2008年度 退職記念講義
講師 | 竹谷裕之 教授 | |
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開講部局 | 農学部/生命農学研究科 | |
日時 | 2009/2/9 14:45-15:30 | |
場所 | 農学部第12講義室 |
講師 | 竹谷裕之 教授 |
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開講部局 | 農学部/生命農学研究科 |
日時 | 2009/2/9 14:45-15:30 |
場所 | 農学部第12講義室 |
名古屋大学教員として研究・教育・管理に 35 年間向き合えたことにまず感謝したい。専門は農業経済学であるが、東海地域に向き合うと、農地価格高騰に伴う近郊農業再編や、自動車産業による農村労働力包摂と兼業農業再編など、次々と面白くて重要なテーマが見つかった。日本経済の国際化とともに私の研究も途上国に拡がった。スーダンの砂漠化を引き起こす機械化農法を見つめ、中国の農業技術契約普及方式の評価、バングラデシュのグラミンバンクと農民能力形成など、農業改革と貧困緩和に向けた研究に取り組んだ。近年は農業廃プラスチックのリサイクル問題を日中韓で追いかける毎日である。生命農学研究科の出口の複数化に向け農学国際教育協力センターづくりを要請され、センター長も務めたが、国際的期待が強まるなか、さらにプレゼンスを高めるよう応援したい。
教育では食糧生産管理学や農業政策学、地域資源管理論などを教えたが、最近競争社会の厳しさからか、社会の有り様を問うよりも適応することに意を注ぐ学生が増えたのが気がかりである。管理では、技術専門官制度への対応が求められる中、全学技術支援センターづくりに関わったことが印象深い。この取り組みは、仕組みづくりと自発性の引き出しの重要さを教えてくれた。大学を取り巻く環境は厳しさを増すと思うが、全構成員が協力して「自由闊達な気風」を活力に、名大の研究教育が発展することを願っている。
竹谷裕之(たけや・ひろゆき)生命農学研究科教授
March 26, 2022