地球科学基礎I

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講師渡邊 誠一郎 教授,中川 書子 准教授
開講部局教養教育院 2024年度春学期(理学部向け)
対象者学部1年生 (2単位週1回全15回)

授業の目的・ねらい

地球科学の入門編として、私達の棲む地球がどのような特徴をもった惑星であるのか、私達がいかなる手法を使って地球の構造や変動を探っているのかを理解してもらうことを目的としています。地球科学は、生物の進化、地球環境問題、防災、歴史や文化など幅広い分野と密接に関係します。本講義では、太陽系と地球の起源、地球の内部構造・ダイナミクス、地球を構成する物質の性質と挙動、大気や海洋の構造や力学・化学、気候変動などについて、最新の成果も踏まえて概説します。また、基礎として必要な物理・化学・生物学についても講義することで、地球に関する理解を深めてもらうことを狙っています。

授業の工夫

高校ではあまり接する機会が無かったであろう地球科学について、その考え方や知見について、基礎的な部分を解説し、興味を感じてもらい、さらに勉強をしていこうと思ってもらえるような講義内容にしています。

地球科学は、物理学や化学、生物学などを総動員する総合科学です。この授業では、単に地球科学の知識を伝えるだけでなく、どのような観測や実験に基づいて、その事実が示されるのか、物理学・化学・生物学を使うと、地球のことがどのようにわかるのかを示します。

地球科学とは物理学・化学・生物学を使って地球のことを理解する学問

例えば、高校でも習う化学では、元素を所与のものとして、その化合物の構造や性質、反応などを探求します。これに対して地球科学においては、元素が宇宙初期や星で合成され、太陽系、さらには地球にもたらされ、地球の進化の中で、コアとマントル、地殻の間で、あるいは大気と海洋、生態系の間で分配されてきた「元素の歴史」を対象にします。

それを探求するには単に化学のみでは足りず、物理学や生物学、もちろん数学も総動員して、そして何より地球の成り立ちと進化を知ることも必要になるということがわかるでしょう。

様々な手法を駆使して、地球内部を“見たり”、その歴史を読み解くことで、生命の惑星「地球」の構造と進化を解明していくところが地球科学の醍醐味です。惑星地球の進化はビッグバンに始まる宇宙の進化と自己複製の連鎖の中での変異の積み重ねによる生命の進化をつなぐ位置にあります。宇宙には恒星の周囲に惑星が普遍的に存在することが発見されており、地球と同じような表層環境をもつものも多数あると考えられています。地球科学の進展と系外惑星や惑星形成の場の天文観測によって、そうした惑星に生命がいるのかを問う宇宙生物学の扉が今開かれようとしています。一方で、人類活動の地球環境へのインパクトを推定して将来予測をするためにも地球科学は欠かせません。

「われわれはどこから来たのか?われわれは何者か?われわれはどこへ行くのか?」という人類の究極の問いに対して、地球科学は最も直接的な解答を与える学問といえるでしょう。講義ではそうした地球科学の魅力を皆さんに伝えたいなと思っています。

0975地球科学基礎1

授業スケジュール

第1回 ガイダンス,地球科学とは,地球・惑星の科学の概要
第2回 太陽系の構造と進化
第3回 地球の誕生と層構造の形成
第4回 地球内部構造の物理
第5回 地球を造る物質I:宇宙元素合成と地球構成物質
第6回 地球を造る物質II:地殻の岩石と地球表層の物質循環
第7回 地球内部ダイナミクス
第8回 大気の構造と組成
第9回 大気中の水
第10回 大気の熱収支と温室効果
第11回 地球環境の変化
第12回 大気の運動
第13回 海洋の組成と運動
第14回 大気組成の変遷
第15回 期末試験

履修要件

高校における地学の履修を前提とはしません。

成績評価の方法

期末試験の成績により評価を基本としますが,各回の小レポートの点数も加味します。

教科書・参考書

教科書:ニューステージ地学図表(浜島書店)
資料集:地球科学基礎I資料集(オリジナルコピー冊子)



クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
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投稿日

January 07, 2025