講師 | 内田良 准教授 |
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開講部局 | 教育学部/教育発達科学研究科 2012年度 後期 |
対象者 | 教育学部3年生以上 (2単位・週1回全15回) |
「教育社会学」のおもしろさに迫るために、授業では次の 3 つのことにこだわります。
第一に、「学問」(discipline)にこだわります。社会学あるいは教育社会学の理論や考え方とはどのようなものか、さまざまな例を用いながら、またときに教育学や心理学との比較をおこないながら、描き出していきます。
第二が、「調査」(research)にこだわります。社会を知るには調査が不可欠です。ただしこの授業では、社会調査の技術をマジメに学ぶことはありません。調査の危うさや裏側を学ぶ(=「黒」を知る)ことをとおして、調査の基礎的な考え方を習得する(=「白」を知る)ことを目指します。numeracy を鍛える場です。
第三が、「常識」(common sense)にこだわります。私たちは社会の成員である以上、誰でも社会について容易に語ることができます。したがって、社会学がそうした語りに準じていては、学問になりません。皆が容易に語る「常識」からはみえてこない、もう一つの社会の姿に到達すること、これが社会学の最大の魅力です。
授業では、上の 3 つのこだわりを柔軟に使いこなしながら、教育と社会の新しい世界像へと迫っていきます。
“授業はライブ”です。情報伝達は一方的ではありません。私からの問いの投げかけと、みなさんからのリアクション、さらにはそれに対する私からの追究・・・
各回プリント(A4 判で 2 枚程度)を配付し、そこにテーマに関連する問いがいくつか並んでいます。授業時に教室の中を歩きながら問いを出し、それに対するみなさんの考えをピックアップし、さらにそこから問いを深めるという双方向のやりとりとともに、授業はライブ感覚で進んでいきます。
授業の最後には、リアクション・ペーパー(匿名可)を提出してもらいます。そのいくつかについて次の回に口頭でコメントを返して、授業内容の理解を深めるとともに、知識の定着を図ります。授業は全体の 15 回をとおして、知識がさまざまな箇所でリンクするよう意図的に構成されています。いつでも前の回の内容が参照できるよう、各自でファイルを用意し、配付プリントを綴じていくことをおすすめしています。
教育社会学というディシプリンの、ものの見方・考え方を習得します。
この授業のねらいは、教育社会学・社会学の理論や知見、そして社会調査の基本的な考え方を学習することをとおして、教育に関する「常識」や「思い込み」を一旦停止させ、一歩引き下がった広い視野から冷静な分析ができるような態度を身につけることです。自分自身の意見の相対化を出発点とするクリティカルな思考過程をとおして、教育と社会の新しい世界像へと迫っていきます。
使用しません。
授業中に適宜紹介します。
授業は、一教員の手によって組み立てられたものにすぎません。教員の頼りなさに気づいたらすぐに、自ら文献を探し、学びの旅に出てください。
予習の必要はありませんが、“授業はライブ”ですので、そこにしっかりと参加できる態度を求めます。
回 | タイトル | 講義内容 |
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1 | 「教育社会学」という学問 | 「教育社会学」の特徴を概略的に説明します。 |
2 | 「主体」の社会学 | 教育における「主体」を社会学の観点から位置づけます。 |
3 | 教育の言葉 | 教育で用いられる言葉を相対化し、現実を見抜く方法を学びます。 |
4 | 教育を科学する | 教育の科学たる教育社会学の方法について、その可能性と限界に迫ります。 |
5 | 教育のnumeracy | 各種調査結果を批判的に読み解きます。 |
6 | 社会学と社会調査 | 社会学がおこなう社会調査の特徴を描き出します。 |
7 | 近代学校教育の意味(1) | 近代学校教育の成立過程における競争や平等の意味について考えます。 |
8 | 近代学校教育の意味(2) | 階層再生産のメカニズムについて考えます。 |
9 | 教育達成と社会的位置 | 児童・生徒の社会的位置と教育達成との関係について考えます。 |
10 | 教育社会学の理論(1) | 「教育達成」「進路」に関連する教育社会学の理論を紹介します。 |
11 | 子ども問題の現在 | 子ども問題の現状をデータを用いて把握します。 |
12 | 子ども問題の解釈 | 子ども問題を読み解くための、批判的思考を習得します。 |
13 | 教育社会学の理論(2) | 「逸脱」「社会問題」に関連する教育社会学の理論を紹介します。 |
14 | 教育社会学の新しい課題 | 教育社会学が取り組んでいる新たな課題について概説します。 |
15 | まとめ | これまでの授業内容を振り返ります。 |
第 1 回
第 2 回
第 3 回
学期末の試験により評価します。
March 12, 2020