産業社会と企業-2011

講師涌田幸宏 教授
開講部局教養教育院 2011年度 後期
対象者文系学部 (2単位週1回全15回)

授業の内容

現代の産業社会において、企業の重要性はますます高まっている。 厳しさを増すグローバル競争のなかで、日本企業は、根本的な経営戦略の転換と様々な事業構造の再構築を迫られている。 21 世紀における企業経営はどうあるべきなのか。本講義の最終的なねらいはその指針を見いだすことにある。 より具体的には、以下の点を目標とする。

  1. 経営学の基礎的な理論の理解を深める。
  2. 現実の企業経営の事例を通じて、経営戦略、組織構造、イノベーションなどに関する基本的な考え方を理解する。
  3. これらをふまえて、日本企業の今日的課題と今後の方向性を考察する。

授業内容

本講義では、おおよそ、以下のような点について解説する。

  1. 経営戦略とは何か

    まず今日の日本企業が直面している経営課題について明らかにしたのち、経営戦略についての基本的な考え方を概説し、競争戦略論における市場ポジショニングおよび経営資源の蓄積について詳述する。

  2. 企業の競争戦略

    差別化と顧客価値の実現、市場創造とビジネスモデル構築、競争優位とビジネスシステムなどについて説明を行う。

  3. 多角化戦略

    複数の事業をどのように管理していくのかという多角化戦略においては、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント、ダイナミックシナジーの創造を取り上げる。具体的なケースとしては、キヤノンの多角化の経緯について説明を行う。

  4. 企業組織のマネジメント

    まず、組織構造を設計するに当たっての基本的な変数を明らかにし、組織設計で考慮するポイントとは何かを説明する。次に、全社的な組織構造のいくつかのパターンを概説する。具体的には職能別組織、事業部制組織、マトリックス組織などである。 また、実際の企業の事例も取り上げる。

  5. イノベーションのマネジメント

    ハイテク産業を中心として、製品のコモディティ化をどのように避けるのかが重要な課題となっている。そのための製品イノベーション、コンセプト創造について考察する。また、知識創造に向けた組織学習についても触れたいと思う。

教科書

特に教科書は指定しないが、その都度指示する。

参考書

  • 伊丹敬之『経営戦略の論理(第3版)』日本経済新聞社
  • 加護野忠男『競争優位のシステム』PHP研究所
  • 沼上幹『組織戦略の考え方』ちくま新書

成績評価

定期試験によって評価を行う。


投稿日

April 27, 2020