東洋政治思想史-2016

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講師姜東局 教授
開講部局法学部/法学研究科 2016年度 後期
対象者法学部3,4年生 (4単位週2回全15回)

授業の内容

東洋政治思想史は、東アジア地域-ただし、日本・中国・朝鮮半島に限定-に存在した国内・国際政治にかかわる精神的営みの歴史を当時のコンテクストから理解することを目指す。ところが、対象になる地域や歴史が広範囲にわたることから、「近世東アジア政治思想史」、「近現代東アジア政治思想史」、「中国政治思想史」、「日本政治思想史」、「韓国政治思想史」、「概念史としての政治思想史」に細分化して、毎年の講義の対象としている。2016 年度は、「概念史としての政治思想史」の順番になるため、主体としての思想家とともに、政治思想の継承と断絶において重要な役割を担っている概念の歴史を中心に東アジアの政治思想を取り扱う。

授業の工夫

第一に、政冶概念史の深さと面白さを伝えるために、漢文、中国語、日本語、ハングルの元の標記や資料を見せることにしている。

第二に、概念史を地域のレベルで理解できるように、中国を中心とする近世の概念のネットワークと明治日本を中心とする近代の概念のネットワークの存在を知らせたうえ、各々の概念の展開を説明する。

第三に、概念史を中心としながらも、東アジアの政治思想史の全体図が理解できるように、重要な政治思想家の概念の使い方を取り上げ、主体の政治思想史の部分を補っている。

講義概要

本講義は、東アジア地域に存在した国内・国際政治に関わる精神的営みの歴史を当時のコンテキストから理解することを目的とする。「近代主義」に基づいた東洋政治思想史研究のパラダイムが崩壊して以来、それに代わる新しい説明の枠組みはまだ確立していないのが学界の現状である。本講義は、学界の現状から見ると新しいパラダイムを構築するための準備作業として位置づけられるであろう。それに伴い、講義内容も「近代主義」に立脚した研究が提供する説明の簡明さを犠牲にした、より複雑なものにならざるをえない。

しかし、本講義を貫いている新しいパラダイムへの指向性により講義内容の最小限の有機性は保たれると思われる。その指向性とは ① 主体と構造の相互関係の中で政治思想を把握すること、② 東アジアの人々が持っている政治に関する思考の形成史を系譜学的に追跡すること、③21 世紀を生きる人類の観点で思想的資源の重要性を位置づけることである。 今学期は「概念史」を対象として、以上のような方法性に基づいた講義を行う。

到達目標

一. 概念史の意義と方法を理解する。

二. 東アジアの重要な政治関連概念について知見を獲得する。

三. 政治概念の文明的な再構成の展望を獲得する。

教科書

なし。毎回配布するレジュメに基づいて講義をすすめる。

参考書・参考資料

  • Reinhart Koselleck ; translated by Todd Samuel Presner, The Practice of Conceptual History : Timing History, Spacing concepts, Stanford, Calif : Stanford University Press , 2002.
  • Lydia H. Liu, Tokens of Exchange: The Problem of Translation in Global Circulations, Durham, NC : Duke University Press , 1999.
  • 山室信一『思想課題としてのアジア : 基軸・連鎖・投企』(東京 : 岩波書店, 2001)
  • 丸山真男, 加藤周一『翻訳と日本の近代』(東京: 岩波書店 , 1998)

スケジュール

講義内容
1 はじめに
2 概念史とは何か
3
4 公(法)
5 事大・字小と交隣
6 封建
7 自由・平等
8 勢力均衡
9 民族・国民
10 英雄・青年・民衆
12 帝国・独立
12 民主
13 革命
14 政治
15 おわりに:講義総括

講義資料

第 1 回

成績評価方法

原則的に定期試験による。


投稿日

March 25, 2020