両国の文化の相違点を見出すのみならず、文化要素の流動、衝突、融合の過程を観察する方法を学ぶことを授業の目標としている。今年度(前期、後期)の講義では、「漢詩」と「和歌」の交渉に関する諸問題を取り上げる。参加者は、各トピックに関する研究論文を読み、その方法や発想を学びながら、作品の分析を行う。先行研究と原典を読むことによって、読解力、問題点を発見する能力、論理的に考える能力を身につけることがこの授業の目的である。

講義内容

[前期(A)]
  1. イントロダクション
  2. 和歌の原点:歌垣
  3. 万葉集の「相聞」
  4. 高橋虫麻呂の伝説歌
  5. 七夕詩と七夕歌
  6. 前期総括
[後期(B)]
  1. イントロダクション
  2. 大伴坂上郎女の「怨恨歌」
  3. 新撰万葉集恋部の歌と詩
  4. 長恨歌を題材にした歌
  5. 閨怨詩と「待つ女」の歌
  6. 後期総括

教科書

適宜プリントを配る。

参考書

  • 小島憲之『上代日本文学と中国文学』三巻塙書房 1962-1965 年
  • 鈴木日出男『古代和歌史論』東京大学出版社 1990 年
  • 東茂美『大伴坂上郎女』笠間書院 1994 年(後期のみ)

履修条件

前期授業Aと後期授業Bを続けて履修することが望ましい。資料は予め配布するので、必ず予習してから授業に臨むこと。

講義ノート

大伴坂上郎女の怨恨歌について(一)

大伴坂上郎女の怨恨歌について(二)

成績評価

  • 出席(30%)
  • 授業態度(20%)
  • レポート(50%)

投稿日

May 16, 2020