講師 | ヘイグ・エドワード 教授 |
---|---|
開講部局 | 文学部/国際言語文化研究科 2009年度 |
対象者 | 国際言語文化研究科メディアプロフェッショナルコース (2単位・週1回全15回) |
本講義では、批判的言説分析(以下CDA:Critical Discourse Analysis)分析方法を研究手段とし、マスメディアが社会の力関係から受ける影響、またマスメディアがそれに与える影響そしてこの力関係がメディアテクストで具現化される様相を考察し、批評的メディアリテラシーの確固たる基礎を学習することを授業のねらいとする。
当コースでは、学生が学術的に書かれた英語の文章を読むために必要な様々なスキルを学習します。使用するテキストはノーマン・フェアクラフ氏著作のAnalysing Discourseです。著者は批評的言説分析の分野における第一人者であります。本著書は彼の教科書の中で一番最近のものであり、また私が一番高く評価しているものです。ただし、現時点では翻訳版が出ていないため、各章ごとに簡単な英語でのコメントシートや段落ごとの要約など学生がテキストを読解する助けになるものを私のほうで作成して配布します。さらに、各章ごとにパワーポイントスライドにまとめたものも用意しております。
また、当コースでは授業ごとに挙げられるトピックについてのプレゼンを学生におこなってもらいます。プレゼンの場面において質の高い発表力を身につけえてもらうように様々な工夫をしております。各レッスン2人1組になってテキストのパートごとでプレゼンをしてもらいますが、私のほうで授業の1・2日前に発表する2人と毎週、相談する機会を設けます。その学生にはその時点で完成しているものを私の前でリハーサルしてもらい、それについて改善すべき箇所などフィードバックおよびアドバイスを行います。そうすることによって、発表者は当日他の学生の前で自信をもって発表を行うことができ、より効率の良い、関心の深い、そしてなにより楽しい授業が形成されると期待されます。
近年様々なタイプのメディアの様相が変わりつつあるにもかかわらず、唯一不動の地位にあるのが"言葉"であり、広義には"記号現象" (semiosis)である。したがって、理論ベースでメディアにおける「言葉」を理解することはまさにメディアプロフェッショナル教育にとって不可欠である。また、"言説"の概念は人文学と社会科学の学問分野において非常に注目を集めるようになってきており、これまで分析カテゴリーの中でも最も重要なものの一つといわれている"イディオロギー"に取って代わった分析カテゴリーがまさに"言説"分析である、といっても過言ではない。"言説"とは正確にどういうものか?そしてどのようにしてメディアテクストにおける"言説"を分析するのか?
他の様々な言説分析と同様、CDAは社会が生産するコンテクストの中における「言葉」を分析するが、(1)言葉と社会の関係そして(2)「言説の学術的研究」と「社会的局面から研究された言説」との関係、これら 2 つの関係に対する見解においてCDAは他の言説分析と異なる見解をもつ。はじめに、CDAには言説とコンテクストの間に弁証的関係があるという仮説が潜在している。つまり言説は、場面、組織、社会構成の要因により構築され、またそれら要因が言説を構築するという相互的な働きをする。言説はコンテクストと弁証的関係にあるため、社会に大きな影響を与えていると考えられる。イディオロギーに包含されている言葉の使用やそこに潜在する力の関係はしばしば見過ごされる傾向にあるが、CDAにおいてテクストとコンテクストの分析に言語学的・社会学的理論の両方を応用することによって、これら見え隠れしている言説の局面に透明性を持たせることを試みている。次にCDAは社会科学/言語学研究の公平かつ主観的な研究形式ととるのではなく、むしろ政治に深く関連し、支配/抑圧されている団体のサイドとしての見解をとる姿勢を示す。
本科目は主に以下に挙げる 2 つのアプローチで進めてゆく:
CDA理論と分析方法の導入。
選定された様々なメディアテクスト(例えば:新聞、雑誌記事、広告、テレビ放送、映画、インターネット)におけるCDAの実践的応用
教科書: Richardson, John. Analysing Newspapers: An Approach From Critical Discourse Analysis. Basingstoke and New York: Palgrave, 2007.
参考書: 授業中に紹介する。
アポイントメントを取った上で面談。
上記教科書の日本語訳はありません。各授業ごとに、教員から簡易版の概要説明が配付されます。
本講義で使用する分析対象のテクストは日英両方の言語のテクストから選ばれます。
Discussion Questions for AD
回 | 講義内容 |
---|---|
1 | Course Introduction |
2 | Overview of Critical Discourse Analysis |
3 | Introduction: Newspaper Discourse(AN Chapter 1) |
4 | Analysing Newspapers: Context, Text and Consequences (AN Chapter 2) |
5 | Analysing Texts: Some Concepts and Tools of Linguistic Analysis (AN Chapter 3) |
6 | Discursive Practices: Producing Print Journalism (AN Chapter 4) |
7 | Social Practices: Journalism and the Material World (AN Chapter 5) |
8 | Applying Discourse Analysis: Argumentation and Letters to the Editor (AN Chapter 6) |
9 | Critical Discourse Analysis: War Reporting (AN Chapter 7) |
10 | Conclusion to Theoretical Component of Course (AN Chapter 8) |
11 | Review of Theoretical Component |
12 | Group Presentations |
13 | Group Presentations |
14 | Group Presentations |
15 | Group Presentations |
第 3, 4 講 Chapter 1 Introduction
第 5, 6 講 Chapter 2 Text, social events and social practices
第 7, 8 講 Chapter 3 Intertextuality and assumptions
第 9, 10 講 Chapter 4 Genres and generic structure
以下の観点で評価を行う。
May 08, 2020