講師 | 安井浩樹 准教授, 青松棟吉 助教 |
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開講部局 | 教育学部附属中・高等学校 2010年度 特別講義 |
対象者 | 附属高校1・2年生 |
みなさん、医師はどんなことを「アタマの中」で考えて、患者さんを診察していると思いますか? 目の前の患者さんにピッタリ当てはまる病名を探すための、特殊な推理能力でも持っているのでしょうか?
残念ながら、医師は特殊な力を持っている訳ではありません。実は、患者さんとの会話や体の診察から得た情報を基に、科学の他の領域でも利用されているある思考法を用いて、患者さんの問題を解決するお手伝いをしているのです。
私たちの企画では、医師の思考過程や患者さんとの会話、体の診察といったそれぞれのプロセスを、皆さんにも実際に経験していただきたいと思っています。これであなたも、「医師アタマ」!?
高校生の取り組みの様子 (PDF 文書, 226KB)
(授業後の大谷尚附属学校校長による振り返りインタビューより)
(青松)医学書を読むこと自体に抵抗があるとか、最初の時点で何をしていいか分からずにストップしてしまうことを一番心配していました。しかし、大谷先生の方からも補足説明をいただいて、生徒も自分たちが意欲的にやらなければという雰囲気が見えました。主体性に助けられたと思います。また、医学生にも言われていることですが、女子生徒がコミュニケーション能力が高く、医療面接として完結した形にもっていっていった点は凄いと思いました。
(安井)本当にやるまで半信半疑でしたが、予想以上に皆の能力が高かったですね。模擬患者と分かっておりながら、「大丈夫ですか」等の声かけは良かったです。
(青松)最終的には教科書を基にリストを作れていたので、方法でみれば皆さんロジカルにできていたと思います。教科書で見つけたことを列挙するだけのグループもありましたが、「こういうのをチェックするためにこれを聞きます」という所まで良く構成できているグループもありました。一方で、質問の意図を汲んでというより、保健室に行った時に聞かれる質問など自分たちの経験の中から抽出している質問も多かったですね。
(安井)経験から来ている質問は、その意味を少し説明してあげれば良かったかもしれませんね。
(青松)理想でいえば、医療面接の時点で自分なりの仮説を立てて、その検証を身体診察で行ってくれれば良いなと思ったので、実際の臨床の流れに沿って行いました。ただ実際には、何のために身体診察をするのかということがはっきりとは伝わっていなかったようですね。普通だったら勉強のものでないと拒否をする子もいるのですが、附属の高校生たちは受験のためとか教科のためとかに設定されていない生のところから食いついていく力をもっていて、それが見えましたね。真正な教材ほど汲み取るのは困難ですが、そこから本当のものを持ってくるという経験が出来たと思いますね。
(安井)結構それぞれ違う性質の教科書を用意したんですが、そこにそれぞれがその違う側面から食いついているのを見られたのにはびっくりしましたね。
(青松)海外では、医学部 1 年生から医療コミュニケーションについてもやっているので、やってみても良かったかもしれないですね。終わってから、どんなものが良いのかいろいろ考えていました。
(安井)医療の中には、いろいろと教材として盛り込める内容がありますので。
医師が臨床で使用している推論法の一つである、仮説演繹法について、以下のプロセスを通じて学ぶ。
医師は診察中に何をしているのか?「医師アタマをのぞいてみる」 (PDF 文書, 72KB)
March 25, 2020