2008年度 退職記念講義
講師 | 佐藤修二 教授 | |
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開講部局 | 理学部/理学研究科 | |
日時 | 2009/3/2 15:00-16:00 | |
場所 | 理学部B館B5講義室 |
講師 | 佐藤修二 教授 |
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開講部局 | 理学部/理学研究科 |
日時 | 2009/3/2 15:00-16:00 |
場所 | 理学部B館B5講義室 |
今年も秋から冬にかけてほんとによい日和が続いた。今日も柔らかい冬の陽が斜めに射している。
家から研究室まで 5km の道を通った。牧野ヶ池を抜けて植田川を渡り東山公園のゆるやかな坂を登る。この峠は植田川と山崎川の分水嶺にあたる。西に鈴鹿や伊吹の山々、北に御岳や木曾の山並みがのぞめる。
四谷側にやや下れば研究室につく。研究室から西の方には、工学部から名古屋市街、名駅ツインタワーがのぞめる。東は樹間に囲まれて大学の研究所の建物が点在する。
今は冬のさ中、すっかり葉を落としたアベマキやコナラは粗い黒い木目を曝して天空に立っている。楠や竹や松は冬に蒼々としている。モチやサカキ類の背の低い雑木林も濃緑の葉をつけて冬の陽を照り返している。所々にヤブツバキの赤い花が気ままに咲いている。メジロが木々の間を飛ぶ。16 年間 − 春夏秋冬 − さ緑、濃緑、黄や紅から褐色そして灰色に移ろう四季、東山の丘陵を歩いた。
めぐる季節の中でまもなく豊田講堂前にこぶしの白い花も開くだろう。サクラの梢の蕾も少し膨らんだ気がする。新学期が始まる。楠のわき上がるような若緑が新入生を迎える。自分の頭で考え自分の足で歩んでほしい。そして自分の言葉で話しかけてほしい。16 年間支えていただいた皆様と大学とに感謝しつつ私も裏山を歩きつづけよう。
佐藤 修二(さとう・しゅうじ)理学研究科教授
March 26, 2022