2015年度 退職記念講義
講師 | 森際康友 教授 |
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開講部局 | 法学部/法学研究科 |
日時 | 2016/3/21 15:00-16:30 |
場所 | 経済学部 第一講義室 |
講師 | 森際康友 教授 |
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開講部局 | 法学部/法学研究科 |
日時 | 2016/3/21 15:00-16:30 |
場所 | 経済学部 第一講義室 |
研究生活に入って 42 年、名古屋大学で 36 年半。恵まれた研究環境で好きな学問や学術活動をさせて頂き、幸せでした。オクスフォード大学に 2 年の留学、ハワイ大学での 1 年の客員教授生活、また、中国人民大学、香港城市大でも客員教授。ウランバートル、パリ、ブエノスアイレス、ニューヨーク、カリアリ、ベルリン、ベルゲンなど世界各地での講演。ドイツ裁判官アカデミーや大阪弁護士会など各地の実務家相手の研修講演等々、自由に活動させて頂き、法哲学の国際学会では理事長、法曹倫理のそれでは理事を務めました。おかげで世界中に友人知己、教え子ができ、帰国したばかりのプノンペン、ホーチミン市、ハノイでのスクーリングでも、どこでも今では要職にあるかつての留学生たちから歓待を受けました。
その分、学問が成長しないと罰が当たります。幸いブレークスルーがあり、今ではカントを読むと親しい友人と語らっている気がします。正義という評価概念を使って政治を改善する伝統が弱い東洋では、正義は無用の蒼ざめた理念として放置されがちです。しかし、わが国のように国民主権の立憲国家では正義が権力と法に対立するのではなく、三者が鼎をなして市民の権利を守らねばなりません。ところが、欧米では、"system of justice"と呼ばれている機関を、わが国では法を司る統治機関「司法府」と呼んで憚りません。正義の伝統の脱構築が時代の課題である所以です。今後は舞台が名古屋と東京になりますが、法哲学、法曹倫理だけでなく、医療倫理、研究倫理を含む専門職倫理一般を守備範囲に入れて仕事を展開していきます。
森際 康友 (もりぎわ・やすとも) 大学院法科研究科教授
April 29, 2020