現代中国語表現論ab-2011

講師丸尾誠 教授
開講部局文学部/国際言語文化研究科 2011年度 通年
対象者国際言語文化研究科および文学研究科の大学院生 (a,bそれぞれ2単位週1回 全15回)

授業の内容

中国語学の諸問題を扱う。現代中国語におけるある言語事象について、その問題の所在を明らかにするとともに、形式・意味・語用・認知などの側面から、総合的に分析を加えていく。

授業の工夫

講義時には、一般言語学的な視点も交えて、現代中国語の文法事項について相対的に論じている。一般言語学における言語理論が、往々にしてその特異性ばかりが強調されがちである中国語という言語を分析する際に、どこまで有用かという問題についても併せて考えるよう心がけている。受講生の大半を中国大陸・台湾からの留学生が占めていることもあって、授業で扱う中国語の個々の用例や事象について興味深い指摘が得られることも少なくない。自由に討論できる雰囲気ではあるものの、発言を単なる個人の語感に基づく恣意的なものに留めておくのではなく、当該の概念が中国語の文法体系の中でどのように位置付けられるのか、または他の文法事象とどのような関連を有しているのかといったことを踏まえた議論が展開できるよう配慮している。

履修の前提として言語学・日本語学・英語学などの知識をある程度有することが望ましいこともあり、専門外の学生については、必要に応じて当該事項や概念・用語を調べてくることを別途課題として課すこともある。

授業の目標

本講義では中国語学に関する中国語で書かれた論文(必要に応じて日本語で書かれたものを扱うこともある)の講読を通して、現代中国語における文法研究の方法論を身につけていく。

授業の進め方

開講時より数回にわたって中国語の文法概念・文法的特徴などを論じ、その後、論文講読を通して個別の具体的な問題を扱う。日本語に訳していく過程において、適宜用語や概念の解説を行う。原書講読の際には、必ず予習をしてくること。後期も前期同様、原書講読が主となる。

テキスト

プリントを配布する。学界の動向をも見据えつつ、定期的に刊行される学術雑誌の新しい論文・著書に細心の注意を払い、必要に応じてそれを教材として使用することもある。

参考書

取り扱うテーマに関連する個別の専門書・論文等については授業時に随時紹介するものの、中国語の文法を体系的に理解し、理論を構築していく際の前提となるものとして、以下に挙げるものに常日頃目を通して、文法研究の方法論を把握しておくことが望ましい。

  1. 朱徳煕《語法講義》商務印書館(邦訳:『文法講義』杉村博文・木村英樹訳,白帝社)

  2. 朱徳煕《語法答問》商務印書館(邦訳:『文法のはなし − 朱徳煕教授の文法問答 −』中川正之・木村英樹編訳,光生館)

    ※この2については邦訳本の方に訳者による詳しい注釈がついており、参考になるところが大きい。

  3. 輿水優『中国語の語法の話 − 中国語文法概論 −』光生館

履修条件等

前期(現代中国語表現論 a)と後期(現代中国語表現論 b)を通年で履修することが望ましい。

課題

2011 年度前期レポート課題

成績評価

レポートほぼ 100%。出席などによる平常点は成績評価時に、補助的に用いることがある。課題は原則として授業で扱った複数のテーマの中から選択できる形式とし、その中に「自分の興味のある文法事象」について自由に論じるものも入れる予定である。その場合、問題の発掘という点が、とりわけ重要となる。


投稿日

March 25, 2020