信号伝送検出理論特論-2012

講師山里敬也 教授
開講部局工学部/工学研究科 2012年度 前期
対象者工学研究科電子情報システム専攻 博士前期課程 (2単位週1回全15回)

センサネットワークは,多くのセンサデバイスを情報通信ネットワークで結ぶことでセンシングの高度化を図る目的をもつが,単にセンシングの高度化をもたらすばかりでなく,今後の情報通信分野に新しい概念を与え,基盤技術となる可能性を秘めている.それと同時に,環境計測,セキュリティ,知的空間の構築,大災害時の救助活動,娯楽など多様な応用分野が予想される.センサネットワークが従来のネットワークと異なる点は,その構成要素である情報源,センサ出力,ネットワークなどが,不安定性,不確実性,厳しい拘束条件などを有していることであり,その前提のもとでシステムの最適化を図るべく研究課題に取り組む必要がある.この授業ではセンサネットワークを支える理論・技術について講述する.

授業の工夫

この講義は,片山正昭教授と隔年交代で行っています.
私が担当する年にやっているのがセンサネットワークです.

センサネットワークはセンシング理論,通信・ネットワーク,信号処理理論,分散検出理論,制御理論,システム理論など多方面の学術分野を融合して成り立っていますが,この講義では,信号処理・検出理論と通信・ネットワーク理論の2つに着目して説明しています.カバーする内容が広いため総花的になりそうですが,なるべく,エッセンスを絞り込み説明するようしています.また,理解を深めてもらうために原著論文を読んでももらい,その内容をまとめるレポートを課しています.さらに,国内外で発表されている最新の研究動向なども紹介しつつ,学生さんの興味を引くように努めています.

達成目標

  • センサネットワークの特徴,技術的課題,動向を説明できる.
  • 分散検出について理解し,説明できる.
  • センサネットワークにおけるキャパシティについて理解し,説明できる.
  • センサネットワークのプロトコルについて理解し,説明できる.

履修条件・注意事項

特になし

バックグラウンドとなる科目

伝送システム工学,情報通信工学第1,情報通信工学第2,情報通信工学第3

教科書

なし

参考書

授業中に紹介する

質問への対応

時間外の質問は、講義終了後教室か教員室で受け付ける。
それ以外は、事前に担当教員にメールで時間を打ち合わせること

スケジュール

概説

講義内容
1 ユビキタスとセンサネットワーク
2 センサネットワークの特徴,技術的課題,およびその動向

センサネットワークにおける信号処理・検出理論

講義内容
3 観測空間の表現と解析
4 分散検出とセンサフュージョン
5 カルマンフィルタとパーティクルフィルタ
6 分散検出と Kullback-Leibler 情報量

センサネットワークにおける信号伝送

講義内容
7 伝送信号の表現
8 センサネットワークにおける信号伝送
9 通信路キャパシティ
10 ネットワークキャパシティ
11 ネットワーク情報理論

センサネットワークの実現

講義内容
12 センサネットワークのプロトコル
13 センサネットワークのプラットフォーム
14 センサネットワークの応用1
15 センサネットワークの応用2

講義ノート

講義ノート

レポート課題

レポート 1

センサネットワークはユビキタス社会を実現するための基盤技術と考えられている.しかしながら,その普及はまだまだである.なぜ,センサネットワークが普及しないのか,普及のための技術的課題として何があげられるか.以上についてレポートにまとめよ.

レポート 2

センサネットワークに関する以下の論文を読み,センサネットワークの動向についてレポートにまとめよ.

  • I. Akyildiz, W. Su, Y. Sankarasubramaniam, and E. Cayirci, “A Survey on Sensor Networks," IEEE Communications Magazine, Vol. 40, no. 8, pp. 102-114, Aug. 2002

レポート 3

カルマンフィルタに関する以下の論文を読み,カルマンフィルタについてレポートにまとめよ.

レポート 4

Slepian-Wolf の情報源符号化定理についてレポートにまとめよ.

レポート 5

センサネットワークにおける Energy Harvesting についてレポートにまとめよ.

評価方法と基準

達成目標に対する評価の重みは同等である.
成績はレポートで評価し,100 点満点で 55 点以上を合格とする.


投稿日

April 27, 2020