日本語教育方法論概説a-2011

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講師衣川隆生 教授
開講部局文学部/国際言語文化研究科 2011年度 前期
対象者国際言語文化研究科日本言語文化専攻 (2単位週1回全15回)

講義目的

言語教育の到達目標となる構成概念を第二言語の習得過程に基づいた認知的アプローチと社会構成主義に基づいた社会文化的アプローチの観点から整理し理解する。

授業の工夫

現在の日本語教育は、その学習者も学習形態も学習環境も多様化してきている。日本語教師に求められるのは、その多様化に表面的に対応する力ではなく、多様性に直面しても対応可能な確固とした言語観、教育観、学習観を身につけることである。

同時に自分自身の言語観、教育観、学習観を常に検証し深化、精緻化していくことも求められる。

本講義には、日本語教育経験者、日本語教師養成プログラム受講者など日本語教育についての知識を持っている人、言語教育の経験がまったくない人、あるいは言語学習者としての経験が主であった留学生などが受講している。講義では、第一に受講生一人一人が自分自身の経験や考えを他の受講者に伝え、それを通して自分が持っている言語観、教育観、学習観を意識化できるような活動を中心に行っている。

課題には常に Open-ended な質問を組み込み、その質問に対する答えをグループでの議論の中で深めていくことにより、受講生がそれぞれの言語観、教育観、学習観を形作っていくことを期待している。

教科書

講義で適宜紹介する。

参考文献

  • 佐々木倫子 (2006)「パラダイムシフト再考」『日本語教育の新たな文脈—学習環境、接触場面、コミュニケーションの多様性』アルク, pp.259-283.
  • Canale, M. (1983) "From communicative competence to communicative language pedagogy". in Richards, J. C. & Schmidt, R. W. (eds.) Language and communication. pp.2-27.
  • Bachman, L.F. (1990) "Communicative language ability", Fundamenttal Considerations in Language Testing. pp.81-110.
  • 義永未央子 (2005)「伝達能力を見直す」『文化と歴史の中の学習と学習者—日本語教育における社会文化的パースペクティブ』凡人社, pp.54-78.
  • 衣川隆生 (2009)「教室と能力観・学習観・教育観」『日本語教育の過去・現在・未来 第3巻 教室 (小林ミナ・衣川隆生(編著)水谷修(監))』凡人社

課題

期末レポート

スケジュール

講義内容
1 オリエンテーション
2 言語教育のパラダイムシフト1
3 言語教育のパラダイムシフト2
4 言語教育のパラダイムシフト3
5 能力観1 コミュニケーション能力1
6 能力観1 コミュニケーション能力2
7 能力観2 コミュニケーション能力3
8 能力観2 コミュニケーション能力4
9 中間試験とフィードバック
10 能力観3 インターラクション能力1
11 能力観3 インターラクション能力2
12 教室と能力観・学習観・教育観1
13 教室と能力観・学習観・教育観2
14 教室と能力観・学習観・教育観3
15 教室と能力観・学習観・教育観4

講義ノート

講義ノート

成績評価

課題レポート(40%)、試験(40%)、授業時の参加度及びパフォーマンス(20%)

受講上の注意点

授業では、資料解読、議論、レポート作成を行う。話し合い、発表の過程で生じる疑問点の解消、再発見を重視する。

概念についての基礎知識は事前に下記の事典等を参照し学習しておくこと。

  • 日本語教育学会(編)『新版日本語教育事典』大修館書店
  • 小池生夫他(編)『応用言語学事典』研究社
  • K・ジョンソン & H・ジョンソン(編)『外国語教育学大辞典』大修館書店

投稿日

May 08, 2020