教育方法学講義-I-教育方法概論-2010

講師柴田好章 教授
開講部局教育学部/教育発達科学研究科 2010年度 後期
対象者教育学部2年以上 (2単位週1回全15回)

授業の内容

今日の教育上の課題と関わらせながら、教育方法の基礎となる理論や、優れた授業実践事例を学ぶともに、教師に必要とされる授業実践力の基礎を身につける。2回は、演習形式とし、模擬授業を計画・実施する。

授業の工夫

  • 意見発表や討論など、学習者相互で学び合う機会を確保している。
  • 教える立場から授業・教育を考えるために、実際に模擬授業を行う機会を設けている。
  • 具体的に考えるための手がかりとなるよう、優れた実践事例を紹介している。
  • 記入式のワークシートを作成・配布している。
  • 学会編纂の事典を活用し、重要な用語の解説を行っている。

授業の目標

  • 自己の教育体験の振り返りから、豊かな教育実践を構想する
  • 体験を通して学ぶことの意味を理解する
  • 今日の教育課題と学習指導要領の変遷を理解し、学校教育のあり方を深く考える
  • 授業のデザインにとって、重要な事項を理解する
  • 模擬授業のデザインと実施を通して、基礎的実践力を身につける
  • 専門家としての教師をささえる現職教育のあり方を理解する
  • 教育実践と教育学研究の関わりについて理解を深める

教科書

日比裕・的場正美編著(1999)『授業分析の方法と課題』黎明書房

参考書

佐藤学(1996)『教育方法学』岩波書店

課題

小レポート

教科書 12 章または 13 章の内容をまとめ、見解を記述する。

模擬授業(マイクロティーチング)

  • グループで授業を立案
  • 教材作成(書画カメラでの提示資料)
  • 模擬授業の実施
  • 評価(相互評価、グループ評価、自己評価)

期末試験

(問題例)

  1. 学習指導要領とは何かを説明しなさい。
  2. 現在までに出された学習指導要領のうち、2つを選び、選んだ学習指導要領が出された年を記入し、その特徴を記述しなさい。
  3. 講義中で行った模擬授業の評価をふまえ、<よい授業>を実現するための方策を論述しなさい。
  4. 教員研修の意義と方法について説明しなさい。
  5. 講義で取り上げた、授業実践事例をふまえなが ら、子どもが活動を通して学ぶことの意義について、論じなさい。
  6. 学校をベースにして教師が授業研究を行うことの意義、授業研究の方法、実施上の留意点について、述べなさい。
  7. 日比裕の「温かい経験」と「冷たい経験」を、それぞれ2例ずつ提示して、説明しなさい。
  8. 教科書が取り上げている実践事例において、児童 □ は、どのように成長したと考えられるか。事実と根拠を明示しながら、述べなさい。
  9. 授業における教師の発問と、一般のコミュニケーションにおける質問との違いを述べなさい。また、授業においては、なぜこのような発問を用いた特有のコミュニケーションの形態をとるのか、説明しなさい。
  10. よい発問の条件を、具体例を挙げながら説明しなさい。
  11. よい教材の条件を、具体例を挙げながら説明しなさい。
  12. 授業設計において、学習内容(教材)を構造的理解(構造化、マップ作成)することが、なぜ重要であるかを論じなさい。
  13. 学習においては、手続的知識(操作の理解)のみならず、概念的知識(意味の理解)が重視されるのは、なぜか。具体的な学習内容(教材)を例に挙げて、説明しなさい。
  14. 学習における関心の役割を論じなさい。

スケジュール

講義内容
1 目指すところは? 行く手を阻むものは?
—豊かな教育実践の構想—
2 実践にとって実践学とは?
—学問的探究と実践との関わり—
3 我が国の教育は、どこへ行くべきか?(1)
—今日の教育課題と学習指導要領—
4 我が国の教育は、どこへ行くべきか?(2)
—教育環境と学習指導要領の変遷—
5 授業者にとって大切なことは?(1)
—デザイナーとしての教師—
6 授業者にとって大切なことは?(2)
—教材研究—
7 体験を通して学ぶことの意味は何か?(1)
—体験学習の事例分析—
8 体験を通して学ぶことの意味は何か?(2)
—体験学習の意義の考察—
9 学ぶ立場から教える立場へ(1)
—模擬授業の計画—
10 学び合う組織としての学校とは?
—学校を基盤とする研究の意義と方法—
11 学ぶ立場から教える立場へ(2)
—模擬授業の実施—
12 専門家としての教師の成長とは?(1)
—子どもの可能性をとらえる授業分析—
13 専門家としての教師の成長とは?(2)
—育ち合う教師と子ども—
14 教育学にとって教育実践とは?+試験
—授業分析の学術的意義—

講義ノート

第 1 回

第 2 回

第 3 回

第 4 回

第 5 回

第 6 回

第 7 回

第 8 回

第 9 回

第 10 回

第 11 回

第 12 回

第 13 回

成績評価

レポートと期末試験の総合評価

評価の観点

〔関心・意欲〕

  • 自らの経験や思想と関わらせながら、意欲的に取り組む。

〔知識・理解〕

  • 文献を適切に読解することなどを通して,多様な知識を身につけ得るとともに,理解を深める。

〔分析・考察〕

  • 過去の実践事例や自らの模擬授業の経験を、幅広い視野や知識にもとづいて考察し、思考を深める。

〔発表・表現〕

  • グループディスカッションでは、テーマに関わる自らの考えを,わかりやすく発表する。レポート・テストでは、事実と論理に基づいて記述する。

評定の方法

  • 講義への出席状況と受講態度 20%

  • 小レポート 30%

  • 期末試験 50%

以上の割合で、総合的に判定する。


投稿日

March 12, 2020