講師 | 田村彌 准教授 |
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開講部局 | 経済学部/経済学研究科 2017年度 後期 |
対象者 | 経済学部1年生 (2単位・週1回 全15回) |
https://sites.google.com/site/wtamura24econ/
本講義では、効率的な資源配分と市場メカニズムの機能を分析する価格理論を扱います。講義の前半では、市場の需要サイドを決定する消費者の合理的意思決定を分析し、価格の変化が需要や消費者の厚生に与える効果を厳密に議論するための道具を提供します。講義の後半では、供給サイドを決定する生産者の合理的意思決定を分析し、生産技術や費用構造がどのように供給を決定するか数式やグラフを用いて分析します。これら需要と供給に関する理論を前提に、市場を通じて自由に取引が行われる状況をモデル分析するために「競争均衡」というコンセプトを導入し、市場メカニズムの機能を議論します。
経済学では、同じ事柄を3つのことばで理解することが重要になります。1つはグラフを使った理解で、グラフの交点や傾きに経済学的な意味を与えます。2つ目は数式を使った理解で、微分や不等号などにより経済主体のインセンティブを表現します。3つ目は言葉による直観的な理解で、グラフや数式で得られた知見を誰にでもわかるように言い換えます。これら3つの理解はすべて重要ですが、多くの受講生にとって数式を扱うパートが特に難しく、理解が不十分になることが多いようです。そのため学習内容の全体像や分析のゴールを先に出来る限り丁寧に説明し、直観的な説明やグラフを使った説明の後に数式を使った説明を配置することで少しでも数式を使った分析のハードルが下がるように工夫しています。また比較的易しい練習問題を多く提供し、段階的に「経済学的な分析」に慣れてもらうように工夫しています。
ミクロ経済学は、価格理論とインセンティブ理論の2つの柱からなる学問分野であり、経済学全般の基礎理論と位置づけられています。本講義では、効率的な資源配分と市場メカニズムの機能を分析する価格理論の基礎的分析力を育成することを目的とします。
[1] 神取道宏『ミクロ経済学の力』日本評論社
[2] 尾山大輔・安田洋祐『改訂版 経済学で出る数学: 高校数学からきちんと攻める』日本評論社
回 | 講義内容 |
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1 | ガイダンス/ミクロ経済学とは |
2 | 最適消費(図解による分析) |
3 | 最適消費(数式による分析) |
4 | 財の分類 / スルツキー分解 |
5 | 支出最小化問題 / 補償需要 |
6 | 消費者余剰 / 補償変分 |
7 | エッジワースの箱 |
8 | 厚生経済学の基本定理 |
9 | 生産関数 |
10 | 費用関数 |
11 | 損益分岐点と操業停止点 |
12 | 長期と短期の費用構造 |
13 | コブ・ダグラス型生産関数 |
14 | 生産を含む一般均衡 |
15 | まとめと応用 |
講義資料は下記 URL からダウンロード可能
https://sites.google.com/site/wtamura24econ/teaching/2017u_micro1
期末試験とレポートによる
May 08, 2020