フィンランド語文法-2008

講師佐久間淳一 教授
開講部局文学部/文学研究科 2008年度 前期
対象者文学部2年生以上、文学研究科博士前期課程、他学部3年生以上 (2単位週1回全15回)
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授業の内容

言語学は人間の言語のしくみを考える学問ですが、言語のしくみを解明するためには、できるだけ多くの、しかも異なるタイプの言語を知っておく必要があります。なぜなら、世界中の言語は何らかの共通性を持っているのですが、それが何であるのかを理解するためには、言語の多様性についての認識が欠かせないからです。この講義では、フィンランド語の文法の初歩を学びます。フィンランド語はヨーロッパで話されている言語ですが、英語やドイツ語、フランス語、ロシア語など他のヨーロッパの言語とは著しく異なる特徴を持っています。世界の多様な言語の一つとして、フィンランド語の特徴を知ることにより、人間の言語の多様性や普遍性について考えるきっかけにしたいと思います。

フィンランド語は、英語に比べると、はるかに語形変化の多い言語です。そのため、最初は大変に思うかもしれませんが、語形変化には一定のパターンがあり、そのパターンさえ覚えてしまえば、例外はほとんどありません。文法事項としては、名詞や動詞の語形変化の他、格の用法、疑問文や否定文の作り方、存在文や所有文、不定人称受動文の用法などを学びます。

授業の工夫

授業は週1回しかありません。言語の習得には、理屈抜きに覚えなければならないこともたくさんありますが、せっかく覚えても、次の授業が一週間後では、それまでに忘れてしまいます。となると、15 回の授業が終わっても、結局何も身につかなかったということになりかねません。そうならないようにするためには、授業の回数を増やして、週に二、三回授業をするのが一番良いのでしょうが、時間割の都合でそれも難しいので、この授業では、毎回課題を出すことにしました。

課題を出すのは復習の習慣をつけるためですが、提出期限を次回の授業時にしてしまうと、当日の授業中に慌ててやる受講者も出てきます。また、受講者の理解度を確認し、その結果を次回の授業に反映するのも課題を出す目的なので、次回の授業までに課題の出来具合をチェックしておく必要があります。そのため、課題の提出は、授業のある火曜日から3日後、同じ週の金曜日を期限としました。また、提出された課題は、週末に採点して、次の授業時に返却しました。

授業中は、文法の学習ばかりだと集中力を持続させるのが難しいので、視聴覚資料を適宜利用すると共に、フィンランドの社会や文化についての話題も、できるだけ多く紹介するように努めました。

授業の目標

この講義の目的は、フィンランド語の構造上の特徴を概観し、言語の普遍性を考える際に重要となる主要な文法項目について、フィンランド語と他の言語の共通点や差異を理解することにあります。

この講義は言語学の授業ですので、語学としてフィンランド語をマスターすることが目標ではありません。しかし、学んだ知識を言語の多様性や普遍性についての考察に生かしていくためには、基本的な文法事項についてある程度習熟しておくことが必要です。ですから、基本的なパターンや基本的な表現はぜひ身につけてください。

教科書

この授業は教科書を使用します。教科書は、佐久間淳一『フィンランド語のすすめ 初級編』(研究社)です。教科書は第 18 課までありますが、前期は第 12 課まで進む予定です。

履修にあたっての注意事項

履修条件は特にありません。フィンランド語についての知識も特に必要ありません。

言語の習得には日々の訓練が欠かせません。週1回の授業ではなかなか身につかないので、授業の復習をかねて毎回課題を課します。自宅で取り組んで、同じ週の金曜日までに提出してください。また、教科書で、次回の授業の範囲の予習にも取り組んでください。自宅学習には相当の時間が必要です。そのつもりで受講してください。

参考文献

  1. 佐久間淳一『フィンランド語のすすめ 中級編』、研究社

    この講義で使用する教科書の続編です。『中級編』まで終われば、フィンランド語の文法は一通り学んだことになります。

  2. 吉田欣吾『フィンランド語のしくみ』、白水社

    フィンランド語がどんな言語なのかを紹介した読み物です。難しい文法は出てこないので、ぜひ一読をお勧めします。

  3. Fred Karlsson, Finnish: An Essential Grammar, Routledge (文法書)

    フィンランド語の文法書です。この講義で使用する教科書は、基本的な文法事項から順次学んでいく形になっています。そのため、学習した文法事項相互の関係がわかりづらいこともあるかもしれません。そんなときは、この文法書を参照してください。

  4. 荻島 崇『フィンランド語基礎 1500 語』、大学書林 (単語集)

    どんな言葉でも、単語を知っていなければ実際に使うことはできません。この単語集には名詞・形容詞・動詞の変化形も収録されているので、語形変化を確認するのに便利です。

  5. Suomi-englanti-suomi sanakirja, Werner Söderström Osakeyhtiö (辞書)

    残念ながら、日本語で引ける学習者向けの辞書はまだありません。この辞書は、フィンランド語・英語辞典、英語—フィンランド語辞典が一冊になっています。

スケジュール

講義内容
1 フィンランド語とはどんな言葉か
2 フィンランド語の発音
3 基本文型
4 動詞の人称変化
5 疑問文
6 場所格
7 基数詞
8 不定人称受動文
9 目的語
10 存在文・所有文
11 子音階程交替
12 補語
13 後置詞
14 所有接尾辞
15 敬称

講義ノート

第1回.フィンランド語はどんな言葉か

第2回.フィンランド語の発音

第3回.基本文型

第4回.動詞の人称変化

第5回.疑問文

第6回.場所格

第7回.基数詞

第8回.不定人称受動文

第9回.目的語

第 10 回.存在文・所有文

第 11 回.子音階程交替

第 12 回.補語

第 13 回.後置詞

第 14 回.所有接尾辞

第 15 回.敬称

課題

成績評価

成績は、出席点(20%)、課題への取り組み(30%)、学期末試験(50%)の合計で評価します。言語の習得には、継続して取り組むことが肝要です。出席点と課題への取り組みで、学習意欲を確認します。

また、学期末試験では、フィンランド語の構造の概略が把握できているかどうか、フィンランド語の基本的なパターンや表現が身についているかどうかを確認します。なお、学期末試験は、教科書、配布資料、ノートの持ち込みを許可します。

学期末試験の問題と解答を掲載しました。試験時間は 90 分、教科書、配布資料、ノートは持ち込むことができます。試験時には、資料として、問題を解くのに必要な単語の一覧も配布しました。


投稿日

May 10, 2020