講師 | 谷口光隆 教授, 三宅博 教授 |
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開講部局 | 農学部/生命農学研究科 2005年度 後期 |
対象者 | 農学部資源生物環境学科2年生 (2単位・週1回全15回) |
植物を特徴づける機能として光合成があげられます。光合成は地球の物質循環を規定する因子であり、光合成効率の最適化や向上が生命科学の重要課題の一つとされています。本授業では、光合成の光化学反応と炭酸固定反応に関する生理学、生化学を詳しく講述します。さらに、高温や乾燥気候に適応進化した光合成様式の多様性を学ぶとともに、その代謝機能と密接に関連した組織・細胞構造の分化についても紹介します・また、移動できない植物が環境の変化を敏感に感知し、防御や適応を行う分子機構についても講述します。この授業から植物の生産性や生存能力の向上を目指した研究に興味をもっていただければ幸いです。
私は、e-Learning システムである WebCT (Web Course Tools) を授業の補助として用いています。すなわち、授業で使用したパワーポイントのスライドや質問に対する回答をホームページ上で受講学生に公開しているわけです。学生は、いつどこからでもこのホームページにアクセスでき、授業の復習を行うことができます。ホームページ上では、学生とのコミュニケーションの場となる BBS(掲示板)、講義の目的、講義の要約、質問に対する回答(Q&A)、パワーポイント資料、前年度の試験問題とその解答を掲載しています。
毎回の授業前に学生に紙を配り、授業に対する質問、感想、意見を書かせ、授業終了時に回収しています。90 分の授業時間内では用意したプリントの説明を行うだけで精一杯であり、学生とのコミュニケーションに時間を費やすことはほとんどできません。そこで、毎回、学生に質問・感想を記入してもらうことで、どの項目が理解できていないか、授業を学生がどう評価しているかが良くわかるようになりました。板書の文字は大きく順序立てて書くことや、青色のチョークは見えにくいので使用を控えるなど基本的な授業スキルも教わりました。授業内容に関する質問に対しては、次回の授業までに回答をホームページに載せるようにしています。この Q&A は質問した本人だけではなく、他の学生にとっても理解を深める上で重要な資料となりますし、私にとってもどのような点がうまく説明できていなかったかを知り、次回の授業を改善するための反省材料になります。
今後工夫する点として、ホームページ上の BBS を積極的に利用したコミュニケーションを進めていこうと考えています。学生が授業で疑問に思ったことやアイデアなどを BBS に書き込み、他の学生や私がそれに返答することで授業内容に対する理解を深め、授業時間外の学習を促し、得られた情報の共有を図りたいと思います。
本講義では光合成を中心として、資源植物の構造と機能の多様性、環境ストレスと植物の反応、植物の進化と環境適応について講述する。
この授業は、農学部資源生物環境学科2年生が主な対象です。光合成については1年次に「生物学基礎 I」で少しだけ学びますが、本授業では主に高等植物の光合成に関して、生理学、細胞生物学、生化学の観点からさらに深く講述します。本授業は、以降に受講する植物に関する実験実習や専門科目の基礎となります。
プリントを配布する。
回 | 講義内容 |
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1 | 光合成についてのおさらい |
2 | 水生、陸生環境と植物の適応進化 |
3 | 葉緑体の個発生と系統発生,葉緑体の微細構造 |
4 | 酸化還元電位と電子伝達系,光化学反応,ATP合成 |
5 | カルビン回路、光呼吸とグリコール酸経路 |
6 | C4型光合成1:その特徴と代謝経路 |
7 | C4型光合成2:サブタイプ、構造と機能の結びつき |
8 | C3光合成とC4光合成の特性比較 |
9 | CO2濃縮機構 |
10 | C4様光合成、細胞間の代謝産物輸送 |
11 | 生体膜間の代謝産物輸送 |
12 | CAM型光合成 |
13 | 光環境1:光強度の変動に対する植物の適応 |
14 | 光環境2:光情報の受容とシグナル伝達 |
15 | 光環境3:光阻害 |
授業で学生に配布するプリントの図は,著作権のある出版物より引用 しているため、 公開は控えさせていただきます。ここでは、WebCT 上で受講学生に公開している各授業の「目的」、「要約」、「Q&A」を公開いたします。
第 1 回
第 8 回
第 9 回
第 10 回
第 11 回
第 12 回
第 13 回
第 14 回
第 15 回
March 17, 2020