比較文化論-2014

講師東賢太朗 准教授
開講部局教養教育院 2014年度 後期
対象者文系学部 (2単位週1回全15回)

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本授業の目的およびねらい

フィリピンという国についてどのようなイメージを抱くだろうか。国内報道に多く見られがちな「犯罪」や「貧困」についてのものだろうか。それとも、常夏の国のビーチ・リゾートが象徴する「南国」や「楽園」イメージだろうか。また一方で、戦争の歴史や開発・援助、国際結婚など、国家レベルでも個人レベルでも、実は日本とフィリピンの関係は深い。さまざまな表情を持つフィリピンは、さまざまな経路で日本と結びついているのである。講義では、そんな東南アジア島嶼部の 1 つの国フィリピンについて、その多様性と日本との関わりという観点からみていきたい。

授業の工夫

  1. 文系学部対象の文系基礎科目ということで、受講者がそれぞれ異なった立場から興味を抱ける「わかりやすさ」を第一の目標としながら、異文化理解や地域研究について関心を持つ受講生がより知的に満足できる「深さ」も意識した。
  2. 「わかりやすさ」については、フィリピンという特定の地域から「貧困と開発」、「宗教」、「観光」、「日本との関係」という具体的なトピックを選び、写真、動画、映画、ドキュメンタリーなどを多く使用し、また私自身がフィリピンで生活した中での体験談も交えながら授業を進めた。
  3. 「深さ」については、異文化や他者を理解することの困難さ、先進国と発展途上国の経済的格差、宗教や信仰を心に抱きながら生きるということ、観光の楽しさや喜びの背後にある諸問題、第二次大戦中の日本軍の行いと戦争責任などについて、受講者一人ひとりが自分の問題として受け止め考えられるように努めた。
  4. 「わかりやすさ」と「深さ」双方について確認するために、毎回受講生全員にリアクションペーパーを配布し、(a)印象・記憶に残った授業内容、(b)質問・コメント、(c)クイズへの回答をリアクションペーパーに記入してもらった。すべてに目を通し、授業の理解度や感想、疑問点などを確認したうえで、次回の授業の冒頭で記入内容をいくつか紹介しながらコメントを述べ、さらなる関心の喚起を図った。

履修条件あるいは関連する科目等

異文化理解や地域研究に関心のある人。

授業内容

講義は、以下の 5 つの内容をそれぞれ複数回に分けて、映像資料なども用いながら進めていく。

  1. フィリピンを知っていますか?

    フィリピンの概説。歴史、言語、民族、宗教、社会など

  2. マニラ—スタバとスラムが同居する街

    首都マニラについて。貧困と発展の光と影

  3. ロハス—フィリピンの地方都市

    地方都市ロハスの日常風景やカトリック生活など

  4. ボラカイ—ホワイトビーチの表と裏

    世界有数のビーチリゾート、ボラカイ島の観光、環境、生活について

  5. 日本とフィリピン

    日比関係。開発援助や国際結婚を中心に

教科書

特に指定しない。毎回配布資料を用意する。

参考書

  • 『もっと知りたいフィリピン』綾部恒雄・石井米雄編、弘文堂、1995
  • 『現代フィリピンを知るための 60 章』大野拓司・寺田勇文編、明石書店、2001
  • 『フィリピンの事典』鈴木静夫・早瀬晋三編、同朋舎、1992

担当者からの言葉

講義の目的は、フィリピンについての「正しい」知識を学び覚えることではない(そもそも、「正しい」知識などありえるのだろうか?)。与えられた時間は少ないが、フィリピンについての映像資料や教員自身の滞在経験談なども交えながら、異文化について知ることの楽しさと難しさ、複雑さについて一緒に考えたいと思う。

講義ノート

第 1 回

第 2 回

第 3 回

第 4 回

第 5 回

第 6 回

第 7 回

第 8 回

第 9 回

第 10 回

第 11 回

第 12 回

第 13 回

成績評価の方法

毎回のリアクション・ペーパーとレポートを総合的に評価する。


投稿日

March 11, 2020